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美容家電"パナソニックビューティ"に見る、コアターゲットを明確にする重要性

「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれた技術大国日本も、今はアメリカ、中国、韓国から遅れを取っており、TOSHIBA、SANYO、SHARP、SONYといった家電メーカーの存在感も残念ながら世界的には薄れつつあるようです。

そしてパナソニックも同様。2019年末から2020年にかけて経営面での苦戦を伝える記事を多く目にします。

リストラ断行パナソニック、焦点は後継社長と成長戦略
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/22296

社長就任以降、ずっと構造改革。津賀さん!いつパナソニックは成長するんですか?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191229-00010002-newswitch-bus_all

そんな状況ではありますが、パナソニックビューティに関しては、マーケ視点では異彩を放ち参考にできることが多いように感じるため、そんなパナソニックビューティの良さについて自分なりに整理してみました。

パナソニックビューティとは

・2010年に誕生した美容家電ブランド
・元々 1992年「きれいなお姉さんはすきですか」の見事なキャッチコピーで一世風靡した過去をうまく踏襲

日本での女性の社会進出が進むにつれて、女性のセルフケアに向けた商品ラインナップを「パナソニックビューティ」として独自用語でブランド化している。

取扱製品のカテゴリーは以下の通り。

・Face Care ・・・ スチーマー、美顔器、美容器 etc
・Hair Care ・・・ ドライヤー etc。超微小な帯電水粒子を発生できる「ナノイー」技術で有名
・Body Care ・・・ 脱毛器、除毛器、角質ケア、ネイルケア etc

コアターゲットを「28歳の働く女性」と明確に持っている

「ペルソナの解像度を高く」とよく言われるが、パナソニックビューティは「28歳のリアル」ということをコンセプトにコアターゲットが明確である。
もちろん、実際のお客様層は30代・40代・50代も多いものと思われるが、設定するコアターゲットが明確な分、用途や生活シーンが伝わりやすくなっている。

あの人にもこの人にも、とするよりも、マーケティング段階では顧客解像度を高めることの重要性を上手に表現したブランドだと思う。

「忙しい人を美しい人へ」というコピーが素晴らしい

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水原希子をメインモデルとし、「忙しい人を美しい人へ」というキャッチコピーも素晴らしい。
家電メーカーとして元々素晴らしい技術力を持っているはずだが、技術力や機能性を訴求せず、「ヒト」「コト」をメインに持ってくることで訴求ポイントを他社とずらすことができている。

「忙しい人を美しい人へ」というコピー自体が「時短」を上手にオシャレに表現できている。

共感に重きをおいた広告宣伝

アメリカのマーケティング手法で「Thought Leadership Strategy」(ソートリーダーシップ戦略)というものがあるが、パナソニックビューティはレッドオーシャンな美容業界の中でも「忙しい女性」「働く女性」にセグメンテーションを狭めることで、そのセグメンテーションにおけるニーズや考え方に関する発信力を強めることができている。

TVでの関係者の話では「共感に重きを置いた」とのことだが、狙ってなのか自然となのか、ソートリーダーシップ戦略にのっとった手法といえる。

ソートリーダーになれば、次のビジネス展開を打ちやすい

パナソニックもモノ売りの家電に止まらず、リアル店舗の戦略や、サブスクリプション、メディアなど様々なビジネス展開を模索し進めていくだろうと思われるが、ソートリーダーになり、認知と口コミがされやすい状態になっていることで、タイアップを含めてビジネスを広げる基盤ができやすくなっているといえる。

フィットネスクラブ業界がパナソニックビューティから学べることは?

私たちの会社は「hacomono」というフィットネスクラブ向けの会員管理・予約・決済システムを提供しており、導入の中で新規事業立ち上げやマーケティング戦略に伴走するケースもあるが、フィットネスクラブにおいても、このパナソニックビューティの戦略から学ぶべき点が多いように感じている。

設備業となりがちなフィットネスクラブ。
お客様視点では、そこに置いてあるモノ(トレーニング器具)が魅力な訳ではないにも関わらず、モノ視点・機能訴求視点でのマーケティングが行われがち。そういった機能性・価格訴求では他社との差別化が難しい。

パナソニックビューティのように
- 少しだけセグメンテーションを狭めてみる
- 共感に重きを置いた戦略を考えてみる
- メインモデル、メインキャッチをバシッと決めにいく

こういった認知戦略も、ブランドの方向性次第では参考になるのではないだろうか。

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