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不透明な状況下でも新しい価値の創造を目指して

こんにちは。こちらサンフランシスコベイエリアはShelter in Place Orderと呼ばれる外出禁止令が3/16から施行されてから1ヶ月が経ちました。近況報告をかねてベイエリアの状況とこのパンデミック の状況下で自分なりに得た知見と起こした行動について共有します。

数字で見るインパクト

数字や調査レポートは人々のマクロニーズトレンドの変化を捉える上で大きなヒントになります。USの経済状況変化の数字をいくつか共有します。想像もできないほどの衝撃な数字も並びますが、FACTとして受け止めた上で自分なりの見解と行動を共有したいと思います。

ソースはサンフランシスコローカル新聞です。


2200万: 2020/3/13から今週までの失業保険申請数
  ≒ 2010年以降のUSでの求人増加数

4700万: 2020/6Eまでに予想される失業数

32.1%: US予測失業率
 参考比較24.9%: 1930年代世界恐慌時の最高失業率

76.8%: 睡眠に何かしら影響を与えていると回答した割合

46%: COVID関連のニュースを避けることで睡眠が改善したと回答した割合

55%: 3月3週目 のアルコール販売増加率 対前年比

42%: 外出禁止令発令後の1週間のサンフランシスコCrime Rate減少率

190万: 3月の拳銃販売数 。 過去2番目に高い月間販売数

1,270%: 1ヶ月間(2/22-3/22)のZoomアプリダウンロード数の対前月比

8時間: 1人あたり1日のオンラインコンテンツのストリーミング時間平均。パンデミック 前の2倍

その他、フードデリバリー利用率やAmazonでの消費額増率、公共交通機関利用率変化などのデータもありました。

個人的に興味深かったのは近隣SNSであるNextdoorのDaily Active Usageが80%増加し、投稿数が4倍になり、その多くが助け合いや近隣の役に立つ情報などのPositiveな内容とのことです。ネガティブな内容が溢れるニュース記事やSNSと対照的な傾向だと思いました。


上記数字からも見られるように、ここ1ヶ月でライフスタイルが一変しました。人々は密な集まりや不要な外出を控え、人との物理的接触を避ける傾向があるなかで、物理的な物や空間を他人と共有するシェアリングエコノミーのあり方や人々通しのコミュニケーションのあり方が今後変わってくると考えています。
アフターコロナ時代には今とは全く異なるライフスタイルになっているかもしれません。

ボトムアップによる意思決定とアクションの速さ

ここベイエリアでパンデミックを経験することとなりましたが、ここでの気づきはボトムアップによる意思決定とアクションの速さです。僕が住むバークレーおよび近郊のベイエリア都市群では3/12(木)に公立学校の閉鎖が発表されて翌日の3/13(金)から施行、週明けの3/16(月)に全米初のShelter In Place Order(外出禁止令)が発表されてその夜12時から施行されました。国や州の指示を待たずにローカル住民を守ための大胆な意思決定と素早いアクションには感銘を受けました。追ってカリフォルニア州全体で外出禁止令が施行され、全米で初の州として伝えられました。

また公立学校での教育においては外出禁止令後の翌週にはクラスレベルで先生と保護者が連携してビデオ会議サービスを利用した遠隔ソーシャルイベント (Get together)の実施や、遠隔授業のトライアルを開始しました。学校やクラスによって対応は異なるとは思いますが、我が家の小学2年生の息子のクラスは素晴らしい担任の先生に恵まれ、前例にないやり方を素早く実践してくださいました。子供たちが画面越しで喜んではしゃいでいる姿を見たときは涙がこぼれそうになったのを覚えています。デバイスやインターネット環境がない家庭への対応も素早く、全ての子供たちに平等な教育を与える姿勢にも感銘を受けました。今ではDistancing Learningと呼ばれるオンラインカリキュラムによる教育がクラス毎に平日毎日朝9時から午後3時まで実施されています。

息子のリモート授業の様子

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人々のライフスタイルとマインドセットの変化

1ヶ月経った今でも生活必需を理由とする外出以外は認められず、 6-feet awayのSocial Distancingが徹底されています。バーはクローズ、レストランはテイクアウトのみ許可され、食料品買い出しは多くのスーパーや小売店で数十分待ちです。州立公園は出入り禁止とり、近所の公園でのピクニックや遊具ですら禁止となりました。

参考: 買い物のために6-feet-awayで入店を待つ人々 

参考:  公園クローズ 


人々は6-feet awayをキープしてお互い避けあいながらもより外でのエキササイズに意識するようになったり、一部地域では近隣への挨拶 & 助け合い運動が起きたり、僕の近隣においては毎週水曜日正午に外に出て全員で同じ1曲を歌うアクティビティが生まれたり(笑)などなど、1ヶ月前は想像もしなかった人々の行動の変化を目にするようになりました。

このような人々のライフスタイルとマインドセットの変化の真っ只中だからこそ新しいアイデアが試される絶好のタイミングなのだとも考えています。

スタートアップの動き

この変化をチャンスと捉えるサンフランシスコ・シリコンバレーのスタートアップの動きをいくつか紹介します。

オンラインイベント特化プラットフォームRun the World
Eventbrite + Slack + Zoomといったようなサービスで今まさに求められているニーズと合致していてイベント開催数を増やしているようです。
昨年度IPOした屋内ロードバイクワークアウトサービスPELOTON は無料期間を30 daysから90 daysに伸ばして、屋内でのエクササイスの需要に応えようとしています。ビデオ会議のZoomは公共教育機関K-12向けに無償提供を開始しました。(息子のクラスではセキュリティ懸念により利用が禁止され、4/19現時点ではGoogle Meetで授業が行われています。)All-in-one workspaceのウェブサービスを開発しているNotionはオンラインでのリモートワークの需要への期待もあり$50 Million調達したようです。


前例にない新しい価値想像を目指して

起業家や新規事業の企業人にとってはこのような状況だからこそ前例にない新しい価値を提案・検証して社会に貢献できるチャンスだと考えています。

僕自身も前例にない対応と行動を起こすマインドセットを意識してアイデアを実行しています。この状況下で特に意識しているのは、外部イベント参加の機会を増やして(オンラインで)、コミュニケーションとアイデア共有の場を作ること、そして今までの考え方に捉われない大胆な意思決定をスピード感を持って行うことです。

具体的には、現在開発中のDisconnected Youth (アメリカで学業にも職業にもついていない16歳から24歳の若者)とResources(ジョブトレーニングなどの支援プログラム)を繋ぐモバイルアプリを、このパンデミックによりDisconnectedとなってしまった全てのYouth/Studentsを対象に使えるように緊急案件の開発に取り組んでいます。特にローインカムのYouth/Students Familyはこの深刻な経済危機の中であらゆる支援プログラムを求めています。共同研究先の公共教育機関と連携して、様々な支援プログラムを学生コミュニティに届けるプラットフォームとして利用してもらい、お役に立てればと日夜開発を進めています。

また、プログラミングで地域社会に貢献するボランディア団体 Code For San Francisco内で、Code For JapanのCOVID-19関連のデータ共有と可視化のダッシュボードサイトをSan Franciscoに展開する開発をリードしています。

サンフランシスコで様々なチャネルを通じて呼びかけた結果、
様々なバックグラウンドや組織のメンバーと連携したり、サンフランシスコ市のChief Data OfficerであるJason Lallyさんもジョインしたりと、新しいネットワーキング効果とポジティブな副作用が起きています。

終わりが見えにくい不透明な状況下ではありますが、新しい価値を創出し続けるために外部に発信する機会をキープしつつ、内外部と連携しながらスピード感を持ってアイデアを積極的に試していきたいと思います。トライアルでうまくいったアイデア・サービスは横展開しやすい環境にあると言えますし、このウィズコロナ時代にいかにスピーディーにトライアルをまわせるかが、より良いアフターコロナ時代を創るキーとなると信じています。

これが僕なりの "#いま私にできること" でもあります。前向きに頑張っていきましょう。

では、またサンフランシスコから発信していきます。



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