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耕作放棄地をどうするか?に理屈や理念は何も意味を持たない

東北のほうで熊が人間のエリアに侵入する数が増加している。人が襲われる被害も出てきている。原因は熊のエサとなるどんぐりが山になくエサを求めて山から降りて人の生息地に来ているそうだ。

地方は急速な人口減少により高齢者しかいない状態が続くため、ドングリの生育が良くなったとしても人の生息地に出没することは常態化するだろう。ドングリを手に入れるより人のエサを食べたほうが楽なら野生動物でも楽なほうを選ぶ。今のうちに熊を寄せ付けない対策、(猟犬を山に入れて追い返す、人が山に入って管理する)をしないといけないけど、人がいないしいても山に入る人もいないから対策は簡単ではない。僕が住んでいるのは九州で熊はいないけど、熊の生息地は南へと広がっているそうで、山口県付近で目撃されたとの話も猟師から聞いた。遠くない未来に九州でも熊が生息することになりそうだ。

熊に限らず獣害は地方にとってとても重要な問題だ。とくに第一次産業、農業に従事していたら獣たちの問題は死活問題となっている。中山間地だと田畑に電気柵やネットを張り巡らせないと食い荒らされる。ちゃんと対策を講じてもちょっとした隙間や「獣の慣れ」により被害は起こっている。

獣たちを人間の生息エリアに近寄らせないようにする根本的対策は耕作放棄地をなくすことだ。田畑の草刈りをしないから山と人間の住む境目がなくなっている。山も杉山ばかりで多様性がなくなっているためエサがない。人間の住むところに行けば簡単にエサが手に入るから田畑に侵入する。耕作放棄地をなくすことは山に人が入って獣たちにも住みやすい環境になることを意味する。

耕作放棄地は誰かが田畑の草を刈り、山に入って間伐をして植林をしないといけない。シンプルだ。これ以上説明する必要はない。

耕作放棄地を問題と思うなら僕か、これを読んでいるあなたが草を刈るしかない。ロボット?ロボットが普及するのはいつ?ロボットが全ての田畑の草を刈ってくれるの?コストは誰が負担するの?AIが日常生活に深く入りこんだとしても人間が草を刈らないと放棄地はなくならない。

「田舎で〇〇ビジネス」だの「耕作放棄地をなくすのはお前一人じゃ無理だの」草を刈らない人が何を言っても無駄なだけだ。理念や理屈じゃ草は刈れない。

「わかった、すごいいいこと言うけど、じゃああなたは草刈り機を持って僕のところの地域の草刈りをしてくれますか?」と質問したら何人の人が実際に行動に移してくれるだろう。仕事、性別、収入とかどうでもいいから実際に田舎に住んで草を刈らないと本当に何も役に立たない。

アメリカの大統領選挙でトランプがバイデンと拮抗するのも本質は同じだ。トランプが無茶苦茶なこと言ってもバイデンは余裕のあるエリートが理念を言っているだけにしか聞こえない。理念とか理屈はいいから実際に何を実践するのかがない。アメリカ大統領選に限らずだけど、世界中で理念や理屈に飽き飽きしているから無茶苦茶だけど何かやってくれそうな政治家に票が集まる。

地方に住んで仕事は?家は?人間関係は?収入は?家族は?とか色々考えるのはわかるけど、とりあえず住んでみて家の周りの草だったり近所の草を刈るだけでなんとかなっていく。地方でも田舎に行けば行くほど獣害は深刻な問題だし、草を刈る人が圧倒的に不足しているから草を刈れば生きていける。

僕の地域は、2020年になって人口減少していたのがより加速している。今まで来なかったところまでイノシシが出没している。草を刈り田畑を管理していた80歳の高齢者が亡くなり後継ぎはいないから止められない。一人で刈れる量は限界がある。厳しい現実だけど現実を直視しないと解決できない。

日本全国で耕作放棄地の広がりに伴う獣害の増加は加速しているだろうから、もし地方・田舎をなんとかしたい、住んでみたいと思う方がいるなら草刈り機を買ってどんどん住んでほしい。

草刈りはキツイけど終わったあとの爽快感と充実感はなかなか良いものですよ。


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