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HHKB Studio 買ってしまったので

気づけばカートに入っていた高級キーボード「HHKB Studio」。なんとそのお値段44,000円。プログラマという職業上、この価格で一生使える入力デバイスが手に入る、と考えるとそこまで割高だとは思わない。とは言ったものの、HHKBシリーズの購入は2度目。一生使い続けるかどうかはひとまず置いておき、今回はエンジニアなりの所感を紹介できればと思う。

ちなみに、以前書いたPomera DM30や実は購入していたDM200に関してはいまだ現役で稼働中。主にブログと議事録、電話応対時に利用している。


筆者の環境

利用OS

Windows / Linux ( Debian ) / Android

作業用途

システム・アプリ開発 / WEB制作・デザイン / サーバ管理
マニュアル作成(スクール生徒用) / ブログなど

開発環境

RadStudio C++Builder ( VCL / FMX )  Windowsネイティブアプリ開発用
Arduino マイコン開発用
Visual Studio その他開発用
Vim シェル、サーバのスクリプト用
MagicalEditor2 ( 自作エディタ ) ライブラリ作成用

開発言語

C / C++ / Delphi / VBA / python / PHP / SQL / HTML / CSS / JavaScript

その他作業

Terminal
Office ( Excel / Word / PowerPoint )
Gimp / illustrator / PhotoShop
各種 ブラウザ
各種 自作アプリ

筆者がJIS(JP)配列にこだわる訳 (完全に主観)

1.US配列だと:や;を多用する為、標準だと下記のようなコードが書きにくい (C++)

// 無意味なコード
void __fastcall TMainForm::btnSampleClick(TObject *Sender){
	char x = 'E';
	std::vector<HOGE_INFO>::iterator itr;
	TButton *pButton = dynamic_cast<TButton *>(Sender);
	if (pButton == NULL) return;
	for( int i = 0 ; i < MAX_COUNT ; i++ ) printf("hoge %d\n",i);
	pButton->Tag = (int)x;
}

2.国内PCは大概JIS配列

  • 学生でIT関連(例 日商検定)の試験を受ける際は、試験会場はJIS配列なので、US配列に慣れてしまうと不利

  • クライアント先のPCを扱う際、大抵JIS配列なのでキー入力ミスしまくりだと不信感を持たれる

  • リモートデスクトップで顧客PCを遠隔操作する場合、US配列だとキーの不一致が起きる→相手側でUSキーの設定が必要

3.JIS配列の余分なキーは別キーに割り当てることができてお得 (※重要)

4.矢印キーはやはりあると便利 ( vimでは使ってないけれど )

HHKB Studioを使った感想

まずは簡単に感想を。買ってよかった!最高!ブラボー!

レビューしたバージョン

B206 ※現在はB207にアップデート済み

良かった点

打ち心地

忖度なく極上の打ち心地といえる。打鍵音を言葉にすると「コトコト」や「スコスコ」に近いが、自宅にあるHHKB Pro2(墨) とも少し違う。どちらが優れているというわけではなく、個人的にはHHKB Studioの方が好みだ。また、マウスクリックはキーボードとは別のメカニカルボタンを採用しており、打鍵音は「カチャカチャ」という感触。ホームポジションからの正しい運指でタイピングしているユーザであれば、マウス用ボタンはキーボードとの高低差がある為、ミスタイプしにくい設計だ。使用して1週間になるが、既にHHKB Studioの虜だ。自宅と職場間くらいであれば、多少重くても持ち運ぶ程だ。

余談だが、持ち運びのケースはAmazonでこれを購入した。ジッパー部分が少しチープだが、結構使いやすい。外側の収納スペースにUSBケーブルやSSD、あとは大好きな「きのこの山」を入れることもできる。肩掛けもできるのはポイント高い。


キーカスタマイズが可能

キー入力をハードウェアレベルで変更できるので、好みを追及できる。従来のHHKBはファンクションキーをFnキーとの組み合わせで打つので、自分の使い方では困るシーンがあった。
また自作システムでもファンクションキーに機能を割り当てることが常態化しており、業務によっては別キーボードを使うこともあった。
HHKB Studioでは専用ソフトウェアでキーを書き換えることができ、プロファイルを4つまで本体へ保存可能だ。スペースバー周りの未使用キーによく使うキーを割り当てることで不便なく使えることがわかった。この点、英語配列よりもキー数が多い日本語版に優位性がある。プロファイルが4つもあるが、今のところ1パターンで様子を見ている。ただ、自由にカスタマイズできるからといって、あまり変則的な配列にすると別のキーボードが触れなくなるため、程々にとどめておく方が賢明だろう。
ひとまず試験的に設定した箇所は下記の通り。(しばらく運用して見直す予定)
筆者はまだ使いこなしていないが、業務ではプロファイル1、プライベートの時はプロファイル2、のように使い分けができ、別のPCでも同じように切り替えられるのはかなり便利そうだ。

HHKB Studio

中央のポインティングスティック

ThinkPadで使い慣れた、通称「乳首」。HHKB Studioで実際使ってみると、 IDEでフォーム画面を設計可能など、意外とこれだけでできるのには驚いた。体感的にThinkPadとそれほど遜色なく利用できるようだ。力加減で加速度も変わるため、とても使いやすい。ただ、大きい4Kディスプレイではマウスを使う方が圧倒的に効率がいいので、ラップトップではメインで使用し、デスクトップにおいては補助的な役割になりそうだ。

余談だが、マウスは 「logicool MX Master 3」を使っている。筆者の環境だけかもしれないが、Bluetoothの周波数が混線しているのか、HHKB Studioを導入してからというもの、時々MX Master3での操作がカクカクする現象が起きるようになった。HHKB Studio単体で問題は起きていない。相性の問題だろうか。

接続デバイスを簡単に切替できる

Bluetoothの接続先を4つまで登録できる。筆者では次のように登録した。

  1. モバイルPC ( Surface Laptop3 )

  2. 職場のメインPC ( 自作PC )

  3. SteamDeck ( Windows版 )

  4. LG Velvet (Android) XREAL AIR用

接続名もHHKB Studio1~4とわかりやすくてよい。

ジェスチャパッド、言うほど悪くない

個体差があるかもしれないが、筆者の環境ではジェスチャパッドもいい仕事をしている。他のレビューで誤作動が多いと書かれていることもあり心配していたが、筆者の場合は完全に杞憂だった。
特に仮想デスクトップの切替や、画像の拡大縮小、テキストエディタの先頭行、行末への移動は特に便利に感じた。ただ、稀に認識しないことがあるのは気になる。キー入力イベントとセンサーのイベントが同時発生しないことと、インターバルが0.5sec程あるらしく、それが影響しているのかもしれない。これは慣れの問題かもしれない。

乾電池式

バッテリーはリチウムイオン電池ではなく乾電池タイプになっており、一生使える設計になっている。ひとまず同梱されていた電池を使っているが、電池切れになったらeneloopに変更予定。長く使ってほしいというメーカー側の意思を感じてとても好印象だ。

気になった点

基本的に気に入っているが、欲を言えば…というのがいくつかある。購入したい方の参考になれば、ということで重箱の隅をつついてみる。

デバイス登録数が少ない

通常は4つで充分だろうが、私は結構デバイスをとっかえひっかえするタイプで、もっと登録できる方が良かった。欲を言えば1~9の9個登録できたら最高だった。(0は有線)

マウススティックの挙動がおかしい

私の環境の問題かもしれないが、30分放置して省エネモード(スリープ)に移行した後、Enterキーで復帰した直後にマウススティックがモニターの半分くらいしか動かせない、もしくは水平方向しか動かないことが何度かあった。(別マウスでは正常に動く)
キーボードを再起動すれば正常動作した。内部で座標管理している?
※公式サイトに記載があった。やはり再起動するのが良さそう

Bluetoothの切替がうまくいかないことがある

[Fn]+[Ctrl]+[数字] で接続先を切替可能なはずだが、稀に反応しないことがあった。(LEDも点灯しない) 再起動すれば正常になった。
(※キーボードがスリープ状態だったかもしれない。わかり次第加筆したい)

アクセサリの種類が少なく、高い

ニッチな商品の宿命というのは承知しているが、アクセサリの選択肢が非常に少なく、価格も高い。例えばキーボードカバーを買おうと調べると、公式サイトでは約5000円もする。100円均一で売っていそうなアクリルケースと考えると割高感は否めない。
ちなみに、ダイソーでちょうどよいキーボードケースになりそうなものを探したが、残念ながら見つけられなかった。

公式で買おうと思っていたが、Aliexpressで代用品を見つけてしまったので購入してみた。すでに届いて使っているが、サイズもピッタリで約2000円だったのでお勧めしたい。

筐体の耐久性

ジェスチャー用のタッチセンサを搭載したことによって、筐体部分の耐久性が若干気になった。例えば少し持ち上げたときに、”ミシッ”と軋むことがあるのでいささか不安だ。これはHHKB Pro2を使っているときには気にならなかった部分だ。HHKB Pro2はかなり乱雑に扱っても壊れない、例えば文房具に近いイメージだが、HHKB Studioに関してはマウスなどのギミックを搭載した分、精密機械らしくなった印象だ。

総評

“デスクを広く使いたい” かつ ”パソコンを使う仕事”、とりわけ文字入力(数字を除く)が多い業種には自信をもっておすすめできる製品だ。一度使ったら最後、ほかのキーボードを触るときにHHKB Studioが脳内によぎるようになることは間違いない。というか私はすでにそういう状態だ。仮に何か問題が起きても、基本は再起動すれば正常動作するため、それほどストレスになることもなかった。従来のHHKBシリーズとはコンセプトがやや異なる為、使う人を選ぶが、ハマれば最強のキーボードでは?と感じた。今後使い続けて気付いたことがあれば加筆したい。

2024年3月 加筆分

「無刻印キートップセット(墨)」を購入

価格:7,590円

感想

キートップは既に薄い表記で目立たないが、無刻印にすることで想像以上にスッキリした。付属のキートップ交換ツールも使いやすく、10分程度で作業が完了した。この辺の設計はさすがというべきだろうか。
地味にありがたかったのが、この段ボール。

1行ずつキートップが並んで格納されているので、迷わず交換ができた。
旧キートップを格納しておけば、旧バージョンに戻したくなっても迷わずにすみそうだ。

打鍵感に違いはないので、7,590円を投資するかは好みの問題。平たく言えば「無刻印キーボード使っている俺カッコいい」と自慢したいだけのものかもしれない。それでも触るモチベーションが上がるなら、交換する価値はあるような気もする。少なくとも私は良かったと思っている。
公式曰く、オリジナル刻印も可能になるようで、自作キーボード勢にとっても良サービスとなりそうだ。

キースイッチに関しても交換可能とのことだが、
既存のスイッチに満足してしまったので、今のところ交換予定はない。

余談だが、1000個限定 HHKBステッカーも同梱されていたので、
キーボードリーフに貼ってみたが、ちょっと斜めになって失敗してしまった…。悔しい。

キートップ交換後のHHKB Studio

それにしても、44,000円(本体) + 7,590円(キートップ) = 51,590円のキーボードか…。大事にしよう。


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