企業は人材育成プログラムに投資をするべきか?
コロナのパンデミックとその影響による変化は、雇用主にとって頭痛の種であることは間違いありません。
「大量辞職」「フリーランス革命」といった見出しは、従業員が自分の働き方を見直すようになり、日本中の職場が激変していることを暗示しています。
しかし意外なことに、雇用主にとって明るい兆しも見えてきています。
過去2年間のコロナ禍による変化を経験した従業員は、学ぶことに飢えているのです。
ある調査では、3分の2以上の労働者が「より安定した仕事と機会を提供してくれる新しい職種」に転職できるような新しいスキルを習得したいと考えていることが明らかになりました。
これはつまり、意欲的な従業員を惹きつけ維持したいと考える企業にとって、大きなチャンスです。
専門家によると、従業員は自分のスキルや能力を伸ばしたいと思っており、そのために社員の能力開発に投資している職場に惹かれるのです。
この記事では、雇用者と従業員双方にとって最も大きな利益をもたらす人材育成プログラムとは何か、そして人材育成に関して企業が投資対効果をどのように測定すべきかを詳しく見ていきましょう。
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人材育成プログラムとは?
人材育成プログラムは、従業員に新しいスキルを教え、既存の能力を向上させ、仕事をより良く遂行するため、またはより困難な新しい職務に取り組むために必要な才能・能力・知識を与えることを目的とした、幅広い一連の取り組みです。
プログラムには、資格認定やトレーニング・コーチング・メンタリング・OJT・セミナーなどが含まれます。
また、特定の職務に特化したものから、広く適用できるキャリアスキルや自己啓発のトピックまで、ほぼすべての専門的なスキルをカバーしています。
さらに、形式的なものから非形式的なものまで、提供する企業の意向に沿ったものにすることも可能です。
多くの企業では、従業員の能力開発はさまざまな方法で行われています。
能力開発の70%は現場での経験や挑戦から、20%は他の人から、そして10%がセミナーや公式トレーニングからもたらされると言われます。
従業員のキャリア開発プログラムを強化しようとする企業は特に、従業員が異なる組織機能を経験できるジョブローテーション・短期派遣・シャドウイング・M&Aイニシアチブのデューデリジェンスや海外派遣などのストレッチアサインメント・組織の健康改善に焦点を当てた戦略タスクフォースへの参加・ERG(従業員リソースグループ)のイニシアチブなど、さまざまな取り組みを検討すると良いでしょう。
どのような人材育成プログラムがより良い結果をもたらすのか?
どのような人材育成プログラムが適しているかは、企業の目標によって異なります。
適切なプログラムは、各企業のミッション・ニーズ・戦略的優先事項から生まれるものだからです。
しかし一方で、従業員のパフォーマンスを向上させ、優秀な人材を集めたいと考えている企業は総じて、学習することに前向きな企業文化を構築することに力を注ぐべきでしょう。
社員育成に対する取り組みを計画する上で、避けたい重要なポイントもあります。
例えば、抽象的すぎたり、日々のニーズとかけ離れたプログラムを作ると、従業員が深く関与することはありません。
また、学習が負担になるようなプログラムも好ましくありません。
従業員が多くの時間を割かなければならなかったり、職務レベルや専門性に合わない内容を含む教育プログラムでは、従業員は受動的にしか参加せず、チェックボックスにチェックを入れるだけになりがちなので、時間や労力に見合わないものになってしまいます。
また、その成果が自分にどのような利益をもたらすのかが明確に伝わらない教育プログラムは、従業員にとって優先順位の高いものにはなりません。
人材育成プログラムに投資するべき5つの理由
人材育成プログラムを作成する、あるいは強化するためのビジネスケースについて、専門家はいくつかの説得力のある理由があると述べています。
ここでは、企業が人材育成プログラムに投資すべき最も重要な5つの理由を紹介します。
理由①|より高度なスキルを持つ従業員の育成
従業員育成プログラムの大きなメリットは、従業員が自分の役割をよりよく果たすために必要なスキルや能力、あるいは会社全体に不足しているノウハウなどを、戦略的に学ぶことができることです。
特に社内の人材を強化し、社内からの昇進を増やしたいと考えている企業にとっては、これは有効な手段です。
人材育成プログラムは、従業員がキャリアの次の段階に進むための不可欠な足がかりになります。
入社してきたばかりの社員は、ある一定の知識しか持っていません。
しかも、その知識は必ずしも、より良いパフォーマンスや高いレベル、あるいは昇給や昇進のために必要なものばかりとは限りません。
従業員に投資することで、彼らのパフォーマンスに見合ったリターンを得ることができるのです。
理由②|バイ・インの増加
企業が自分に投資してくれていると感じた従業員は、その恩恵を受けることができます。
チーム育成とパフォーマンスマネジメントを効果的に行うことは、従業員が目的や事業目標に向けて積極的に取り組み、関与することを促します。
従業員の能力開発目標がより広範な戦略的・事業的目標と明確に結びついている場合は特に、こうした可能性が高まります。
自分の努力が組織の成功にどのように貢献するかを理解した従業員は、権限を与えられて仕事に従事するようになり、その結果、裁量労働制が強化され、業績が向上するのです。
理由③|より柔軟性のあるチームの育成
積極的にスキルを高めている従業員、特に他の職種やジョブローテーションでクロストレーニングを受けている社員は、現在の職務に必要な能力を向上させているだけではありません。
より機動的で柔軟に企業をサポートし、そしてダイナミックな市場に対応できるような組織造りに貢献しているのです。
異なる部門や拠点での職務を経験した社員は、一つの部門にとどまり続ける社員よりも、ビジネスに対する総合的な理解が深まるため、より大きな価値を生み出します。
多くの社員が何度もこうした経験を得ることで、会社全体に相乗効果がもたらされ、組織全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。
また、会社はビジネスニーズに対応できる柔軟で俊敏な人材を獲得することができるのです。
理由④|より強固な才能のパイプラインの構築
クロストレーニングやスキルアップの機会を戦略的に活用することで、より上級の職務に就きたいと考える従業員の昇進・昇格の文化を醸成し、同時に採用や入社時の負担を軽減することができます。
従業員が新たな責任を負ったり、トレーニングや能力開発のために本来の業務から離れたりすることは、他の若手社員がステップアップするチャンスになります。
また、従業員が別の仕事に従事している場合、管理職としては「一時的に空いた役割に別の人材を育成する機会」があります。
時には、数人の社員が協力してその穴を埋めることで、複数の能力開発の機会を得ることができるのです。
理由⑤|従業員のモチベーションアップと離職率の低下
やる気のある従業員は、企業の収益に貢献してくれる資産です。
さらに学習機会や従業員の成長に投資することは、従業員が会社に留まる別の理由を与えることになります。
従業員にリーダーシップやマネジメントのトレーニングを提供することは、従業員のキャリアアップを支援し、社内での昇進をサポートする会社側の姿勢を示すことになります。
有用で実用的なトレーニングプログラムは従業員の定着に直接影響します。
適切なオプションを選択することは、『従業員の希望に合わせてキャリアをカスタマイズでき、従業員は自分のキャリアパスを自分で決定できると感じられる』ことを意味します。
これらの成果はすべて、企業が従業員を維持することに有利に働くでしょう。
まとめ
社員教育への投資は学習文化の向上や活性化だけでなく、多くの測定可能な方法で企業に利益をもたらします。
離職率を下げ定着率と紹介率を向上させることは、経理部門にとって財務的な好影響となるでしょう。
また、新しい課題に取り組む準備ができている従業員や、将来的に特定の役割を担う可能性のある従業員が増えていることも、経営者が注目すべき指標の1つです。
従業員の成長についても同様で、資格取得やスキルアップしているか、新たな職務に就いたかどうかを測定することができます。
より良い組織づくりのためには、人材育成プログラムへの投資は惜しんではいけないでしょう。
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