魔法の指標を求めてSuperhumanが発見した、組織活性化のためのOKR

2020年11月20日 15:30

この記事は以下の記事の翻訳となります。

想像してみてください。もしも、成功するための重要な要素を見つけられるとしたら。そしてそれは、ひとつの明確な目標を達成するために組織を活性化できる、測定および追跡できる単一のメトリックだとしたら。大規模な組織では1つのゴールに絞ることはできないかもしれませんが、スタートアップの場合は、ひとつに集中することで生死を分かつことが度々あります。

2016年、Superhumanは、ある最初の製品の立ち上げに苦労している14人のスタートアップでした。それは、Gmailに高速で生産性の高いインターフェースを重ね合わせた、メールのパワーユーザー向けのアプリケーションです。創設者兼CEOのラウール・ヴォーラ氏は、とらえどころのない「プロダクトマーケットフィット（PMF)」を追求していました。これは、かの有名なベンチャーキャピタルのリーダー、マーク・アンドリーセン氏が提唱したもので、努力によって市場に魔法を生み出せたと分かる、よくある状態を追求するものです。

「PMFが達成できた状態であれば、それがいつでも感じられるのです。顧客は、あなたが作るのとほぼ同時に製品を購入します。あるいは、サーバーを追加するのと同じくらい速く使用量が増えます。顧客からのお金があなたの会社の当座預金口座に積み上げられていきます。あなたは早急に営業とカスタマーサポートのスタッフを確保しようとします。記者は、あなたのホットな新しいことについて耳にし、そして話を聞きたいと願い電話をかけてきます。あなたはハーバードビジネススクールから年間最優秀起業家賞を受賞し始めます。投資金融業者が家の前に張り込むようになります。」

ただし、これらは結果であり、目標ではありません。そして、サンフランシスコを拠点とするスタートアップは、この状態にはありませんでした。「私たちは当初、うまく運営されていたとは言えませんでした」とヴォーラ氏は言います。「自分たちが構築していたものに対しての歩調を揃えることに苦労していました」さらに悪いことに、「喜びを生み出す」や「卓越した品質を達成する」などの会社の価値は、従業員に焦点を当てることができていませんでした。

これらの価値は、それ単体ではあいまいすぎて、あまり役に立たないものでした。「私たちが毎週、または隔週のスプリントを行ったところ、それらが短期計画においてうまく機能しました」とヴォーラ氏は振り返ります。「しかし、今四半期にこれを実行する、または6か月以内に実行する、といった目標に関しては、これらの目標を確実に設定し、達成することができていませんでした。」

先行指標を探す

この規律の欠如を解決するために、ヴォーラ氏は目標と主要な結果（OKR）のシステムに目を向けました。「私はたまたまOKRに関する情報を見つけ、そしてそれは私たちが守るために十分に説得力があり、明確なプロセスの説明でした。」

チームがOKRを使って開発を加速させるコツをつかむまで、実際には3～4四半期かかりました。同社は3年間のコーディングの後、未だに製品を発表できていませんでした。

ヴォーラ氏が「明確な測定基準 」と呼ぶものを見つけた時、物事は好転し始めました。結局のところ、PMFは遅行指標だったのです。Superhumanが必要としていたのは、先行指標でした。ヴォーラ氏は、DropBox、Eventbrite、LogMeInでの初期の仕事で最もよく知られている起業家であるショーン・エリスから着想を得ました。

エリス氏がしたことは、ユーザーに「製品を使用できなくなったらどう思いますか？」と尋ねることでした。重要なのは、「非常に失望した」と答えた人の数を測定して追跡することでした。

エリス氏はほぼ100のスタートアップを調査し、魔法の閾値として「40％」という数値を見つけました。PMFを達成できなかった企業はその数を下回り、達成した企業はそれを上回っていました。巨大化した一例では、Slackは51％に達していました。

ヴォーラ氏は、Superhumanのベータユーザーに対してこの質問を調査し、結果は22％という数字でした。これはひどい数字だというわけではありません。調査した5人に1人以上のユーザーが、この製品を気に入り、必要としていると答えています。「私たちのチームは結集するために、抽象的なアイデアではなく、ひとつの数値を持てました」と彼は言います。

しかしながらこれでは40%という閾値を超えるには不十分であり、これを達成することが会社が浮き沈みするためのOKRとして不可欠でした。ヴォーラ氏は、この指標は単純に他の人にも製品を薦めるかどうかだけでなく、個人的なものであるため、ネットプロモータースコア（NPS）よりも目標を達成するのに即していると考えました。

高い期待をターゲットに

ヴォーラ氏はデータをさらに深く掘り下げました。よりカジュアルな電子メールユーザーをひとつにくくり、職種ごとに個別のカテゴリを作成することで、応答をセグメント化しました。それにより、ヴォーラ氏は「期待の高い顧客」のためにHXCと呼ばれるグループを切り分けました。これらは、販売、事業開発、およびその他のミッションクリティカルな機能に電子メールを使用している人々を指します。

そのうち32％は、Superhumanを使用できなくなったら「非常にがっかりする」と答えました。それでもPMFの閾値を満たせてはいませんが、少しずつ近づいてきています。彼らが主なメリットを問われた際、これらのスーパーユーザーは「スピード」だと答えています。多くのスーパーユーザーは、毎日何百もの電子メールを処理し、「受信トレイ件数のゼロ」を達成するという目標を持っていました。

調査はまた、製品に関する最大の不満は「モバイルアプリの欠如」であることを示しました。スタートアップは、電子メールのパワーユーザーがデスクトップユーザーであると想定していましたが、その想定は誤りであることが判明しました。

Superhumanはモバイルアプリを導入し、速度を中心に製品を最適化することで、OKRの黄金律は58％に跳ね上がりました。この時点で、ユーザーは製品を使用するために順番待ちをするようになり、高い評判が標準的な状態になりました。「Superhumanを使用した1週間ほど、私のビジネス人生を変えたアプリはありません」と、スーパーユーザーのJPシュスト氏は最近ツイートしました。「これによって、メールを処理して集中できるようになったと、この価値を評したとしても、これは過言ではありません。」

要するに、マーク・アンドリーセン氏によって強調されたPMFの結果の多くが実現し、はるかに高い評価でさらに3,300万ドルのベンチャーキャピタル投資につながりました。

プライバシー危機を乗り切る

しかし、この7月、Superhumanは差し迫った危機に直面しました。業界誌は、Superhumanのユーザーから電子メールを受信した人が、オンラインで何をしているか（読み取りステータスと呼ばれる）、さらには電子メールを開いたときにどこにいたかについて、画面上のピクセルを使用して追跡されていると報告しました。

特に位置追跡が潜在的なプライバシー侵害として業界全体で物議を醸し、この騒動はSuperhumanの進歩を狂わせる恐れがありました。

彼の名誉のために、ヴォーラ氏はマスコミと会社のブログの両方で即座に応答し、会社のプライバシー慣行を変更することを謝罪し、約束しました。しかし、スーパーユーザーにとってピクセル追跡と読み取りステータスは不可欠のものとなっていたため、完全な廃止を意味するものではありません。

彼は、Superhumanは即時に位置の追跡を停止し、既存の位置情報を削除し、デフォルトでの開封確認をオフにする機能を発行すると記載しました。「これによって、位置追跡に伴う悪夢のシナリオが実際起こりうるのだと理解できました」とヴォーラ氏は述べ、後に「この点について綿密に検討できていなかったことを心からお詫び申し上げます」と言い加えました。

ヴォーラ氏は、一連の迅速かつ決断力ある対応で賞賛を勝ち取り、マスコミのプレッシャーに屈することなく、読み取りステータス情報を保持しながら、ピクセル追跡をオプトイン機能にしました。

未来に向けてのOKR

これまでに、同社はアクセスを失った場合にどうなるかを尋ねられるスーパーユーザーの「非常に失望した」が40%を超えるというOKRの主要な結果を用いて拡大しました。「私たちはまだそれを追跡しています」「しかし、将来的にはそれをより健全な測定基準にする計画です。」とヴォーラ氏は言います。

同社は現在、OKRを使用して会社を拡大し、コアバリューを次のような目標に変えることに注力しています。

O　Superhumanの体験全体を驚くべき品質に洗練すること。

KR1　四半期末までに、現在の$ Yから$ Xの年間経常収益に拡大する

KR2　モバイル：センチメント数値を現在の69％から75％に改善

KR3　デスクトップ：センチメント数値を現在の89％から92％に改善

出典：Superhuman

現在35人の従業員を抱えるSuperhumanによるOKRの使用は、個人がより個人的な目標を達成することを目指しながら、成長の新しい段階を推進するのに十分な柔軟性を備えています。

「経験豊富なマネージャーを採用するにつれて、個々のOKRプロセスを実行するために必要な規律も導入します」とヴォーラ氏は言います。

それでも、ユーザーの熱意を測定する魔法の指標が、現在の成功の鍵であることは分かっています。「OKRの使用は、当社にとって大きな変革をもたらしました」とヴォーラ氏は話します。Superhumanの順番待ちリストは現在約18万人で、ソーシャルメディアは、待ち行列を飛び越えるための紹介を求める潜在的なユーザーで賑わっています。これが、とらえどころのないPMFを達成できたと実感できる瞬間です。

(Publisher: Evan I. Schwartz)

（翻訳者：石川佳那様）

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