ボストン美術館展:吉備大臣入唐絵巻
暑さが和らぎ夏休み期間が終わっての9月に行くつもりだったが、上野の東京都立美術館で開催されるボストン美術館展に行って来た。
https://www.ntv.co.jp/boston2022/
目玉はやはり日本の絵画の里帰りであろうし、その中でも
① 吉備大臣入唐絵巻
② 平時物語絵巻(三条殿夜討巻)
③ 増山雪斎『孔雀図』
であろう。この内③は初めての日本への里帰りとのこと。
予約制なので特に滞留もなく、若干滞留していたのは平治物語絵巻だった。そこで案内の方が「特に並ぶ必要ありませんので、お好きなところらご覧下さい」といっていたのはどうかと感じたらた。絵巻は順番に見なければ意味がないので。おそらくCURATORの人ではないと思う。
私にとっての最大の目玉は吉備大臣入唐絵巻(きびだいじんにっとうえまき/きびのおとどにっとうえまき)であった。黒田日出男『吉備大臣入唐絵巻の謎』を読んでから観にいって良かったと思う。
この絵巻は12段あったと言われているが前半の6段しか残っていない。但し、絵巻の元本(大江匡房の『江談抄』巻三(雑事)「吉備入唐間事」)があるので残っていない後半6段の内容/ストーリーは推察可能である。絵巻は全体像を知ることなくいきなり見てもよく分からないのに加え、残存する絵巻に錯簡がある(黒田氏は3箇所あると推測)という説を確かめる為にも、本を先に読んでよかったと思う。黒田氏の謎解き=3箇所の錯簡推測が正解かはさておき、私も絵の流れが一部変だと感じた。
錯簡:書物の紙の順序が入れ違っていること。
美術館、博物館のミュージアムショップで買う定番のクリアーファイル、マグネット、栞で散財してしまった。
https://photos.app.goo.gl/hYf9MtyjxuvK1nDr9
それにしても、今回来日した作品以外に、ボストン美術館には素晴らしい日本美術のコレクションがあるのは、裏を返せば、明治維新以降、日本の大切な美術品が無定見に海外へ流出したことの証左である。
『吉備大臣入院絵巻』は昭和7年(1932年)ボストン美術館東洋部長を務める富田幸次郎が来日して購入。この海外流出は国民の憤激を買ったそうである。しかし、問題だったのは、国宝クラスの美術品の海外流出を食い止めることが出来なかった法整備の不備であり、流出の翌年4月1日「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」が公布・施行されている。
因みに日本四大絵巻物は
・源氏物語絵巻
・鳥獣人物戯画
・信貴山縁起絵巻
・伴大納言絵詞
である。高校の日本史B、特に文化史に興味がなく(受験科目で選ぶ予定もなし)授業中推理小説を読んでいたので習ったか記憶が定かではない。信貴山縁起絵巻以外は、書籍、ポスターなど色々なところで見かけるので、部分的には見ている(多分多くの人がそうであろう)。
因みに最新の山川『詳説日本史B』には4つとも出ている(四大絵巻物とは書いてない)。
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