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考えるヒント34 一 大リーグ養成ギブスとしてのAI

 もうだいぶ昔の高校・大学時代ですが、囲碁をやっていた時期がありました。今でもたまにネット碁をやるくらいですが、当時はだいぶハマっていました。その当時のスター棋士といえば、趙治勲氏(現名誉名人)で、当時は本因坊戦10連覇など破竹の勢いだったのを記憶しています。

  で、先月まで日経新聞の「私の履歴書」コーナーが趙治勲氏で、懐かしいなぁ、と思いながら、読んでいたのですが、29回目のAIに抵抗感にいろいろと考えるところがありました。2016年、「アルファ碁」が韓国のトップ棋士イセドルに4勝1敗で勝利したことは話題になりましたが、まだ、当時はAIにはつけ入る余裕があり、負けたのは、本人の油断だろうと趙治勲氏は判断しています。ただ、その後、AIの進化は凄まじく、今では、トッププロが2子を置いても勝てないといいます。たしか、自分の記憶では、コンピュータがチェスのチャンピオンを破ったのが1997年で、その当時、チェスはルールが単純なのでコンピュータでも勝てるが、囲碁はルールが複雑なので、無理だろう、いう論調でしたが、20年近くたって、囲碁も人間がAIに勝てなくなりました。

 なぜ人間がAIに勝てないか?それは、「AIはどんな状況でも結論を出す」からと指摘します。囲碁は、一言でいえば、陣取りゲームで、19×19=361の陣地のうち、黒もしくは白がより多くの陣地を取った方が勝ちます。ただ、終盤になると、どちらの形勢が優位なのか、アマチュアはもとより、プロでも判断するのが難しいです。一方で、この手の判断、AIは得意な分野ではありますよね。現状のそれぞれの持っている陣地、今後の打ち手を判断しながら、「黒の勝率70%」と形勢判断をする、これを毎回やられたら人間は勝てないですよね、「神様が作ったゲーム」にAIという別の神様が降臨してきた、というのはアイロニックではありますが、言い得て妙でもあります。

 というわけで、これからはどんなに逆立ちをしても囲碁ではAIに人間が勝てることはなさそうです。で、どうやってAIと付き合っていくのか?趙治勲氏が指摘するように、AIで勉強するというのは一つのやり方ですよね、人間よりも圧倒的に形勢判断が優れているAIを使って、さらに強くなる、囲碁の大リーグ養成ギブスになるかもしれません笑 

 さて、この話、ちょっと抽象度を上げると、囲碁に限らず、人間はAIとどう付き合うか?という話ではないでしょか。人間が囲碁にAIで勝てないように、ビジネスの多くの分野でAIに勝てないのは間違いないですよね。だからこそ、囲碁の形勢判断にAIを利用するなど、優れているものを利用することですよね。じゃあ、何を利用すればいいんだ?と、これはケースバイケースですが、ChatGPTとか、優れた言語モデルを手軽に利用できる機会も増えてきました。自分も最近Googleの検索以上に、ChatGPT使っているような気がします。というわけで、趙治勲氏はAIに抵抗感があるのは理解できますが笑、我々はAIを大リーグ養成ギブスとして能力大幅アップのために使いたいですね。

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