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航行

係員の誘導に従って、船内にバイクで乗り込んでいく。

床は黒板の様な緑色で、オレンジや黄色に色被りした巨大な電灯により照らされている。トレーラー用の十数メートルはある大きな駐車区画を横目に、隅の方へバイクで向かっていく。指示通りに駐車すると、船員達がテキパキとロープでバイクを固定してくれるのだが、そのプロの手際は早くて惚れ惚れする。

フェリーに乗り込んで床に足を着いたその瞬間から、足元がじんわりと揺れている。ゆりかごと言うには重力を強く感じるそれは、体の内側から海の底に引っ張られている様に思える。

地球だって回転し続けている訳なのだけれど、そう感じることすら出来ないまでの巨大さと、大地の安心感を再認識する。

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830字

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