都内のとあるNPO事務局長の新型コロナウイルス対応(事務局編)


都内に事務所があるNPOの事務局長をしています。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、うちも原則自宅勤務にしているのですが、同じように対応、工夫で苦労されたり迷っている方も多いようなので、うちの事例を参考までに。

0.もともと
まずはじめに、もともと以下の措置をしていました。
もともとの働き方や組織文化はとても影響します。
各組織の前提に合わせて取り組みのステップも変わってくると思うので、うちの前提を確認。

0-1.定時の前後1時間半は勤務時間をずらす「ズレ勤」を認めていた。
0-2.事務所外勤務を認めていた。
0-3.Office365を導入し、クラウド化されていた。
0-4.Slackで社内SNSを運用していた。
0-5.スタッフのPCは1台を除きすべてノートPCだった。
0-6.モバイルルータを5台契約していた。
0-7.Zoomの有料アカウントを1つもっていた。

0-1は個人の判断で始業・就業をずらすことができる、「ズレ勤」と呼んでいるもの。実質のフレックス。前日の18:00までに事前申告。
0-2は在宅や市民活動センター、コワーキング、カフェ、図書館などでの業務を想定したもの。こちらは事前の上長の許可を得た上で、簡単な業務報告を全体共有するルール。
0-3~0-7はあまり意識していなかったけれど、後でとても効いたのでメモ。

1.2/20感染拡大への不安が広がってきた段階
世間でもイベント自粛など日本での感染拡大が現実的となり、以下の措置をとる。事務局でまとめ、代表理事、常務理事の了承を得て、理事会にメールで報告。

1-1.対外的な会議や事業についての方針を策定。
・現時点で一律中止の判断はせず、安全対策をとった上で実施の可能性を探る。
・ただし、委託事業、寄付事業については関係者と相談の上で個別に判断。

1-2.職員の勤務について
・できるだけ在宅勤務
・事務所出勤の際はピークタイムを避ける。

このころはまだのんびりしていましたね。
とはいえ、検討の結果、ほぼすべての事業が延期に。一部、参加者が特定されている会議は実施しました。
このタイミングで総務スタッフが迅速に動いてくれて、アルコール除菌のウェットティッシュを一定数確保してくれたのは、安心材料として大きかったと思います。

ピークタイムを避けるために「ズレ勤」の枠を前後1時間半から前2時間半、後ろ1時間半に拡大。7時から勤務開始したスタッフは電車が「かなりすいていた」といっていたので効果はある程度あった様子。でも30分程度ずらすだけではあまり効果はなかったかな。
この時点では在宅勤務については、スタッフの慣れやもともとの仕事の進め方が左右して、一部しか活用されませんでした。
当初は2月中の措置としたが、その後段階的に延長し、次のフェーズへ。

2.3/25都知事会見
小池都知事が「三密!」といった会見。都から外出自粛要請が出る。

国の緊急事態宣言前ではあったけれど、事務所が東京都内であることもあって、会見の翌日に対応を一段上げることにしました。

2-1.原則自宅勤務
2-2.事務所に出勤する際は上長の許可を得る
2-3.毎朝オンラインで朝礼を行う。
2-4.代表電話は留守電対応。メールをもらい折り返すことに。
2-5.3/27に予定していた理事会はオンライン開催。
2-6.振り込みの起案期限の厳密化。オンラインの申請方法を新設。

2-2はどうしても出勤せざるを得ないスタッフがいたため。
具体的には決算対応を行う経理・総務スタッフと、小さい子どもが家にいて仕事にならない!けど止められない!という一部のスタッフ。

後者は「電車を避けて自転車で通勤する」というので認めることに。郵便は届くのと、その中に年度内対応が必要な請求書があったりするので、助かったのは確か。

経理担当者も在宅にしたかったけれど、経理のシステムがクラウド化されていないのと、現行のシステムもデジタル証明書などの設定がかなり複雑で苦労した経験があるので、決算期に環境を変えるのはリスクが高い、ということで、ピークタイムを避けた上で事務所で作業していただくことに。
今は決算が落ち着いたので、最低限の業務は自宅でできる環境は整備しましたが、すべてとはいかず、ここは今も課題。

そのほかのスタッフは数日以内に在宅に切り替えることができた。
その後、緊急事態宣言も出ましたが、原則自宅勤務の期間を5/6まで延ばした以外は特に運用に変更なし。
上半期の事業が軒並み延期になる中、下半期に事業が集中することが想定されるので、「手があけば、有給休暇も積極的にとってほしい」と「お願い」しています。あくまでも現時点ではスタッフへのお願い。
緊急事態宣言が5/6から延びる場合は、特別休暇も検討しないといけないと考えています。

Office365を入れていたことは
・業務に必要なファイルに外部からアクセスできるので、PCさえ持ち帰れば(もっと言えば自宅にPCがあれば持ち帰らなくても)業務が継続できた。
・Teamsというオンライン会議ツールが使えるので、Zoomのセキュリティの課題が出たときに併用できた。
という2点でとても大きかった。
Teamsは使っていなかったので苦労するかと思ったけれど、Zoomでスタッフがオンライン会議に慣れていたので、スムーズに使えた。

あとSlackもこれまで以上に大活躍。チームごとのスレッドがあり、全員が見れるけれど、見なくても問題ないスレッドはスルーできるので、情報共有の強度がちょうどよい。

いずれにしても、慣れはとても大事。
Zoomを使っていたからTeamsもできた、といったように、これまでのやりかたに、1つ加えるまではなんとかできるので、そうやって少しずつ。

想定してなかったのが「孤独感を感じる」という声。
スタッフの発案でZoomを使ってオンライン「おやつタイム」が不定期に開催されています。
こうやってその時々の困りごとを、協力しあいながらクリアしてくれているので助かっています。

ただ、日によってはZoomミーティングが1時間ごとに5本続く、とかあって、事務所で勤務していた時とは違う疲れ方をする。お昼のあと、ちょっと横になることができるのはいい。効率は上がっているのやら、下がっているのやら。
朝礼を始めたことで、各スタッフの業務の全体共有はこれまでよりも進んでいる気がします。

3/26にスタッフに送った案内をご参考までに。

2020年3月26日の東京都の要請を受けて、事務局の勤務体制について、4月10日まで原則自宅勤務とします。なお、チームは月曜日から、2020年度の新チームを前倒して運用します。

■自宅の業務環境がない場合
・自宅での業務環境整備のために、自身のPCを持ち帰ってください。
・自宅にインターネット環境がない、もしくは従量制で料金がかかる場合は、モバイルルータを貸しだします。必要な方はできれば金曜日までに相談してください。

■事務所にくる必要がある場合
・家庭に乳幼児がいて在宅で仕事ができない、決算業務があるなど、事務所にくる必要がある場合は、チームリーダーの判断で事務所勤務を認めます。チームリーダーにご相談ください。
・完全フレックスとします。ピークタイムを避けて移動してください。

■緊急対応中の措置
・毎朝9:30~10:00までの30分間、ZOOMでオンライン朝礼をします。
 元気かどうかとその日の業務の確認をします。
 ※ヘッドセットを持っていなければ、経費で落としますので買ってください。
 ※スマホのヘッドフォンでも十分クリアにはなります。
・これまでの在宅勤務のルールと同様、終業時にチームリーダーに簡潔に業務報告をしてください。
・「4月10日まで原則自宅勤務となる」旨をステイクホルダーに連絡をしてください。その際、業務用で支給している携帯電話を伝えてください。
・郵便物は●●さんが(電車よりもリスクの低い)自転車でチェックしに来てくれます。よろしくお願いします。
・代表電話は留守電とし、代表メールでの対応とします。
・その他、想定できていない事業ごとの懸念がありましたら、
 まずはチームで対応可能か、相談をしてください。
 必要に応じて追加措置を考えます

■その他
・この期間中、不要不急の外出はさけてください。
・手洗いや体調管理など、これまで同様気をつけてください。
・発熱などの症状が出た際はご報告ください。

参考

Slack

Office365非営利組織向けライセンス

Zoom非営利組織向けディスカウント




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