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極悪人では無い【7】

さて、お局にかなり文字数を費やしてしまった。
最後に、お局の名誉の為に言っておく。あの人は極悪人では無かった。自分の信念の為、利用者の為、信じた道を進んでいく過程で生じた些細なインシデントに過ぎない。おそらくあの人の認識ではそうだったと思う。

結果的に、あの人の背中から学ばせてもらった。「早く」「正確に」「丁寧に」...あの人の仕事への姿勢から学ぶ事は多かった。

ただ言うまでも無く、反面教師としての部分がほとんどだった。

それでも業界未経験の若者の私には、良くも悪くも様々な学びを得られた。あの時期に学んだ事は、20年経った今でも根強く私の芯の部分に残る。

だから、感謝するとは言わない、礼を言いたいとも思わない。ただ、あの人に出会わなかった介護人生は考えられない。

そして、若者の時に出会えて良かった。業界の事を何も知らないからこそ、純粋に耳を傾ける事が出来た。介護とは何なのか、仕事とは何なのか、そしてパワハラとは何なのか...何もわからないからこそ、やり遂げる事が出来た。

もし、仮に...今ここであの人に出会っていたら、職場の先輩として、今出会ったら...もう、即退職待った無し。考えただけで震える。

さて、前略、お局先輩。今はどこで何をされているのでしょうか。風の便りによれば、以前の職場は辞められているそうで。年齢も60歳を超えられているでしょう。

まだ第一線で活躍されていますでしょうか?あなたのパワーがあれば、どこでだってその力を存分に発揮されている事でしょう。そこに私がいなくて安心しております。

右も左も分からない私に色々な試練を与えてくれてありがとうございました。介護とは何なのか、仕事とは何なのか、ご指導ご鞭撻いただき、今となってはありがたい気持ちが「少し」芽生えております。

そして、これはお願いです。もし、まだ現役で働かれているのなら、そこの後輩には優しくして下さい。私達のような気持ちになる職員を思うと不憫でなりません。もうパワハラ指導は時代錯誤甚だしいです。

人は中々変わる事が出来ません。しかし、変わろうとする気持ちが大切なのだと思います。自分を客観的に見て、自己覚知して下さい。今更ですが、本来介護職員としてはそこからがスタートなのです。

人には良い部分と悪い部分があります。それは当たり前の事です。ですから悪い部分を責めているのではありません。大切なのは人に迷惑をかけない事です。

一生懸命に働く事は素晴らしい事です。だから、一つだけお願いです。決して後輩に迷惑をかけないで下さい。それでは、いつまでもお元気で。お身体にお気をつけ下さいね。敬具

続く

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