レビュー「エレファントカシマシアルバムレビュー」 第六回 奴隷天国
「奴隷天国」
アルバムの一曲目、アルバムタイトル曲を聴けば何かが始まるような予感もしますし、最終曲の「寒き夜」を聴けば何かが終わるような気分にもさせられます。つまり、本作は始まりと終わりが重なったアルバムですが、わたしは何かが始まる期待感よりも何かが終わってしまう寂しさの方が勝ってしまいました。セカンドアルバムから前作の「エレファントカシマシ5」は音楽的にはアバンギャルドで、個性を強調した作品でしたが、それこそが彼ら四人の長所だと思っていました。本作はファーストアルバム以来のロックンロールアルバムでしたが、久々とは言え、また、本来、あるべき姿なのかもしれませんが、ファーストアルバムが意図的に満足させない作品だったのに対して、本来は結果的に満足させられなかった作品になってしまったように思いました。わたしはほんの少しですが前作の「エレファントカシマシ5」の方が良かった、という消極的な感想を持ってしまいましたが、そこでも、寂しい気分にさせられました。本作はなんだか、夏の終わりを肌で感じるような寂しい気分にさせられる作品です。
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