レビュー「わたしの好きなアルバム10作品」 第九回 C .B .Jim
「C .B .Jim」
ブランキー・ジェット・シティという架空の都市とその住民の物語、それらをダイレクトに示したのが本作ですが、その世界観が刺激的で、まるで映画の一場面、その連続に興奮しました。12曲で60分を少し欠ける収録時間というのもキリが良いです。前作も同じ曲数で同じ位の収録時間、そして、本作同様、傑作でしたが、前作と本作の魅力というのはお互いの存在が後押ししているように思います。どちらが好きか?という議題には本作と答えますが、先のダイレクトに示した世界観とアルバムの最後に「悪いひとたち」が配置されているという理由です。名盤、傑作と位置付けられているアルバムにも大作でミディアム・スローな曲で終わるパターンが多いですが、その新たな代表例になったように思います。ファーストアルバムのイメージである喪失、それが頭によぎる「ヴァニラ」は緊張感のある曲ですが、本作も、また、興奮させる、想像させる、緊張させる、三拍子が揃ったアルバムです。強度が強く、ロックンロールアルバムと言いたいですが、コンセプトアルバムも兼ねた付加価値のある作品です。
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