倒れている自転車は、起こさない。私のルール

私の中で決めていること。倒れている自転車を見かけても、倒れたままにしておく。

風の強い日などは、停めている自転車が倒れることがある。親切心で立ててあげようと考える人もいるだろう。

私が自転車を倒れたままにしておくのは、親切心がないからなどという理由ではない。自転車を好きであるが故にむしろ親切心で、立ててあげることができないのである。一般の人にはこの気持ちが理解できないのだろう。

私はかつて40万円のロードレーサーを持っていた。自転車は1万円も出せば買うことはできるし、ちょっとしたマウンテンバイクなどのいわゆる”スポーツ車”も5万円もあれば手に入れることができる。それに対し40万円はちょっとした高級車だ。車体に傷が入ったり、凹んだりしたら一気に価値が落ちてしまう。

事もあろうに、このロードレーサーが何かの拍子に倒れてしまい、車体に傷が入ったのである。もう時間を戻すことはできないし、傷をなかった事にもできない。ボディブローのような痛みが心を走る。

いや、ボディブローを食らっているのは自転車である。

いわゆるスポーツ車を乗る人なら分かると思うが、車体にスタンドは基本付けない。停める時には壁などに立てかけるか、ぶら下げるか、逆さにするか、寝かしておくかという選択肢になる。

この日以降、私は倒れている自転車を見かけても、倒れたままにしておくのである。元々寝かして置いていたかもしれないし、何かの拍子に倒れてしまったのかもしれない。倒れたのだとしたら、一発ボディブローを食らっているということになる。どちらにしても、寝ている状態が一番安定である。もしここで、立て直してあげたら、もう一発ボディブローを食らわすことになるかもしれない。なんと罪深いことか。

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