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2021年のマテイ.ヨニッチ

・加入
マテイ.ヨニッチ ←上海緑地申花(中国1部)


中国語簡体字だとMatej Jonjićは「马蒂亚·约尼奇」と表記されていた。


2017年からセレッソ大阪に在籍していたヨニッチは昨季始動直前に中国サッカースーパーリーグ・上海申花へ移籍。結果的に隆矢が台頭するきっかけになったが、当時は突然の発表だった。


移籍の際は対価=移籍金はあったがそれを目的とした移籍ではないと統括部長は強調していたが、どのトランスファーマーケットのサイトを見てもフリー移籍と書かれており、正直真相は謎。
そしてクラブとしても確実に戦力として計算しており慰留につとめていたが実らず、最後は本人の意思が強かったという。ただどういった意思があったのかまで細かくは明らかになっていない。考えられるとすれば条件面で上海申花に上回れた可能性が高い。

Q:話せる範囲で構わないが、ここ数年、ヨニッチ選手は素晴らしいプレーを見せてきた。そういった選手を手放さざるを得なかった状況に対して、損失に見合う対価というか、金額的なメリットなどはあったのか?
■梶野智チーム統括部長
もちろん、それなりの対価はありましたが、対価を目的とした移籍では決してなく、我々も全力で彼を説得したつもりです。その中で、最後は彼の気持ちを尊重した、ということです。
https://www.cerezo.jp/news/2021-01-22-19-21/
■マテイ ヨニッチ選手コメント(一部)
「皆様が自分を必要としている事は誰よりも分かっていますが、家族と相談し、年齢的にもこれが最後のチャンスと思い、新しい環境で自分を試したい、という決意に至りました。私を必要とし熱心に話をしてくれたセレッソには本当に申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。」
https://www.cerezo.jp/news/2021-01-21-18-00/



上海申花とはまだ契約が残っていたが、今季なんとセレッソに再び復帰することになった。


おかえりなさい、またよろしくお願いします!


ということで、今回は昨季の约尼奇について、実際のところどうなのか?と思いググりまくったのでまとめる。




2021年の中国サッカースーパーリーグ

ヨニッチにふれる前に、中国1部にあたる中国サッカースーパーリーグ(超級リーグ、CSLとも呼ばれる)のレギュレーションについてまとめておく。


CSLは16クラブで構成、3月頃から11月頃にかけて2回戦総当たりで1クラブ30試合を戦う。Jリーグと同じ1ステージ制が元々のレギュレーションだった。
ただ2020年シーズンは新型感染症の影響により、シーズン開幕が7月まで延期された。


そこでCSLはレギュレーションを変更。
16クラブを2組に分け、8クラブで2回戦総当たり=1クラブ14試合のリーグ戦を消化。
その後各組の上位4クラブが優勝プレーオフ、下位4クラブが残留プレーオフに進み、プレーオフの結果でCSLの優勝・ACL出場権、中国2部の甲級リーグの降格を決める変則レギュレーションに変えたのだ。

ちなみにプレーオフはホーム&アウェイのトーナメント方式で、1度負けても負けたクラブ同士でさらに対戦するやり方だったため、全クラブに順位がついた。
2020年シーズン上海申花は7位だった。


そして2021年シーズン。このレギュレーションは継続された。

ただしプレーオフはトーナメントではなくリーグ戦方式に変更。
前半戦はレギュラーシーズンで2組に分かれ1クラブ14試合のリーグ戦、後半戦は各組の上位4クラブと下位4クラブに分かれてリーグ戦方式でプレーオフを行う形に。
後半戦のプレーオフで得た勝ち点は前半戦の成績に加算される。上海申花は勝ち点37で残留プレーオフ1位になったが、優勝プレーオフ8位の河北は勝ち点25でシーズンを終えている。

前半戦で優勝プレーオフにまわらないとそこで年間優勝の可能性がなくなり、逆に優勝プレーオフにまわればそこで1部残留決定、残留プレーオフにまわっても最終勝ち点で優勝プレーオフにまわったクラブを上回るパターンがある、といったまあまあクセのあるレギュレーションになっていた。




新型感染症の影響があってから変則レギュレーションを選手たちは強いられているが、CSLはそれ以外のところでもネガティブ要素が多い。

スケジュールを見ると日程が1ヶ月単位で大幅に空いている期間、中2日3日で試合が続いている期間があるが、これは感染症の影響によるスケジュール変更、ACL組が長期間不在になることや中国代表のW杯予選のスケジュールの都合など多くの要素が絡んだことによるものと思われる。

Jリーグでも観客制限はあったが、CSLは加えてクラブの財政問題が深刻化し、給与未払いに陥ったり、最悪の場合解散したクラブもある。給与を貰えない可能性があるわけだ。

感染対策も徹底しながらコンディションを調整しないといけないが、日程は変則するため、空白期間と過密日程が入り混じるスケジュールになる。
上海申花のスケジュールも、昨季は4月5月で5試合消化したあと2ヶ月試合なし、7月中旬に再開するも8月中頃まで9連戦、さらに2ヶ月中断、10月中旬からカップ戦を6試合戦い、さらに1ヶ月中断して12月中旬から年明けの1月3日まで8連戦、といった感じで空白期間が多く、試合がある期間は連戦が多かった。


調べれば調べるほど今のCSLはJリーグと比べるとかなり難しい環境だと感じざるをえなかった。



2021年の马蒂亚·约尼奇

そんな中でヨニッチもプレー。セレッソも昨季は大変だったがヨニッチも大変だったはず。


まず出場試合数をみると、公式戦全体で23試合出場、フル出場が22試合。内訳はリーグ戦18試合とFAカップ5試合。警告は2つのみ。
FAカップは全試合トーナメント方式。日本だと天皇杯に近いカップ戦。上海申花は準決勝まで進んだため試合数が多い。


上海申花がシーズン通してリーグ戦22試合+FAカップ6試合=28試合を消化したので、ヨニッチは8割近くの試合に出ていることになると考えると、普通に試合に出ており十分にレギュラーだったといえる。
(余談だがセレッソは昨季55試合もの公式戦を消化し、そのうち53試合にキムジンヒョンがフル出場している)



ちなみにフル出場していない1試合は、前半戦のリーグ戦最後の試合となった8月15日の北京国安戦。この試合に勝てば、上海申花の優勝プレーオフ進出が決まる試合だった。
しかし上海申花は7分、12分に連続失点したのち、16分にヨニッチがオウンゴールを喫して前半だけで3失点。ヨニッチは26分に交代で退き、上海申花も2-4で敗れ残留プレーオフにまわることになった。

そもそもこの試合が9連戦の最後だったのでその影響も多少あったとは思うが、動画を見た限り優勝プレーオフ進出の可能性が懸かった試合にしてはあまりにあっけなかった。



その後1ヶ月半の中断期間、10月のFAカップを経て、12月にリーグ戦が再開し残留プレーオフが始まっても、ヨニッチはレギュラーとして出場していた様子。
ただし12月21日の河南嵩山龍門戦にフル出場したのを最後にベンチから外れ、残り4試合をベンチ外になっている。

この試合は0-2で上海申花が敗れているが、動画を見るといずれの失点シーンもヨニッチが関与している。
1失点目はヨニッチが対峙した相手FWエンヒキ・ドウラードにPA内でボールを納められシュートを防ぎきれず、2失点目は相手のカウンターの流れからヨニッチがPA内でエンヒキ・ドウラードを倒し、これが反則とみなされPKを与えてしまった。



次の試合からヨニッチはベンチ外になって主に出場機会の乏しかったサブメンバーが代わりに出場している。上海申花の1部残留が決まって消化試合扱いになったことも影響したと思われる。


これでヨニッチの2021年シーズンは大きな怪我や長期離脱もなく無事に終了した。



ちょっとヨニッチが失点に絡むところばかり挙げてしまったのでセットプレーからゴールを決めた試合も挙げておく。8月6日の長春亜泰戦でCKからCSL初ゴールを決めている。



ヨニッチの2021年シーズンの出場記録はこちらを参考にした。





セレッソ在籍5年目となる2022年シーズン

CSLの日本向けの発信はあまりない(中国はネット規制もある)ので、今回調べまくって初めて知ったこともあった。

それに試合動画が多く上がっているので昨季ヨニッチがどんな様子だったかはここで知ることができる。昨季は顎髭を年中伸ばしていて、トムクルーズスタイルは封印していたようだった。

ヨニッチ自身は12月も試合に出ており、怪我も抱えていない様子なので、来日後のコンディション次第で十分に試合に出場できる状態にいるはず。



ただ動画を見る限りではパフォーマンスの内容が気になるところもある。でもこれはチームスタイルも影響していたと思う。
かつて上海申花はACLにも出場し、ディディエ・ドログバやカルロス・テべス、オバフェミ・マルティンスといった強力な個の力を兼ね備えていた時期もあったが、近年の上海申花は優勝争いに加わっておらずそこまでチームとして完成度が高いチームではなさそうだった。

ヨニッチにとってCSLでのシーズンがどこまで有意義なものだったのかは本人のみぞ知るところになるが、小菊体制に変わったセレッソにこのタイミングで戻って、果たしてかつての圧倒的な活躍を見せたヨニッチが再び見れるのか?というところが気になる。
もちろん杞憂に終わってほしい。


そして獲得したからにはチームへの影響、相乗効果がどれだけあるかという部分も含めて注目したい。
ヨニッチが今まで通り右CBで起用されるとなると、右CBが本職の隆矢や進藤にとっては勝負の場になる。チームの戦い方としてボールを大事にしたいのであれば左CBの役割は重要になる。昨季の春先にあったような進藤や隆矢がぶっつけ本番でやるといった事態は避けたい。

左CB・歩夢が抜けたポジションに誰が定着するのか、鳥海と山下も含めてCB全員にチャンスがあるポジションになる。



2019年ファン感謝デー後スタジアムを後にする桜のトムクルーズ



以上、公式発表もされたので来日と復帰戦を気長に待ちたいと思います。




≪マテイ ヨニッチ選手 コメント≫
「皆さん、こんにちは。また一緒に戦えることを嬉しく思います。僕は今、クロアチアにてJリーグで戦うための準備を進めています。そしてチームメイトやファン・サポーターの皆さんに会えるのを楽しみにしています。全力でセレッソ大阪を支え、Jリーグのタイトルを獲れるよう貢献したいと思います。コロナ禍で大変な時期ですが皆さんとなら乗り越えられると信じています。共に頑張りましょう!」
https://www.cerezo.jp/news/2022-02-17-17-00/





P.S. 加入発表すぐのユニフォーム対応グッジョブ!
いいところは褒めていきたい。

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