お金の増え方の仕組み

最近、やはりコロナウイルスの影響によって、消費税減税についての議論が持ち上がっているそうです。実現するかどうかはわかりませんが、減税という政策は経済を活性化させるために打って付けのものです。今回は、減税や政府支出といった経済政策がどのくらいの効果を持つかについて、理論的な話をしたいと思います。

例えば、政府が消費税を5%に戻し、その総減税額が5兆円になるとします。すると、日本経済全体は、5兆円分得をするのでしょうか?答えはノーです。理論的には、5兆円より多くの得をします。式を書くと長いので割愛しますが、なぜこのような現象が起きるかというと、経済には政策の効果をより引き立てる力があるからなんです。

わかりにくいと思う人は、消費者の立場に立ってみましょう。減税されると購買意欲が湧き、いつもより多くの商品を買うかもしれません。そうすると、企業は儲かり労働者の賃金も上がります。この労働者も消費者に回る訳ですから、好循環は続いていきます。このようにして、付加価値が積み重なると政策以上の効果が見込めるのです。ちなみに、政府支出を増やす政策を行っても経済の好循環が期待できます。

この理論を「乗数理論」といいます。乗数とはパラメーターとも言い、y=2xの2の部分です。(ちなみに、先ほどの例だと総減税額がx、最終的な政策の効果がyとなります。)この乗数理論もまた人の「信用」によって成り立つものです。今度は、その「信用」の部分が理解しやすい銀行の例を考えます。

町によくある銀行(市中銀行と言います。)では、倒産のリスクに備えてあらかじめ中央銀行である日本銀行に預金の一部を預けることになっています。また、銀行の利益は融資先からの利息ですから、積極的に預金を貸し出さないといけません。よって、市中銀行では実際に預金された額面よりはるかに大きな金額のお金を運用していることとなります。恐ろしいことだと思いませんか?
これは、市中銀行にお金を預けた人が、預けてすぐに全額引き出すことはないだろうという「信用」のもと行われているものです。世界恐慌などで銀行に押し寄せる人々の写真を見た人も多いでしょう。あの時、銀行側としては預金者全員に満額返せる訳がないのです。預金額の何倍ものお金を融資して、経済を動かしている訳ですから。

乗数理論によって、経済規模が著しく拡大したのも事実ですし、恐慌の際には大打撃を受けてしまうことも事実です。ほかにも、貿易の状況などにもこの理論は使われているので、気になった方は調べてみてください!!

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