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富士ヒル2024

2回目の参戦記録。前回はこちら

1ヶ月前の試走で98分もかかっていたこともあり、今回ブロンズを取れる確率は3割くらいかなと思っていた。それでも本番で「何か」が起こることを期待してスタートラインに立つ。


ふたつの手がかり

事前の告知通り、各スタートの最終ウェーブには90分ペーサーがついてくれる。私の第5スタートにはアヴニールサイクリング山梨の横矢峻選手と権田歩人選手がついてくれた。

頼もしい後ろ姿と黄色い風船

ペーサーはヘルメットに風船をつけていて、ある程度後方からでも視認できる。彼らにゴールまでついていくことができればブロンズを取れるが、どこまでついていけるのだろうか。

そしてもう一つ、公式サイトで各リング獲得のための目安となる途中経過のタイムが公表されている。これを印刷してトップチューブに貼っておく。ペーサーから千切れたときの第二の手がかりである。

貼ってる人たくさんいました

雨予報にもかかわらずスタート地点では降っていなかった。このまま天気がもってくれることを願う。どうなるかまったくわからないがそこまで不安・緊張もなく、ペーサーの2列くらい後ろで号砲を聞く。こうして2回目の富士ヒルが始まった。

スタート~5km地点

スタート前にペーサーから「斜度がきついところはじっくり行き、ゆるい部分ではスピードを上げます」と説明を受けていた。序盤は急斜面が多く、そこまでペースは上がらないかと思いきやいきなりキツイ。心拍はつねに180前後で推移する。試走のときはこんなに上がらなかったので、自分一人ではなかなか追い込めないものなんだな、そしてブロンズを取るためにはここまで追い込まないといけないのかと学びを得る。ペーサーについていく人たちの間で会話があったりして和やかな雰囲気だ。集団で走っているからテレビで見るロードレースの一員になった気もするし、ずっと高出力を求められるので現実世界でZwiftをやっている感覚もある。

なんとか集団内で5km地点の看板に到達。手元のサイコンで21分20秒くらい。バイクに貼った目安タイムと比べると1分遅れている。そもそもこの目安タイムは88分でのゴールを想定しているのでまだ全然ブロンズ圏内だ。

10km地点

苦しみながらスバルラインを登っていく。斜度が緩む直前には周りの人がいっせいに変速する音が鳴り響き、集団のスピードが上がる。まるで意思を持ったひとつの生き物みたいだ。一人で走っていると緩斜面は休憩しがちだけどいまは休める瞬間がない。心臓が悲鳴をあげているが食らいついていくしかない。

10km地点でのサイコンのタイムは38分40秒。5km地点では目安タイムに対し1分遅れていたが巻き返している。このままいければ本当にブロンズが取れるかもしれないと期待しはじめる。

一瞬の判断ミス

しかしその直後、11.5km地点で期待が打ち砕かれる。この時点で私とペーサーの間にはたくさんの参加者が入り乱れており、なんとか黄色い風船は見えるもののかなり離されていた。

急斜面に差し掛かった時だ。ペーサーを先頭とした集団は少し速度が落ちたように見えた。これ幸いとばかりにドリンクを補給し、ボトルをなおして前を見てみると風船ははるか遠くまで離れていた。その間わずか数秒、どうやら重大なミスを犯してしまったらしい。加速して追いつけるほどの脚なんて当然ない。これ以上はペーサーについていけないという現実で心が折れそうになるが、まだすべてが終わったわけではない。あとは自分のペースで完走を目指す。ブロンズが取れるかどうかは考えないで、とにかく全力を出し切ろう。

15km地点 & 16km地点

ペーサーを離れてしまってからは自分に甘えが出たのか、そもそも心肺機能の限界を超えていたのか、心拍が180を超えることは少なくなってきた。自分のペースで、でもいつもより頑張って登る。15kmの看板を見つけてサイコンを見ると58分40秒。目安タイムと比較すると1分30秒遅れているが、90分以内でのゴールまではまだ30秒の貯金があるとも言える。

16km地点には看板はないが標柱が立っている。去年の本番でも今年の試走でもこの標柱に着いた時点で70分経過していたが今回は62分、つまり8分削れている。試走時のゴールタイム98分から8分を差し引けばちょうど90分。もしかして自分はいまちょうどブロンズの当落線上にいるのではないか?という希望と、もうこれ以上ペースを上げるのは無理だという絶望が交錯する。ここからはサイコンのタイムは見ないことを決意。後悔のないように走ろうと誓う。

20km地点~ゴール

20km地点に着いて目安タイムだけを見てみる。FINISHタイムと比べると残り12分でゴールということに気づく。あと10分ちょっと苦しめば終わるのだ。ここまで十分に苦しんだ。はやく終わりたい。ブロンズを取れなかったとしても去年のタイムは更新しているだろう。

最後の平坦区間、試走では頑張っても30km/hくらいだったが今日は35km/h以上で走る。走れる。まわりの参加者の懸命な走りに勇気づけられているのかもしれない。本番ブーストって本当にあるんだな。

最後の登りを終えてゴールに飛び込む。去年よりいっぱい苦しんで今年の富士ヒルを終えることができた。

淡い期待と、その結末

ゴール直後にサイコンを見てみると90分30秒と表示されている。つまりブロンズまで30秒届かなかったということだ。92分とか95分でも受け入れようと思っていたのでこの結果に驚き、それと同時にある考えが頭をよぎる。

去年のことだ。

FINISHボードを通過してから手元のガーミンをストップ。99分17秒。あとで確認したところ公式リザルトは98分46秒。

https://note.com/kenbikyo/n/n0cfe8bce4295

つまりサイコンで計測したタイムは公式タイムよりも長いのではないか、もしそうならこの30秒は差し引かれてブロンズを達成できたのではないか、という期待である。正式なタイムを知るには下山して受付で記録証を確認しなければならない。いてもたってもいられず、すぐに荷物を受け取り富士山メロンパンの大行列を横目に下山の待機列に向かう。写真もほとんど撮っていない。今年はディスクブレーキでのダウンヒルなのでかなり安心感がある。何より自分はブロンズを取れたかもしれないという希望がとても心を軽くしてくれた。今年の富士ヒルは最後まで楽しい。

無事にスタート地点に帰還。バイクをラックにかけて足早に受付へ。スタッフの方にゼッケン番号を告げ、その場で印字された記録証を渡してもらう。ついに審判の時だ。

サイコンと公式のタイム差、わずか2秒。なぜか今年のガーミンは優秀だった。そのあと去年と同じ青いリングを受け取り、吉田うどんを食べたり友人と再会したり。こうして私の2回目の富士ヒルは幕を閉じた。

STRAVAからはブロンズもらえました (白目)

大会を振り返って

スタートから約半分の地点までを牽いてくれたペーサーの存在がとても大きかった。自分一人ではあのペースで登れなかっただろう。途中で脱落したのは残念だが、集団で走る経験やブロンズ獲得のために必要なペースなど、いろいろなことを学べたのは貴重な経験だった。自分の実力不足だけが悔しい。

ペーサーから脱落してすぐにブロンズの希望が潰えたようにも感じたが、そこから失速せずに粘れたことは収穫だった。どうしても30秒足りなかったと考えてしまうが、去年より8分以上タイムを短縮できたのだから喜ぶべきだろう。そしてまだまだ伸びしろはある。

来年に向けて

すでに今年と同じホテルを予約済である(正式な開催日が発表され次第、優先的に予約できるようにお願いしてある)。あとはひたすらトレーニングを積んで強くなるだけだ。この半年間Zwiftをやってきて飽きることもイヤになることもなかったのでこれからも続けていけると思う。SSTを繰り返してどこまでFTP, PWRを上げられるか楽しみ。とはいえせっかく新車を迎えたのでロングライドやゆるポタもしたいし、自転車とは別に登山もやってみたい。家族との時間ももっと取りたい。いろんなことをやっていこうと思う。

来年もよろしくお願いします

富士ヒルに参加されたみなさま、おつかれさまでした!
また来年も頑張りましょう!\(^o^)/


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