見出し画像

富士ヒル初参戦の記録 (2023.06.04)

せっかくnoteのアカウントを持っているわけだし、記念すべき初参加の富士ヒルで現時点では来年も出たいと思っているので、備忘録もかねてこのレポートを書く。
 
自分はロードバイクを乗り始めてから約10年、おもな用途はゆるポタ、ロングライド、ブルベなど。タイムを競うレースやヒルクライムの大会とは無縁だった。
 
それが自転車仲間のあいだで富士ヒルに対する機運が高まり、勢いで初エントリーしたのが2021年。しかし緊急事態宣言の延長や悪天候の予報など、あまり自分の中でモチベーションが上がらずにこのときはDNSを選択。
 
そして2年後の2023年。実際に走るかどうかわからずにまたもや富士ヒルにエントリー。ペーパードライバーである自分にとってまずは前日の受付や宿の確保が第一の課題だったがそれらはなんとかクリアできる見通しが立った。
 
せっかく高いエントリー費を払ったのだから少しでもいいリザルトを残したい。というわけで春ごろから白石峠に通ってヒルクライムの練習をはじめた。最初は40分かかっていたが回数を重ねるごとにタイムは縮まり、直近では36分台まで縮めることができた(それでも遅いけどね)。
 
食事についてもなるべく間食を控えるようにした。最初はつい食べてしまうことがあったが次第にお菓子を食べなくても生きていける人間に生まれ変わった。妻が隣でおいしそうなチョコレートを食べていてもうらやましいとは思わなくなっていた。この変化には少なからず自分自身で驚いた。

また、今年は3月にWBCが行われ、日本中が大谷翔平に注目していた。彼のありとあらゆる情報がメディアを通じて発信され、その中には「大谷はゆで卵を1日に10個以上食べる」なる真偽不明のものもあった。しかし大谷が食べるのだったら効果はあるのだろうと、自分もマネして味玉を大量に生産し、空腹を感じた際やローラー台に乗る前後に食べてみたりした。

その結果、1ヶ月に1kg程度の非常にゆるやかな下降線で体重は落ち、富士ヒル前にはいいコンディションを作ることができた。

月日は過ぎてあっという間に大会前日の土曜日。直前に台風がやってきて開催が危ぶまれていたが、開催することを信じて自転車仲間のクマさん (@kuma_rhm9) の友人に東京から山梨までクルマを出していただく。とてもありがたい。
 
会場で無事に受付はできたものの、スバルラインは閉鎖が解除されておらず予定していた試走はできなかった。そもそも受付した後でさえ、開催されるかどうかの正式なアナウンスがされていない。自分はスバルラインを走ったことがない。ネットや書籍の情報を見たことがあるが、実走しているかしていないかの違いは大きいだろう。明日大会が開催されれば、富士ヒルという晴れの舞台で初めてスバルラインを走る。これもいい記念になると前向きにとらえよう。
 
その後宿にチェックインしてグダグダする。夕方に「明日の大会は予定通り開催される」という正式なアナウンスがされた。倒木などがあったらしいがスタッフ皆様のご尽力によって開催できることに。本当にありがたい。しっかり寝て明日に備える。

いよいよ当日。すっきり晴れて気持ちのよい朝、涼しくて絶好のヒルクライム日和だ。クマさんが宿にアンクルバンドを忘れるというささやかなトラブルがありつつ、自分は会場のトイレ行列にならんで出走予定である第6ウエーブのスタートまで時間をつぶす。 本当にすごい数の人、すごいたくさんのバイク。日本中のサイクリストが集まっているんじゃないかとすら思える。

いい天気

午前8時10分、スタートを告げるピストルの音でついに自分の富士ヒルがはじまる。しかし会場からタイム計測地点までは大渋滞、牛歩戦術でなかなか進まない。途中でペダルを外したりして、本当にこの集団がばらけるのか疑問に思う。ここで運よくクマさんと合流。アンクルバンドは無事に発見できたみたい。でも今度はサイコンが壊れたみたい。彼は去年の大会でブロンズ(90分以内での完走)を達成しており、また前週のPeaks赤城(何回も山を登る過酷なイベント)を完走している強者。サイコンがなくてもどうにでもなるだろう。まずは彼についていってみよう。
 
会場スタートから10分くらいして、ようやくタイム計測地点の胎内洞窟入口交差点(すごい名前だな)に着く。手元のガーミンでも計測をスタートさせ、よし行こう!と思った瞬間、目にも止まらぬスピードでかっとんでいくクマさん。ああ、これについていくのはムリだと思い、すぐにプランB(マイペース)に切り替える。あれがブロンズのスピードだとしたら自分にはムリだな。目標タイムを設定しないのも面白くないので、とりあえずキリよく100分以内のゴールを目指してみようか。
 
タイム計測地点で渋滞は解消され、各参加者がバラバラに登っていく。走っている人は年齢も体形も乗っているバイクも様々だ。こんなにたくさんの人と走ることはいままでなかったので純粋に楽しい。高価なバイクに乗っている人を抜くときはちょっと申し訳なく思う。抜かされていくことにはまったく何の感情もなく、どうぞどうぞという感じ。スタートからわずか数キロでバイクを降りてゼエゼエと休んでいる人もいる。大丈夫かな?しかしいまは自分の心配をしなければ。
 
白石峠に通いはじめたころ、体重を落とせば自然とタイムは縮まるものと思い込んでいたが、同じ体重で走ってもタイムが減少することもあったので、体重よりも出力(パワー)が重要なのではないかと考えている。しかしどうすればパワーを上げられるのかよくわからない。自分の練習環境はパワーメーターもなくズイフトなどもできないので、とてもアナログな練習をしている。いままでずっとインナーで回していたのをアウターでも回すようにしたりとか。いずれにしろ白石峠=出力×心肺機能が現在の自分の仮説だ。
 
一方でスバルラインは白石峠ほど斜度がキツくない。実際に走り始めるとそこまで心肺に負荷をかけなくても進みはするので、速く登るためにはより出力が重要なのではないかと感じた。
 
前半はガーミンをまったく見ず、まわりの参加者と路面状況、たまに景色を見ながら淡々と登っていく。好天でよかった。雨になることも多いらしいからね。
 
ふいにちらっとガーミンを見てみるとスタートから45分が経過していた。ブロンズを取るなら半分の12kmを消化していないといけないが、まだ半分は過ぎていないような気がする。どういう看板があるか、どこに関門があるかも予習せずに登っているので正確な情報がわからない。
 
またしばらく登っていると16km地点という看板が見えた。つまり全行程24kmのうち2/3は終わったみたいだ。ブロンズを目指すならここで60分、100分切りを目指すならここで66分が目安なのに対しガーミンは無情にも70分が経過したことを伝えている。このままだと105分ペースか。ちょっとテンションが落ちてしまい止まって補給食でも食べようかと自問するが目標を「タイムは気にせず足つきなしで完走すること」に下方修正する。
 
引き続き抜いたり抜かれたりしているうちに、なんか見晴らしのよさそうな駐車場とすでにゴールした人の下山待機列が見える。中には応援してくれる人もいてとても心強い。そしてなぜか道が平坦になる。ヒルクライムの大会なのに平坦な道があるのか。でもどうせすぐに登るんでしょ?とビクビクして踏めない。しかし後ろからどんどん抜かされていく。もう仕方ないからギアをアウターにして下ハンを持って踏む。30km/h以上出て気持ちいい。ずっと14.1km/hと表示されていた平均速度がグングン上がっていく。平坦部分が終わり、登りが再開するが「もうすぐゴールです!」と繰り返すアナウンスが聞こえる。タイムはこの時点で96分くらい。もしや100分切れる?ゴールラインがどこかわからないままとにかく最後の力を振り絞る。やっと見えてきたラインと、そのまわりにいるたくさんの人。FINISHボードを通過してから手元のガーミンをストップ。99分17秒。あとで確認したところ公式リザルトは98分46秒。ブロンズにはまったく届かなかったが100分切りは達成できた。現在の自分にこれ以上いいリザルトを出せるとも思えない。悔しさはなく、素直にうれしかった。やりきった満足感がハンパない。
 
ゴール後はそのまま誘導されてアンクルバンド回収の行列に並ぶ。これがけっこう長い。ひさしぶりにバイクを降りて歩いてみると笑えるくらい足がプルプルしている。最初は完走の興奮もあって寒さは感じなかったが心拍数が下がってくるとふつうに寒い。荷物預かりをお願いしなかったので下山用の装備はサドルバッグに入れて登ってきた。レインウェアと冬用のグローブがあって本当によかったと思う。アンクルバンドを投函した後にクマさんに連絡をとろうとするも五合目でもともと電波状況が悪いのか、それとも人が多すぎるからなのかネットがとてもつながりにくい。仕方ないので記念写真を撮る行列に並び、小一時間待って記念撮影。

ツイッターでみんなが画像を載せている富士山メロンパンも食べてみたかったのだがそっちも行列であきらめた。そそくさと下山する列に加わり、寒い中を下っていく。しっかりブレーキを握って事故らないように(あとから聞いたところによると下りで落車事故があったらしい)。こういうとき本当にディスクブレーキが欲しいと思う。
 
どうにかスタート地点まで戻りクマさんと合流。彼はブロンズまで8秒(!)足りなかったとのこと。あのロケットスタートでもブロンズは無理なのかと戦慄。しかしサイコンがなくてペースがわからなかったのが原因であろう。
 
その後、駐車場にもどり、途中で日帰り温泉やサービスエリアに寄りつつ、午後8時前には無事に帰宅した。2日間家を空けている間、子供が熱を出してしまったらしくお世話をしてくれた妻に感謝。いまはバッグを買ってくれと言われている。バッグを買うかわりに新しいバイクを買ってもいい権利がほしいですと交渉中。
 
ともあれ、始まる前は前日移動に対する心配だったりそもそも自分がどのくらいのタイムで走れるのかまったくわからなかったりして怖い部分もあったのだが、終わってみるととても楽しい大会だった。また来年も出たいと思うし、あわよくばブロンズリングを狙ってみたい。今年は99分かかったので1.1倍の速度を出し続けることができればいいのだろうか。しかし理論と実践はまったく別問題だ。

また来年、正式な参加が決まったらこの投稿を読み直してみよう。
そのときの自分がどうなっているか、タイムカプセルみたいだな。

以上ここまで!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?