マイ・ビッグ・ファット・ウェディング サンダル
ギリシャ人女性としての人生を全うした足下たちと、
それを拒否し新たな道を歩もうとする足下。
マイ・ビッグ・ファット・ウェディング
両親と暮らす30歳のトゥーラ(ニア・ヴァルダロス)は人生を変えようと学校に通い大変身。
そして非ギリシャ系男性イアン(ジョン・コーベット)と恋に落ちるが、結婚相手にはギリシャ系しか認めない両親や親戚たちは大騒ぎ。
トゥーラの結婚の行方は。。。
サンダル
本作は主演のニア・ヴァルダロスの実体験を元にした脚本による一人舞台から始まり、それを観たトム・ハンクスが映画化のきっかけをつくり、低予算のインディペンデント映画ながら口コミにより8ヶ月のロングランヒットとなった、2002年に公開されたロマンティック・コメディ映画です。
大雨のシカゴを走る車中であくびをするトゥーラ、それを呆れた目で見た父親のガスが「早く嫁に行くんだ。」という一言から始まる本作は、トゥーラがイアンと出会い、人種や宗教、習慣や価値観といった違いをひとつづつ乗り越え、結ばれるところまでを描く約1年間を描く物語です。
物語はトゥーラ家族が経営するレストランをイアンが訪れその存在を知り、トゥーラは母親を味方につけて父親を説得し大学にパソコンを習い直しにいくことになることから物語が動き始めます。
注目のシーンはその直後です。
ギリシャ人女性が辿る人生とは違う生き方を模索していたトゥーラはパソコンを観光業に活かすコースを見つけます。
そのことを観光業を営む叔母に相談し、雇ってくれと頼み込みに行き、叔母はすぐさま快諾。
その直後に母親と叔母とトゥーラで父親を説得しに行く道中のシーン。
店を向かう3人の足下、左から叔母、トゥーラ、母親と並んで歩いていきます。
叔母は快諾したもののそれをどのように父親に納得させるか、どのようにトゥーラを叔母の元で働かせるというアイディアを父親が自ら思いついたと思わせるか、を話し合っています。
その際のそれぞれの足下にはそれぞれ異なった靴が履かれています。
叔母は黒いエナメルのパンプスを、トゥーラは白い馬に人が乗っている刺繍の載ったサンダルを、母親はブラウンの革のサンダルを。
ここで示されるのは叔母と母親のこの作品で描かれるギリシャ人女性としての人生を歩んだ二人の足下と、あくまでもその人生とは異なる道を歩みたいトゥーラの足下です。
それまでの会話で説明される、ギリシャ人女性としての人生。
それはギリシャ人男性と結婚して、子供を産み、親戚を含めた家族を食べさせていくことを全うする人生です。
叔母と母親はそれを全うしたキャラクターとして描かれ、それに反発するトゥーラという構図でストーリーは進みます。
しかし同時におそらくそれ以外の人生の可能性考えていた二人であることが、それを望んだトゥーラの味方となることで示唆されています。
つまりこの3ショットは正反対の2つの考えと、しかし実はその一方の新しい考えを羨ましいと考え、応援したいと思う、同じ方向を向いた歩みであることが汲み取れます。
その後、トゥーラはイアンと結婚するまでの道のりで何度も父親とぶつかることになりますが、先のシーンのごとく、その都度叔母と母親はトゥーラの味方となってれます。
人種や宗教や習慣や価値観、それが異なっていても理解し合えたり乗り越えられる可能性を示してくれる美しいストーリーを是非足下の違いと共にお楽しみください。
サポートいただいたものはすべてnoteの記事作成のために活用させていただきます。