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0221 『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』現代人が読むべき良書

★★★★★
to  “聴くこと”について一緒にじっくり考えたい方

コミュニケーションと人の成長が、多大な関心事となっている中、読んだ本。これまで読んだ本の中でも、何度も読み返したいと思わせてくれる本。

読む前の期待 - 行動がどう変わるか

“聞く力”が注目される昨今。ストレートなタイトルと話題性で読んでみることに。装丁からみるに、データや統計、実験を根拠とするHow to本という、哲学的な要素を含んだものなのではと思った。

聞く力が、直接的に知性や創造力につながるという話か。それとも、聞く力の構えが、波及的によい循環をえるという話か。いずれにしても、自分にない切り口で、背中を後押ししてくれそうな本だといいなと思う。(2022/3/30)

目次 (一部要約)
1 聞くこと-忘れられている
2 きちんと話を聞いてもらえた経験が少ない
3 聞くこと-人生を面白くし自分も面白い人物に
4 聞くこと-親友仲もレッテルからも守る
5「空気が読めない」とは何が起こっている?
6「会話」には我慢という技術がいる
7 反対意見を聞く≠ 聞かなければならない
8 ビッグヒット-消費者の声を聴くことから
9 話のコントロールやめる→チームワークUP
10 話にだまされる人、だまされない人
11 他人もの会話は、自分の内なる声に影響
12「アドバイスをしよう」と思って聞くと失敗
13 騒音は孤独のはじまり
14 スマホに依存は企業は儲けさせる
15「間」を厭わない人はより多く情報を引出す
16 人間関係の破綻原因は話を聞かないこと
17 だれの話を「聴く」かは自分で決められる
18「聴くこと」は学ぶこと

要約 -サイトより-

『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』の原題は、”You’re Not Listening :WHAT ARE YOU’RE MISSING AND WHY IT MATTERS”です。ずばり「あなたは聞いていない」とハッとする問題提起…。投げかけられる最初の質問は、「最後に誰かの話に耳を傾けたのはいつですか?」そして「誰かがあなたの話を本気で聞いてくれたのはいつですか?」

数多くのインタビューを行い、ニューヨークタイムズにも寄稿するジャーナリスト、 ケイト・マーフィが、ときにユーモラスに「私たちが聞いていない」理由、そして聞いているつもりでいるときにに私たちにが何をしているのかを解説したのが、『LISTEN』です。
https://sakudoku.com/review/self-development/listen

感想❶ 不確実性のある知らない人への好奇心をたやさないこと

人間はたいてい、社会的には不確実性を嫌う。が、生きた実感をいちばん味合わせてくれるのは不確実性と筆者。予定調和より、偶然が生み出す出会いや発見に喜びを感じる自分を知っている。この感覚は大切にしたいと思った。

そのためには好奇心をたやさないこと。好奇心は思い込みを薄める効果あり。打算は捨てる。好奇心をもち、粘り強く相手に心を開き耳を傾ける。結果として、お互いWinwinとなれる相互理解、知識の交換、感覚の共有と、相違の受け入れができる。

“深く話を聴いたことがある人とは、久しぶりに会っても昨日ののうに戻れる”と筆者。この言葉には勇気づけられる。豊かな人生を波紋状に広げたい。

感想❷良い聞き手になりたいもの

ここまでですっかりこの本が好きになっている。”聴く力”というスキルにおいて、自分の成長の伸び代を感じていたからでもある。よい聞き手とは何か読み解いていく。

“話し手と同じ感情になって聞ける人”という側面があると筆者。“この人は、なぜ、この話を私に聞かせているんだろう?”という自問から整理して聴き進める。この感覚を大事にすると、たとえば、どんなにつまらないと感じる話にも、その人なりの感情や言葉運びを知れる。癖や思いがわかるようになる。

そのことで次にできることが、”相手が自分でもわかっていないことを聞き出す”こと。事実の裏の感情をたどる。筆者はこれを”共感”と指す。これは、聞き手冥利に尽きるというか、言葉でコミュニケーションができる人間冥利に尽きるといえよう。

感想❸ 頭で先回りしないこと

誰かと話をしながら、次に話すことを先回りして考えすぎて、その場の会話が上の空になる。これは、是非直したいと思っていたので、この点にふれている、本書Chapter6はかなり刺さっている。

自分の処理能力を過信せず、余った情報処理のキャパを並列に使うべきではないと筆者。相手の話を理論的、直感的、感情面もふくめて理解するために全力をあげるべきとのこと。

かなりの腹落ち度。もし相手の話が、どんなにつまらなくて冗長と感じるとしても、きちんと聴こうすると、不思議と不快じゃなくなるのだそう。ここの理解と実践が身につけば、コミュニケーションのレベルがかなり向上するだろう。と直感させてくれた。

言い換えると、次に何を話そうか?と先回りせず、直球で受け止めて、受け止めた末に自分から素直にでてくる感情や言葉を待つこと。粒子がそろってない、格好悪い言葉でも、水が流れるように感情とともに放たれる言葉なら、そのほうが健全だろう。

何を言っていいかわからないときは、”何を言っていいかわからない”といっていい。これは、ジャーナリングにも似ている。普段からの思い癖から言葉が生まれることもあるので、個人的には、ポジティブな思考傾向であるべきとも思う。

感想❹”アドバイスしよう”という立ち位置を捨てるべし

Chapter12は、“アドバイスをしようと思って聞くと失敗する” という題字。身に覚えがありすぎて、どきっとさせられる。ゆっくり紐解いて読み進めたくなった。

自分では相手のためを思ってと思い込んでいるケースがあると思う。アドバイスという神聖なる言葉の裏には、会話におけるナルシズムの現れがあり、最悪なのは的を得ない、”自分はすごい”と見られたいだけの質問や返答。青ざめてしまう。ふりかえると身に覚えのある過去があることをここに吐露する。

決めつけ、思い込み、よかれと思って。自分で会話をコントロールをしたいばかりに、強引に”ずらす対応”をしてしまう。よい聞き手は”受け止める対応”をすると筆者。

もし相談をされたとき、具体的にはどうすべきか?まず筆者がいう”すべきではないこと”を列挙してとく。・気持ちが理解できるという・問題の原因をつきとめる・どうすべきかをいう・心配事を矮小化する・無理やり陳腐で言葉やポジティブな視点を使う・相手の強さを賞賛する

全部やってきた気がする。相談内容や会話の流れをふまえると全否定するべきとのではないとは思う。が、基本スタンスは、話し手自身が自分で気づいて能動的に解決することが大切。そのフォローアップとなるよう真摯に向き合い、シンプルに質問を重ねることを励行している。腹落ち。

まとめ - 相手への好奇心と素直な反応

今感想を書くため、ハイライトした箇所を見直した。刺さる箇所が多すぎて、感想が膨大な量に。よって、Apendixに一部移した。

1on1雑談はとてもよい活動と確信

自分は昨年から、プライベートで1on1雑談というとのを始めた。普段掘り下げない個人個人の足元の仕事や活動の所感から、人生のテーマ、どんなふうに死にたいか。といった質問構成。そして相手への好奇心を増幅させ、相手が気づいていないよいところを見つけて言語化する。

言語化して記事にするところまでいくと、だいぶ喜んでくれる。書いている自分も、その人を深く洞察することになり、ときに、妄想、空想で補足して答え合わせをしたりも。この本により、その活動が後押しされた気がするのと、まだまだ自分のバイアスや構えが足りてなかった部分を気づかせてくれるものとなった。

自分の自我を捨ること-素直でポジティブな心で

2021年の夏。苦い経験がある。職場で人間関係に悩む後輩女子社員がいた。職場でのふるまいや人生の進路について相談を受け赤羽のコメダ珈琲で話した。

さまざまな話題で盛り上がりはした。気づけば4時間たっていた。コーチングなどの見識もあり、わかっているつもりだったが、自分が70%くらい話をしてしまった。これは大反省。相手と向き合って、話を受け止められていただろうか?盛り上がっているのを良いことに自我はでていなかったか?今思うと拙い”聴き方”をしてしまったと思っている。

その後、部署も変わり、その社員とはコミュニケーションする機会が減った。彼女はその後、いろいろ悩んだ末、転職するにいたったと聞いた。詳しく理由はわからない。が、今思えば、あのコミュニケーションした時間に、何か彼女が自分の課題に気づき自発的に対処するような活力を与えられたのではと、後悔している。

人生のテーマを探る

今後も、コミュニケーションにおいては、ときどき人生の指針として読み返す本となった。2022年元旦に個人のパーパスステートメントを作った。7ヶ月たって解像度の弱さが目立つ。このコミュニケーションに関わる諸問題を人生の一大テーマにしてもよいのではという着想が浮かんでいる。 

おわり

Apendix 


その他  個人的に”刺さった”内容多数

扁桃体の話、認知的複雑性の話、心理的安全性の話、即興劇と聴く力の話、自己監視力の話、多くの人の話を聞くほど人間の多様な側面に気づき直感も冴えること、辻褄が合わない会話をそのままにしないこと、スパンキーの話、文字通り聴力としての聴く力の話、電話の音声通話のビットレート割り当てケチってる話、携帯電話があるだけでそのテーブルには親近感が生まれない、マルチタスク幻想、DEAD AIR(間)、宗教は沈黙を大事にしている、うわさ話を聞くと自己肯定感があがる、うわさの価値、うわさと信頼、自分の気持ちを率直に人に伝えすぎることはよいことではない(自我優先になりがち)、誰と話すか考慮にいれる、あなたが話を聞けない人はどんな人か

目次詳細

chapter1 「聞くこと」は忘れられている
・「話を聞かれない」と孤独になる
・「聞きなさい」と言われて聞かされる話は「会話」ではない
・「暮らす人」の声に耳をふさいだ政治家が分断を生んだ
 
chapter2 私たちはきちんと話を聞いてもらえた経験が少ない
・「天才」も、聞くことによって共有される
・孤独をいちばん感じるのは、「よいことが起こった」のに誰にも注意を払ってもらえないこと
 
chapter3 聞くことが人生をおもしろくし、自分自身もおもしろい人物にする
・見知らぬ人よりも、「知っている嫌な人」に話しかけてしまう理由
・人の話を聞かないことは、何も起こらないつまらない人生
 
Chapter4 親しい人との仲もレッテルからも「聞くこと」が守ってくれる
・友情を維持するいちばんの方法は、「日常的な会話」
・半分以上の人は、「心配事を仲のいい人には話さない」
 
chapter5「空気が読めない」とは、そもそも何が起こっているのか
・「よい聞き手」とは、話し手と同じ感情になって聞ける人
・相手が自分でもわかっていないことを聞けるのが、優れた聞き手
 
chapter6 「会話」には我慢という技術がいる
・自分の考えを忘れて相手の話を聴いた方が、結局おもしろい会話になる
・嫌なやつでも、聴こうとすれば不快感は少し減る
 
chapter 7 反対意見を聞くことは「相手の言うことを聞かなければならない」ことではない
・優れた聞き手は、「相容れない考え」に耐えられる
・グレーゾーンに耐えられる人は、アイデアを思いついたり、判断をするのが得意
 
chapter8 ビッグヒットは消費者の声を「聴く」ことから生まれる
・聞き上手は「なぜ?」という質問を使わない
・うまく聞ければ、自分ひとりでは絶対に見られなかったものが見られる
 
chapter9 チームワークは、話をコントロールしたいという思いをやめた人のところにやってくる
・最も生産性の高いチームは、全員の発言量が同じくらい
 
chapter10 話にだまされる人、だまされない人
・優れた聞き手になるには、「自分の弱さを理解する」
・先に相手に話をさせて会話を操る
 
chapter11 他人とする会話は、自分の内なる声に影響する
・読書は自分をつくる
・多くの人が、自分に批判的な内なる声を持っている
 
chapter12「アドバイスをしよう」と思って聞くと失敗する
・話に素直に耳を傾けるためには、冒険心がいる
・「アドバイス」をしだす人は、きちんと相手の話を聞いていない
 
chapter13 騒音は孤独のはじまり
・話のニュアンスも、脳は聞きとれる
・難聴にならないために騒音に気をつける
 
Chapter14 スマートフォンに依存させればさせるほど、企業は儲かる
・「聴くこと」は、最高の友情でもある
・よく聞いていないと間違いなく交渉は失敗する
 
Chapter15 「間」をいとわない人は、より多くの情報を引き出す
・0.5秒以上の沈黙があると、人はそれを不満や罰だと解釈する
 
Chapter16 人間関係を破綻させるもっとも多い原因は相手の話を聞かないこと
・「だれかの悪いうわさ」を聞くと、自己肯定感があがる
・自分が聞き逃したと思った人間関係は、大抵手遅れ
 
Chapter17 だれの話を「聴く」かは自分で決められる
・なぜあの人は、婚活でも自分の話だけしてしまうのか
・聞くという過程で親密になったり相手のことを理解できる
 
Chapter18「聴くこと」は学ぶこと
・優れた聴き手は、愚かな人を見わける
 

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