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0167 めくるめく”用の美”の世界-日本民藝館へ

【街歩き】
to 民藝の世界観を好む方

目黒。東大駒場キャンパスに囲まれた地に、日本民藝館はある。訪問後に考えたことまとめ。

僕らはきちんと見れていない-まとめ

この投稿。webにて、民藝館、民藝を調べまとめ出していた。だが。何か違う。そんな粒子を整えるような投稿では得られるモノは少ない。構成を変えて、このもやもやした気持ちから始める。

民藝館の創設者は柳宗悦(むねよし,※しばしば、そうえつ)。民藝品を「民衆」と「生活」と「実用品」三つの性質が結ばれたものとする。「用の美」をうたう。
“ものが人に対して便利に使われる「用」”
”精神的な充実を与えるという「用」”
“民藝”の用の美は、単に物資的な機能美ではなく、精神的なつながりをもつ概念と思う。そこから感じいるもの、その総称が民藝なのだと思う。

もやもやは、そんな概念と受け手の自分の行動とのギャップから。目に見えるものだけを表面的にとらえてしまうことの多いこと。”民藝”はそんな問題提起そのもの。モノに宿る文字通り”用の美”ともっと向き合わないとと思わされました。

全体的な感想を先に書きました。ここから、民藝を客観的に辿る丁寧投稿に。

日本民藝館とは?

日本民藝館…「民藝」という新しい美の概念の普及と「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠として東京都目黒区駒場に1936年に開設。

1926年に思想家の柳宗悦(1889-1961)ら企画。社会事業家の大原孫三郎をはじめ多くの賛同者の援助を得ている。

「民藝品の蒐集や保管」「民藝に関する調査研究」
「民藝思想の普及」「展覧会」が主たる仕事。

柳の審美眼により集められた、陶磁器・染織品・木漆工品・絵画・金工品・石工品・編組品など、日本をはじめ諸外国の新古工芸品約17000点が収蔵。その特色ある蒐集品は国の内外で高い評価。

初代館長…柳宗悦
二代目…陶芸家の濱田庄司(1894-1978)
三代目…宗悦の長男でプロダクトデザイナーの柳宗理(1915-2011)
四代目…実業家の小林陽太郎(1933-2015)
現在…プロダクトデザイナーの深澤直人

(一部加筆修正)
日本民藝館
パンフレット

そもそも”民藝”とは何か?

民藝とは?

無名の職人達が作った民衆的工芸品。民衆の用いる日常品の美に着目。

柳宗悦が定義した「民藝品」の条件

1.実用性…鑑賞のためではなく、実用性を備えていること
2.無銘性…無名の職人によってつくられたものであること、名をあげるための仕事ではないこと
3.複数性…民衆の需要に応じるため、数多くつくられたものであること
4.廉価性…民衆が日用品として購入できる、安価なものであること
5.地方性…色、かたち、模様などに土地の暮らしに根ざした地域性があること
6.分業性…量産を可能にするため熟練者による共同作業でつくられていること
7.伝統性…先人が培ってきた技術や知識の蓄積にのっとっていること
8.他力性…個人の力よりも、気候風土や伝統などの他力に支えられていること

8つの条件が大変興味深い。特に”複数性”、今の言い方で、一定の大量生産。芸術品との違いが鮮明。暮らしそのものに美を見い出す。暮らしを内包する。

また、先日訪れたフィンランドデザイン展。フィンランドのモノについて。自然から着想し、暮らし機能が融合、工業的な生産に。少し”民藝”と通底するものがあると思った。

民藝館ギャラリー

正面。春そよそよ
エントランスがもうわくわくさせる立体感
住みたい。匂いもたまらない
昔話にでてくるようなしつらえ
“用の美”が少しわかったような気がする
陶磁器は奥深すぎて
わからないことが多い
しっかり一度つくってみて
手触り感を知るべきと思っている
雑誌民藝

※撮影不可で一部素材ページ引用。

東大駒場前、素敵カフェ”Lim”
東大駒場前グルメ”ルーシー”

民藝の入り口に

いろいろ書きましたが、この深淵な民藝の世界の入り口に立った気分。まがりなりにもものづくりの会社に勤めている。こういったモノへの構え、考えをもっておくことは、よいことだ。

本を2冊買った。これから飛び込む。

民藝とは何か/手仕事の日本

(参照) News Picks”民藝と共生”感想

News Picks落合さんの動画。視聴とその感想。

News Picks 民藝と共生(2021/12/15)

概要

民藝。それは「民衆が用いる工藝品」、つまり名もなき職人の手から生み出された生活道具のことを指し、こうした日常で使う道具には用に則した「健全な美」が宿っているとして、思想家・柳宗悦らによって1925年に作られた言葉だ。

当時は、モノが大量生産されはじめた時代。失われて行く日本各地の「手仕事」の文化を案じ、物質的な豊かさだけでなく、より良い生活とは何かを追求するために民藝運動は始まったという。

現在においても伝統や文化、生活のあり方にどう向き合うかは大きな課題だ。より良い生活とは何か、文化をどう守り、どのように価値を再構築できるのか?民藝との共生を考える。

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感想

モノを扱う企業に籍をおくものとして、とても興味深い回でした。

地方の民藝品の再興。マーケティングによる価値の再定義、海外への販路の拡大、応援購入。SNSなどを通じてその価値を共有しやすくなっている現在。
この回は、そういった経済性の話というより、民藝をITとからめて思想的に捉え直し未来をふくめ俯瞰。自分ごととして考えさせられ総じてワクワクしました。

民藝という言葉が定義された1925年。そこから100年後の2025年にむかって、どういう広がりと深まりがあるか。個人的にはものづくりと自分の人生によい変化も与えていきたいです。

その他ささった内容↓
▶︎民藝とITの仕事の共通性
▶︎民藝は身体性に近付く
▶︎説明から始めず直にモノと出会ってもらう
▶︎こぼれおちていくものに価値を与える
▶︎禅からマインドフルネス。民藝もアップデート
2021/12/25

参照
NewsPicks 民藝と共生
日本民藝館
yaora
wiki”日本民藝館”

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