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コロナウイルス肺炎による金融市場暴落劇 邦銀保有のCLOについて

やや古めの数字ですがCLOの保有残高は以下です。

農林中金:6兆8000億円
三菱UFJ、三菱UFJ信託銀行:2兆5000億円
ゆうちょ銀行:1兆円
みずほ銀行:5000億円
三井住友信託銀行:3048億円
三井住友銀行:770億円

CLO(Collateralized Loan Obligation)とは?
和訳はローン担保証券です。CLOは金融機関が事業会社などに対して貸し出している貸付債権(ローン)を証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券です。CLOは、シニア債(AAA)・メザニン債・劣後債(AA,A,BBB,BB)・エクイティといった支払優先順位の異なる数種類の債券が組成されます。ローンからの元利金は支払優先順位の高い順に支払われますから、発行体が同一であっても、階層の異なる債券ごとに、それぞれ異なった格付けが付与されてます。

リーマンショックの際に大問題になったCDO(Collateralized Debt Obligation)は国や企業に対する貸付債権や公社債といった大口金銭債権を裏付資産とするものです。この貸付債権にサブプライムローンをたくさん含めてしまったのです。

間違えてはいけないのは証券化商品の全てが悪でリーマンショックが発生したのではありません。私が知る限り、リーマンショック時に、実際CLOではロスは出てないです。大爆発していたのはデリバティブを含有したCDOでした。それからリーマンショック前のCLOはCLO1と呼ばれており、リーマンショック後のCLOはCLO2と呼ばれています。何が違うかと申しますと劣後部分が厚くなったことです。AAA格付を付与されたシニア債の安全度を増すために劣後部分が25%くらいから35%くらいまで増やされたのです。万が一元本が毀損してしまうような事由が発生した際、この劣後部分がそれを吸収してくれるのでシニア債の保有者は守られるのです。

現在邦銀が多く保有しているCLOの多くは米国S&P社やMoody's社からAAA格付を付与されたものです。
                                  コロナウイルス肺炎による金融市場暴落劇の中で、果たしてCLOはどのような動きになっているでしょうか?

シニア債はまだ少しの動きで済んでいます。スプレッドがL+130bp-140bpくらいです。コロナ前の1月にプライシングされた案件はL+118bpでしたので、せいぜい10-20bp程度のスプレッドのワイド化(価格低下)が起きている程度です。ところが裏付けのレバレッジローンは価格下落が顕著で、現在88-89%くらいの価格で11-12%の下落となっています。

結論から申し上げますと、今の段階ではCLOが原因で邦銀危機は心配ないということです。勿論、今後の市場の展開によりどうなるかは分かりませんが、すぐにも市場混乱=CLO暴落=銀行危機とはならない筈です。

某メディア取材のCLOについての㊙︎データ
https://youtu.be/AuSz9yBirMA

立沢 賢一

〜投資家サロンについて〜
投資の世界では勝てない投資はしてはいけません。 勝つ為に徹底的に戦略を立てなければいけません。私は住友銀行/メリルリンチ/バンク・オブ・アメリカ/HSBCと長きに渡って金融スペシャリストとして活動してきたノウハウを存分に活かして投資はしていますが、その時のコネクションなどは一切利用していません。
つまり “全ての方が真似できる可能性がある” と言う事です。
知識やノウハウ、投資スキームまで私が長年かけて編み出した無形資産を後継者を継承したいという思いから惜しみもなくご教示致します。

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