米国株マーケット考察 2021.1.30

マーケットサマリー

米国株式相場は急反落。ダウ工業株30種平均は前日終値比620.74ドル安の2万9982.62ドルと、約1カ月半ぶりに3万ドルを割り込んで引け、ナスダック総合指数は266.47ポイント安の1万3070.69で取引を終えました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前日比2億0641万株増の16億2375万株でした。

昨日のコメントで指摘しました投資家の不安感を示す米シカゴ・オプション取引所「恐怖指数」(VIX 指数)の29日終値は33.09となり、前日比9.53%上昇しました。20を超えると投資家の不安心理が高まっていると評価されるこの指数は日中一時37を超える場面もありました。

昨日の米国株式相場要因は個人投資家による投機的な取引で相場が不安定化するとの警戒感が広がったのと、月末要因で利益確定売りが活発化したことです。

前日急落したゲームストップ株は約68%高と再び急騰。年初来で株価は約17倍となりました。SNSで連携した個人投資家の取引を受け、空売り戦略で損失を出したヘッジファンドが一部他銘柄に利益確定の売りを出して穴埋めをしていたのが相場の下落に拍車をかけました。

また、ジョンソン&ジョンソンのワクチンの臨床試験結果が株式市場に不安感を与えました。同社が4万4000人余りを対象に実施した臨床試験で、中程度から重度の症状を予防する有効性が僅か66%と発表されたのが理由です。

すでに接種が始まっているファイザーやモデルナのワクチンと比較すると、有効性66%は低い数値であることから、ワクチン接種と有効性への疑問が広がりました。

極左で有名な民主党ウォーレン上院議員が「米証券取引委員会に対して株価が企業のファンダメンタルズを反映するように行動を求める」と発言した事は相場には影響を与えませんでしたが、今後不安感を与える要因になるかも知れません。

今週一週間では、ダウ工業株30種平均が3.27%安、S&P500が3.31%安、ナスダック総合指数が3.49%安とそろって大幅反落。1月月間ではナスダックが1.42%高と3カ月続伸となりましたが、ダウ平均が2.04%安、S&P500が1.11%安とともに3カ月ぶりの反落となりました。


用語解説


-VIX指数(恐怖指数)ー米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が、S&P500種株価指数を対象とするオプション取引のボラティリティ(変動率)を元に算出、公表している指数。英語では別名Volatility Index(略称:VIX)と呼ばれています。
将来の相場に対する投資家心理を反映する指数とされており、一般的にVIXの数値が高いほど投資家の先行き不透明感も強いとされます。 通常は、10から20の間で推移することが多いですが、相場の先行きに大きな不安が生じた時には、この数値が大きく上昇するという傾向があります。

立沢賢一とは

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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