米国株マーケット考察 2021.1.20

マーケットサマリー

米国株式相場は反発。ダウ平均は116.26ドル高の30930.52ドル、ナスダックは198.68ポイント高の13197.18ポイントで取引を終了しました。ニューヨーク証券取引所の出来高は前営業日比1億6908万株減の11億1930万株でした。

米主要経済指標の発表に乏しく、手掛かり難となる中、昨日はダウは前営業日まで3日続落していたこともあり、買いが入りやすい状況でした。

その中で、次期財務長官に指名されたイエレン前連邦準備制度理事会(FRB)議長は上院指名承認公聴会において、大規模な追加経済対策の必要性を訴えたほか、増税の実施をパンデミック終息後まで先送りする計画を明らかにしたことで安心感が広がりました。

イエレン氏は公聴会で、議員に対し追加の新型コロナウイルス対策で「大きく行動」するよう呼び掛け、歴史的低金利の環境であるので、債務拡大につながっても長期的に苦しんでいる国民を救える恩恵はその代償を上回るとの考えを示しました。

また、市場ではインフレが上向くとの観測が根強いと予測され、原油など多くのコモディティー価格が値上がりする中、バイデン次期大統領の追加刺激策や賃金引き上げに向けた動きが追い風となり、金利は今年上昇する見通しのようです。

ところがイエレン氏のコメントに対する反応は、どちらかといえば金利高・ドル高・バリュー株買い的なものだと思うのですが、実際には金利安・ドル安・グロース株買いが見られました。

昨日はゴールドマン・サックス社の昨年第4・四半期の好決算が発表したものの、株価は2.3%マイナスとなり、イエレン氏のコメントが市場に持続的に影響を与えるか否かはもう少し時間をかけないと分からないです。やはり株式市場は具体的な目先のテーマを探しているように思えます。

用語解説


-バリュー株ーバリュー株とは、売り上げや利益の成長がさほど期待できないなどの理由から、現時点の株価が本来的な企業価値を考慮した水準に比べて安いと考えられる株式のことで、「割安株」とも呼ばれます。

知名度の低い企業が多いことから、堅実経営を続けているような場合でも、投資家の人気は低いのが一般的です。値動きも値幅も地味になりがちで、いったん売り込まれたまま放置されているケースも目立ちます。

-グロース株ーグロース株とは企業の売り上げや利益の成長率が高く、その優れた成長性ゆえに株価の上昇が期待できる株式のことで、「成長株」とも呼ばれます。

革新的な商品やサービスを通じて市場シェアを拡大し、増収増益を続けているような企業が多く、一般に投資家の人気が高いという特徴があります。ひところのIT株のように、ほんの数年で株価が数倍~数十倍に上昇するものも珍しくありません。


立沢賢一とは

元HSBC証券社長。
会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。
・立沢賢一 世界の教養チャンネル
http://www.youtube.com/c/TatsuzawaKenichi

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