株価急落の要因5選と2番底の可能性-マーケット考察-2020.6.12

米国株式市場は全面安。
ダウ平均はマイナス6.9%、好調だったナスダック総合指数はマイナス5.27%、S&P500はマイナス5.89%でした。

急落の原因は明らかで、
(1) 市場はポジティブな材料出尽くし感が出ている中、FEDの慎重な景気見通しに嫌気

(2) 経済再開への期待とは裏腹に、米国での感染第2波の広がりが伝えられており、テキサス州では新たな感染者が1日としては最多を更新したほか、フロリダ州でも週間ベースで過去最多となり、米国では感染者が200万人を超えた

(3) 6月に入ってからほぼ一本調子でダウ平均で2040ポイント(8.0.3%)、ナスダック総合指数で626ポイント(6.62%)も上昇しており、未実現利益を含んだ株式を保有している投資家が利確のタイミングを狙っていた

(4) ここしばらく新型コロナに対する楽観主義が独壇場で相場のセンチメントを支配していたが、悲観主義の台頭により、ダウ平均で1900ポイントにも及ぶ激しい下げ幅にこの下げが単なる調整ではなく2番底狙いへ向かうのではないかという警戒感が高まり、売りが売りを呼ぶ展開となった

(5) ミネソタ州の黒人殺害に端を発する抗議デモで、トランプ再選に一時的に黄色信号が点灯したとの見方も出てきたことで金融業界にとってマイナス材料となった ( ビル・クリントンの例を見るまでもなく民主党だからと言って金融業界が拒否反応を示すわけではないですが、やはり最近の民主党左傾化は金融業界にとって懸念材料ではあります。4年前の大統領選前に、ヒラリークリントン候補がウォーレン氏を財務長官に指名するという憶測が流れて、市場関係者に焦燥感を与えたのが思い起こされます。これが背景となって、金融市場はトランプ当選を予想以上に歓迎した記憶があります。バイデン候補も極端な市場経済信奉者を登用する必要はないでしょうが、イデオロギーで経済運営ができる牧歌的な時代は遥か昔に終わっていますからやはり専門家が必要なのです。)

が挙げられます。

昨日のコメントで
「 ボーイング社の株価が6.2%安とダウ平均全体の下げを主導しましたが、ダウ構成主要株であるボーイング社株が1日で26%上昇したり6%以上下落したりと、平常時ならそれほどの価格変動幅がない安定銘柄がこれ程の動きを呈しているのはやはり相場が落ち着けていない象徴となっています。」と申し上げましたが、昨日も15.81%下落しました。

ボーイング社の株価は先月の安値からほぼ2倍まで上昇し、今月の高値から既に26%以上下落しています。ダウ指定銘柄とは思えないような大幅な変動幅なのは、新型コロナショックの影響で航空業界の未来が吉とも凶ともなり得ることを示唆しているのです。

ボラティリティ(変動)・インデックスである恐怖指数(VIX指数)は40.79と4月23日のレベルまで上昇し、今月に入ってから20台と比較的安定していた数値から急上昇しています。

ポイントは昨日の急落が1日で終わりなのか?数日間に及ぶ下げになるのかです前回散々揉み続けていたダウ平均24000台を切ってしまうと本当に二番底狙いに向かう可能性が高まります。今日は週末前ですから更なるポジション調整は入ると思いますが、投資家は相場が反転できるエネルギーを有しているかを向こう数日間で確認することになるでしょう。

中期的には引き続き低調な実体経済と好調な金融経済という乖離が特徴の歪んだ現象の中、しばらくは楽観主義 vs 悲観主義の力関係が相場を大きく上下動させる傾向が継続すると思われます。

立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。

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