マネーコンシャス(お金の意識)を高める方法と広義の投資としての子女教育

3種の神器を作成しよう

先ずは、マネーコンシャス(お金の意識)を高める三種の神器をご紹介します。

1.お金の年表ー各家庭がどのようなお金の未来予想図を描くかを事前に計画するためのツールです。人生には数々のライフイベントが有ります。一般的には、結婚して、住居を購入し、子供を育て、親の介護をし、自分も介護され、死んで行くのですが、これらがそれぞれ何年後くらいに起こるのかを予測し年表にしてそれぞれのイベントに想定金額を当てはめる作業をするんです。手書きでも出来ますが、可能でしたらマイクロソフトのエクセルとか表計算ができるソフトを使うと楽です。 

一つの例ですが、結婚500万、住居(地方なら2000-3000万、東京都内なら5000万以上)、子育ての教育費( 公立1400万、私立3000万、これから世界に通用する人材になってもらいたいという場合は海外大学5800万、 アイビーリーグのような名門米国私立大学7800万)、親の介護(自宅で介護550万、老人ホーム1000-5000万)、自分の介護(自宅で介護550万、老人ホーム1000-5000万)、葬式200万のようにです。

この計算には食費などの生活費を入れてませんが、それでも生涯では億円単位のお金が必要なのを把握できます。

まだ現役のうちは頑張って働けば良いので安心なのですが、問題は老後です。
老後に着目しますと、
去年日本中を騒がせました金融庁の報告書に寄りますと、老後2000万円不足は
①夫65歳、妻60歳の時点で夫婦ともに無職。
②人生100年時代を踏まえ、30年後(夫95歳、妻90歳)まで夫婦ともに健在。
③その間の家計収支がずっと毎月5.5万円の赤字で。消費支出は月額235,477円想定。年280万円という条件の下で計算されてます。

これには上述しました介護や葬式費用などのライフイベントは含まれていません。ですからそれを含めますと月額235,477円想定の老後生活をするだけでも夫婦どちらか一方が介護が必要になったと想定した場合、約3000-7000万円のお金が必要になるのです。夫婦共に要介護になった場合は上乗せが必要です。またこれよりもっと高めの生活水準を目指すのであれば、その分の金額は更に上乗せしなければいけないということです。

2.家計簿(収支表)ー自分が毎月生活する上でいくらの生活費が掛かるのかを認識するためのツールです。最近ではスマホに家計簿の無料アプリをダウンロードできるようになっています。お金を使ったその場で記録できますから、それを利用するととても便利です。私もこれを数ヶ月試しましたが、これをやると無駄な物を買わなくなります。それが本来の目的ではないですが、質素倹約されたい方には特にオススメです。

3.資産と負債表ー自分にとっての真の資産と負債を仕分けするためのツールです。ルールは簡単でお金を産むものは資産、お金が出るものを負債と認識します。財務会計上は家も車も資産ですが、ここでの資産と負債表は、家は賃貸収入を産み出しているのであれば資産ですが、自分が住んでいて、固定資産税を支払っているのであればそれは負債と仕分けます。車も自家用であれば負債、レンタルに出せて、収入を産み出すのであれば資産です。このようにお金を産んでくれるか、或いは自分がお金を支払って維持するかによって手持ち動産・不動産を資産と負債に分別するのです。

このようにお金の意識を高める三種の神器をご自分で作成してみますと、短期、中期、長期に分けて自分が何をしなければいけないのかが分かる筈です。

恐らく、最初は試算した金額の大きさにショックを受けると思います。そして如何にお金が必要かという逃げれない現実に直面するのです。しかし、そこで危機感を持てることが大事です。このエクササイズをしますと誰でもお金に対する意識は以前より格段と高くなるのです。

教育の選択

さて、お金の年表の中で最も大きな金額が予想されるのが子女教育費です。最近では子供を作らない夫婦も増えてきていますが、ここでは子供が最低1人は育てると仮定します。

先ず、親が子供がどのような教育を受けるべきかを決めなければなりません。何故なら親が子供の為に教育のレールを敷くしか方法がないからです。ですから親が相当量の時間とエネルギーを費やして子供が受けるべき教育の種類を選択しないといけないのです。

日本には色々な学校があります。公立や私立やインターナショナルスクール。それぞれの中にも色々なタイプの学校があります。ですから、周囲の人たちが目指しているからという理由で闇雲に有名大学付属幼稚園を目指しましょうではなく、親が子供に適した教育とは何なのか?そして子供にどのような教育を受けさせるのが最善なのか?を考慮し、そこから逆算してどのような学校で子供に教育を受けさせるべきかを決めなければなりません。勿論、各家庭の経済的制約はある筈ですからそちらも勘案して計画を練らないといけません。先程ご紹介致しましたお金の年表と同じように子供の教育年表が必要なのです。

最近では多くの親御さんが精神的に病みそうになる程の厳しいお受験に挑戦している傾向にあります。恐らく少子化が原因の一つでしょう。お受験を親子の二人三脚で勝ち抜き、最終的に日本の一流大学に入学し、多くの場合、卒業前の就職活動で子供が人生で初めて、就職という自分の将来に向けた選択をするのです。

マイナビ・日経就職企業人気ランキングに寄りますと、2021年度文系学生の上位5社の希望就職先は1位JTBグループ(19年1位、18年4位)、2位ANA(19年2位、18年1位)、3位東京海上日動火災保険、4位JAL(19年5位、18年2位)、5位オリエンタルランド(19年12位、18年5位)です。トップ5のうちの4社が観光関連企業です。2003年に日本は観光立国宣言をしましたので、その影響があるのだと思います。

然し乍ら、この調査結果に私は正直、ちょっと複雑な気持ちになります。何故トップ5企業の内、4社が類似職種なのか?と言うことです。ご参考までに、米国大学生の人気ランキングは1位Google、2位ウォルトディズニーカンパニー、3位アップル、4位ナイキ、5位JPモルガンです。米国大学生は就職先を日本の大学生のように職種で選ぶのではなく、社風や事業内容で決めているようです。

教育とはハイリターンの投資である

私は普段から教育を「広義の投資だ。」と定義してますが、2000年にノーベル経済学賞を受賞しましたジェームズ・ヘックマン教授は、5歳未満の児童に対して高度な総合教育を施せば、投資額に対して年利13%のリターンが得られると発表しています。これは正に投資です

結局のところ、子供の将来を思えば、子供の教育費を親はケチってはいけないということです。そして、親の見栄や自己満足の為ではなく、子供に適した教育とは何なのか?の目的を成就するために、お金を子供に適した教育に使うべきということです。

本日ご紹介致しましたマネーコンシャス(お金の意識)を高める方法と広義の投資としての子女教育とは一見別物のように見えますが、実は大局から俯瞰し、今行わなければいけないことは何なのか?をしっかりと認識した上で、行動しなければいけないという点で、原理原則は同じなのです。


立沢 賢一(たつざわ けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンを通して投資戦略、情報リテラシーの向上に貢献します。

・YouTube
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