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問題児 あります

 小学校の教育相談という面談に行ってきた。わずか15分ほどの、親と担任の先生の一対一面談。

 長男の担任は今年大学院を卒業して小学校教諭になったばかりの新任の先生。しかも着任とほぼ同時に休校騒ぎになり、ようやく先月から授業が再開されたところ。ほんとに、着任早々イレギュラーまみれでお疲れ様です。

僕:「うちの子どうっすか」
担任:「授業中に本読んだりしてますね」
僕:「え? なんの本ですか?」
担任:「最近は折り紙の本です」

まーじーでー。あんにゃろー学校に持ってっちゃダメだとあれほど…。

担任:「私は今年初めて来たばかりなのでよくわかってなかったんですが、音楽室でも「おれここなんだ」とか言って、彼の場所が決まってるんですよ」
僕:「ええ。教頭先生やら教務主任やらも登場して対策されましたのでね、去年までに」
担任:「でも実際、彼がずば抜けて目立つだけで、彼の影に隠れて問題あるやつ他にもいるんですよ。あんまり特別扱いすると他の問題ある子が目立たなくなるのも良くないと思うんですよね」
僕:「その通りですね。特別扱いしなくて良いですよ」

なんというかまぁ、予想はしてましたが、ぶっちぎりの問題児のようですね。筆頭。

担任:「テストすると最初の10分ぐらいボーっとしてるんです。それから急に解き始めるので、見直しができてないかもしれません」
僕:「え。10分何をしてるんでしょうね」
担任:「わからないんです」
僕:「でも時間が余ってもたぶん見直しをするという発想はありませんよあいつ」
担任:「え…」

 テストの最初なにしてるんだろう。ふるまいだけ見てると天才っぽいけどぜったいそういうんじゃないんだよな。配られたプリントの全体がまずビジョンとして視覚に入ってきて、そのままどっかへ行っちゃうのだろう。

担任:「最近折り紙にはまってるみたいで、なんだかとてもすごいものを折ってますね」
僕:「そうなんですよ。国語の読解は2秒で飽きるんですけど折り紙なら何時間でもやってます」
担任:「やはり図工ではすごい能力を発揮して、独創的なものを作りますね」
僕:「美術的なことは好きみたいですね」
担任:「体育もすごくて、長縄をやったら断トツにうまかったです」
僕:「身軽ですからね…」

 うーむ。やはりゲージツ家にでもなる以外ないんではないか。

 そして担任、話すのに夢中で忘れてた、と言って長男の書いたアンケートをくれた。すきなことは折り紙で、好きな科目は算数で、頑張りたいことは「数学」と書いてあった。ほう。数学。

やはりゲージツ家または学者にでも…。

 そして最後に先生はこのようなことをおっしゃった。

担任:「きっと授業全然聞かないのは僕が授業を届けられてないんです。いい授業ができるとちゃんと聞いてくれるんですよ。だから僕の中では彼をちゃんと惹きつけられたらいい授業できてる、みたいな指針みたいになってます」
僕:「いやいや、そういう問題じゃなくてちゃんと聞けって言っておきます」
担任:「彼、家ではお父さんと勉強するって言ってるんですけど、どういう風にやらせてるんですか?」
僕:「え、ただ横に座ってこういう風になるんだぞ、面白いだろ、って話をしてるだけです」
担任:「あぁ。なかなか僕がそういう授業をできてないんですね」
僕:「いや、僕はあいつと一対一だから彼にだけ合わせればいいんでできるんですよ。授業ってなったらそれは難しいですよね」
担任:「精進します」

 なんだこれ。教育相談って先生が相談する側だった? いや、相談してくれていいんだけど。

担任:「去年のU先生はかなり彼と信頼関係が作れてたみたいで、僕はまだそういう関係が作れてないと思うんですよね」
僕:「そんなことないですよ。あいつ二回ぐらい会っただけの頃に「もう新しい先生と仲良くなった」って自慢してたんで」
担任:「ほんとですか! ていうか彼めっちゃフレンドリーなんで」

 新任の先生、とても一生懸命でいい先生であるなぁ。去年の先生が良かったのは、先生の専門が美術だったからだと思う。美術に明るい先生だったのでうちの子の美術的感覚をちゃんと見て伸ばしてくれていた。たぶんそれがセガレ的には「この先生はわかってくれる」という感覚になったのだと思う。今度の先生にも自信持ってやってほしいですね。

 うちのセガレはナメすぎなんで、帰ってから「態度を改めろ」という話はした。家庭学習をちゃんとやりすぎると授業でやることが全部すでにわかってる話になってしまって、「聞かなくてもわかるからいい」という方向に行きがち。

 だからわかってるつもりになっているところにひとひねりしたやつを出してやり、「ほら、もっと面白いことがあったろ。先生もなんか面白いこと言ってるかもしれないだろ。面白いこと聞き逃してるかもしれないぞ」という話をしたりなど。

個性を大切に育てているうちの長男は学年有数の問題児として情報が次の先生に引き継がれるようなことになっておる。

なお、この話を妻にしたら「すごいじゃん。断トツの問題児」と言っていた。ほんとね、こういう親が揃ってないと個性的な子どもなんて手に負えないですよ…。

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