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人に何か頼むとき、実はその人の喜びになっているという話

 人に何か頼むとき、嫌ですよね。特にそれは仕事のやり方がわからないだったり、自分1人では難しい場合だったり、そういった状況で発生するものです。人に何か頼む時って必ず胸の中がズーンと重くなるような強烈な嫌悪感がある人が多いでしょう

 僕も例に漏れずそうです。僕の性格は、人より極端に物事にのめり込むらしく、ハマってしまうと四六時中やり続けてしまうような変な人間です。例えば、分子生物学の研究をしていたのに、気がついたらブロックチェーンのスタートアップに入社していたり、そういう極端な傾向を持っています。そういう変な僕でもやっぱり人に何か頼もうとすると、全身がだるくなって、心に霧がかかるような気持ちになります。なぜなのでしょうか?


頼む時、気まずくなりますよね。



 その理由はたぶん、その仕事を頼む人、例えば信頼している同僚だったり、尊敬している上司だったり、に嫌がられたらどうしよう、こんなくだらないこと聞くなと思われたらどうしよう、という想像するだけですごーく嫌な気持ちになるからなのでしょう。それならいっそ、自分が必死に頑張ってリカバリーしたほうがマシなのかもしれない、と思うのは必然です。しかし、自分ひとりでやるのは険しい道です。

 そのようにひとりで抱え込んだ結果、やり方に悩みギリギリになって、慌てて助けを求めるのがいつもだと思います。僕もそんなことばかりでした。実際、人間ひとりで成し遂げられることはそれほど多くありません。考えてみれば当然です、例えば今回、仕事仲間の手を直接借りなくとも、その仕事の大元は社内の他の誰かが生み出したのもですし、もっと言えばあなたが使うテンプレートや仕事のやり方はかつて社内の誰かがやったものでしょう。されに広く見れば、例えば身の回りの全てのもの、仕事に使うサービスそれ自体も誰かの作ったもの(つまり助けを借りているもの)であることがほとんどです。つまり、人間はこれまで助け合いで大きなことを達成できるようになってきたのです。そんな他人からの手助けというパワフルな飛び道具を使わなければ、小さな仕事にまとまってしまうのです。やはり助けを求めるのは必須の要素だと考えられます。

 では、いったいどうすればいいのか?どうすれば、気持ちよく誰かに助けを求めることができるのか。もしも、自ら進んで、自分の喜びとして他人に積極的に助けを求めることができたらどれだけいいか、想像するだけで快適に生きれる気がしますよね。現実はそうではなく、疑心暗鬼と自己肯定感の著しい欠如によって、頼みを求める手が一歩も動かないままです。どのように考えれば、あの人に助けを求めることができるのか。

 僕が今年に入って最初に出会えた本は、この不安を一気に吹き飛ばしてくれる最高の一冊でした。タイトルは「人に頼む技術」です。この本の面白いところは、「技術」と書きながら、実践的な頼み方はほとんど載っていないところです。この本に載っているのは、人に頼むことで得られるあなたの心のメリットです。そして最も意外だったのは、人は誰かから頼まれることによって幸せを感じるのだ、という助け合いメッセージなのです。


 僕の受けとった、この本のメッセージはこうです。「人に頼む人ではなく、人に頼まれた人こそが人生における最上級の喜びを感じる。」本書では、このメッセージを心理学実験の強力な裏付けを基に主張しています。つまり、その人に存在価値、つまり自尊心を満たしてもらうために最も有効な方法は、その人が誰かの役に立っている、つまり誰かを助けている状態なのです。

そして、その最上級の喜びを感じるためには、いくつかの条件が必要です。例えば、(1)その人にしか助けられないと感じるとき、(2)その人が自身で助けることを選択しているとき、(3)その助けが有効であり助ける姿勢つまりその人の在り方が積極的に肯定されているときです。

次回の投稿では、誰かに助けを求めることで、その誰かに幸せを感じてもらう条件について詳しく説明します。次回が気になる方は、ハートマークを押してもらえると励みになります。


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