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日本のリベラル(左派) の方々は、人種差別、ヘイトや人権侵害に敏感で批判的ですが、今、特に人権弾圧されているウイグル・チベット問題で中国共産党を積極的に批判することが少ないように見えるのは何故ですか?というQuoraの興味深いQ&A

という大変興味深いQ&Aがありました。

2020/3/29 深夜時点で3つ回答があり、そのうち見るべき回答は2つあります。

回答日時順、あるいは端的な方から引用すると、

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実際こういう回答も「よくツイッターでも見る」言説です。

つまり、質問

日本のリベラル(左派) の方々は、人種差別、ヘイトや人権侵害に敏感で批判的ですが、今、特に人権弾圧されているウイグル・チベット問題で中国共産党を積極的に批判することが少ないように見えるのは何故ですか?

に対しては、ほぼほぼ、

世界中に批判に値する問題は無数にあるでしょうが、全ての問題を批判しなければいかんというのでしょうか。謎すぎます・・・

と応答するのが完全にパターン化しており、もはや常套句として機能している、ということです。

もちろんこの常套句は「詭弁」です。質問に呼応した回答にはまったくなっていません。つまり「論点をずらす」という、かなり初歩的な詭弁ですね。

日本のリベラル(左派) の方々は、人種差別、ヘイトや人権侵害に敏感で批判的ですが、今、特に人権弾圧されているウイグル・チベット問題で中国共産党を積極的に批判することが少ないように見えるのは何故ですか?

質問文が「何故?」と(批判的に)問うているのは、二重基準(ダブルスタンダード)についてです。

日本のリベラル(左派) の方々は、人種差別、ヘイトや人権侵害に敏感で批判的

これについては今更説明不要というか是非これくらいは日常的に観察される共通見解として終わらせたいので議論しません。質問論点の大前提となる事実(ファクト)については固めておくのは望ましいのは言うまでもありませんが、だーっと事例をここで列挙したところで「ゴネ得」につきあうだけで生産性はありませんから。

今、特に人権弾圧されているウイグル・チベット問題で中国共産党を積極的に批判することが少ないように見える

これも事実認定しても良いのではないでしょうか?僕もそう思いますね。

先に別の回答から引っ張ってくると、

チベット問題について検索すると、櫻井よしこ[1]、百田尚樹[2]、花田凱紀[3]などの主張がたくさん出てきます。花田凱紀ははっきりと「朝日も毎日も一言も批判しないのは何故なのか」と書いていますが

とこの回答者も暗黙に「日本のリベラル(左派)」=朝日、毎日という前提で、彼らが(ウイグル・チベット問題に)「一言も批判しない」と認識を共有した前提で、

逆に「どうして中国ばかり批判して、チェチェンの独立問題でロシアを批判しないのですか?」「中国の人権問題だけを取り上げて、国内の人権問題について一切取り上げないのは何故ですか?」と彼らに質問したところで、上述したとおり無意味でしょう。彼らの興味はそこにはない、としか言えません。

と意見を述べているので、事実関係については「なんのことについて議論をしているのか?」「自分が認識している事実」として共有しているのは間違いありません。

整え直すと、事実として、

(a)日本のリベラル(左派) の方々は、人種差別、ヘイトや人権侵害に敏感で批判的
(b)日本のリベラル(左派) の方々は、今、特に人権弾圧されているウイグル・チベット問題で中国共産党を積極的に批判することが少ない

という同じ人間、同一グループの価値観において二重基準が観察される。

(a)の価値観が建つならば、つまり、僕もそれは立派なことだと賛同するのですが、普段から、人種差別、ヘイトや人権侵害に敏感で批判的であるならば、同じ熱量や分量で、ウイグル・チベット問題で中国共産党を積極的に批判するのが自然です。

なぜならば、現代の我々の世界において顕著に重大な人種差別、民族差別、人権侵害が観察されるのが、中国共産党が加害者となるウイグル・チベット問題であるからです。実際に、つい数カ月前の2019年10月末には、

と国連の場でも大問題となっていました。

つまり、ごく最近、世界最大の各国が集う会合でこれだけ大問題になっていた「人権侵害」の問題について、

(a)日本のリベラル(左派) の方々は、人種差別、ヘイトや人権侵害に敏感で批判的

という価値観の人間が、

(b)日本のリベラル(左派) の方々は、今、特に人権弾圧されているウイグル・チベット問題で中国共産党を積極的に批判することが少ない

とするのは極めて歪で不自然な現象です。興味がない、関心がない、リソースを割く気がなくても自然、なんら不思議もないなどと主張する人間がいるのならば、まあたぶん頭おかしい、もしくは、なんらかな醜悪な意図がある、と判断せざるを得ないでしょう。

こういうかなり最近の目立つ、顕著に大きく話題になっている人権問題において、見てみぬふりをする、同じ人間、同一グループの価値観において二重基準が存在している。

この「見てみぬふり」は、「日本のリベラル(左派) の方々は、人種差別、ヘイトや人権侵害に敏感で批判的」という立派であったはずの精神が薄っぺらなもの、大嘘である、ことを意味します。

世界中に批判に値する問題は無数にあるでしょうが、全ての問題を批判しなければいかんというのでしょうか。謎すぎます…。

この詭弁ですが、別に「無数」とか「全て」とか質問者は書いていませんね?現代世界で謙虚に最悪なウイグル・チベット問題と特定して、不自然な「見てみぬふり」の二重基準への批判の話を「批判しなければいかんというのでしょうか」みたいに義務や要求の話にすり替えてしまっている。お粗末です。

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この回答についても、長いですが、最初の短い回答のおかげで見通しが良くなっています。同じ論理構成というか同じ詭弁です。

最後部分を引用すると、

自分が興味と問題意識をもって取り組んでいる問題について、他人も同じように興味を持ちリソースを振り向けるとは限らない、ということだと私は思います。そして、それを責めることは誰にもできないでしょう。

正しい一般論を書いていますが、質問者による質問の具体論への反証となっていないのは明らかです。

具体論に対して一般論で反論する。論理的には整合性なんてありません。具体論には具体論なりの詳細な論理構造があって、その詳細な論理構造における矛盾や二重基準という論理エラーを議論しているので、なんか大雑把なものを持ち出して、ほーらエラーがなくなった!と一般論ぶちまかすとか、バカ者のすることです。無意識にこんな粗雑な真似をしているのならば今後改めたほうが良いでしょう。

「リベラル(左派)は世界中の人権問題をウォッチし、平等に批判しなければならない」というのなら話は別ですが、そんな話は聞いたことがありません。

「朝日も毎日も一言も批判しないのは何故なのか」という二重基準、ダブスタへの反論としてはまったく機能していません。

少なくとも、朝日も毎日もって、彼らは新聞社です。まあ一応に新聞社だから「世界中の人権問題をウォッチし、平等に批判」できればしたほうが良いでしょうが、別にそこまで誰も要求していませんね?

むしろこういう普段から人権でワ〜わー言ってるような新聞社が、そういうウイグル・チベットという人権侵害、国連で目下議論になり議決やらされている顕著な時事としての人権問題について社説やら論説でまっとうな批判が見られないっていうのが異常と批判しているわけです。

【責めている】のは歪に不自然な顕著な事例への「見てみぬふり」の二重基準についてです。

たしかに中国国内で深刻な人権侵害が行われていると言われていますし、それを無視するものでも、否定するものでもありません。しかし同様の文脈で、ツチ族とフツ族の血で血を洗う内戦や、エリトリアにおける人権問題、フーシ派とハディー暫定政権の殺し合い、ドゥダエフとチェチェンの戦いなどについて「なぜ批判しないのか」と語られている主張に接したことは、私は一度もありません。

ないでしょうね。それは当然で、中国による事例がそういう国連決議の大きな時事と扱われていることからも明らかなようにもっとも顕著な事例であり、朝日や毎日のように「リベラル(左派)」による「見てみぬふり」の二重基準の欺瞞を批判する際に、もっとも身近で簡単な事例であるからにすぎません。わざわざ、多くの人が聞き慣れないような、ツチ族とフツ族の血で血を洗う内戦とか出す合理性は一切ありません。

結局の所、この回答者は、最初の回答者と全く同じで、本来この質問が、人権という崇高で重大な理念において、極めて歪で不自然、そしてそれだけに醜悪な二重基準って一体なんなのか?本当に理解不能なんで教えて欲しい、という質問である、と理解はしているので、答えられないから、その不自然さを覆い隠すように、なんでもいいので論点をずらした、気の利いた人間ならすぐわかるような、みっともない詭弁を弄した、ということです。

これで一応終わりですが、以下蛇足の補足。

ご質問で規定されている「リベラル(左派)」が具体的に誰を指すのか私にはわかりません。したがって、「人種差別、ヘイトや人権侵害に敏感で批判的」な内容や程度についても全く存じません。具体的な誰かを想定せず、漠然と「リベラル(左派)」を考えているのなら、そのイメージが本当かどうか検討する必要があるかと思います。

これは確かに質問者の腋が甘かった、と言うより、事前にこういう揚げ足取りがなされると想定して、きちんと「リベラル(左派)」の定義をしておくべきでした。

実際にコメント欄にて、

早速のご回答ありがとうございます。自己回答にて左派の定義について補足しようと思っていたら、後回しにしているうちに先にご回答頂いてしまいました💦
こういう定義でした。

とあり、その後に回答者はゴニョゴニョと批判しているわけですが、これは本論ではもちろんありません。

回答者による回答では、冒頭で、

具体的な誰かを想定せず、漠然と「リベラル(左派)」を考えているのなら、そのイメージが本当かどうか検討する必要があるかと思います。

などと書いているくせに、回答最後のほうでは、、脚注も使いながら、かなり具体的に

花田凱紀ははっきりと「朝日も毎日も一言も批判しないのは何故なのか」と書いていますが

などと、しっかりと質問の趣意を汲み取って自分で勝手に「対立軸」をかなり具体化してしまいました。

つまり、最初から何について話しているのかわかっているくせに、論点をぼかしたり優位性をみせつけるために論をずらした、というだけのことでしょう。本筋ではない完全に無駄なやり取りで、こういうのを抑止するためにも質問者はきちんと質問や自己回答を整えてから回答リクエストなり出すべきだと思います。

実際には、人権問題について「敏感で批判的」に活動しつつ、中国での人権問題にも積極的に取り組んでいる団体もあります。

論点ずらしの詭弁。再三繰り返しになりますが、回答者が自分で最後の方で具体化してしまった引用の保守論客による言説に見られる通り、これは「二重基準の存在」への批判です。

「二重基準ではない」「リベラル(左派)」はそりゃ存在するでしょう。でも質問者はちゃんと注意深く「少ないように見えるのは何故ですか?」と質問してる。「存在しないのは何故ですか?」なんて質問していない。ちゃんと質問の論理構成はよく読みましょう。

むしろ私は、アムネスティやヒューマンライツナウの実際があるにもかかわらず、定期的に「リベラル(左派)はなぜ中国共産党を批判しないのか」という主張が上がってくることを非常に不思議に思っています。

「日本の」例外的で立派な事例が存在したからって、その他大勢の傾向、そういう国内の保守論客が批判する、朝日、毎日新聞の論説に観察される、二重基準の存在を否定したことにはなりません。詭弁。

「アメリカ」ならば、もう国家レベルで上院、下院あわせて、ウイグル人権法案が超党派で圧倒的多数あるいは全会一致で可決されて、トランプ大統領も署名しました。


つまり、アメリカの「リベラル(左派)」は、ちゃんと人権問題では一貫して中国非難決議をしていることはわかっているわけです。

しかし、質問文にあるとおり「日本のリベラル(左派) の方々」はそういう感じとは程遠い二重基準があるのはなぜか?問いかける質問ですね。

いや、僕も個人的に本当にわからないんですよね。なんでですか?なんかの宗教ですか?

Quoraでもたとえば、仕切りに中国人差別だ人種差別だとか喧伝する連中が居ます。大いに批判して欲しいと思います。世界のためになる。

まあ中国の話です。Quoraでもそれだけ中国のことは話題になっている。国連云々言うまでもなく明らかな事実です。

で、こっちは「ああこの人は心優しいんだなあ」とその精神性の崇高さを認め信用しそうになる。

ところがです。全くおなじように目立つ中国の話題で中国共産党によるウイグル人弾圧、これは実際にリアルタイム事象としてそういう国連やらアメリカ議会の議決だの出てくるわけですから、そういう話題になったら姿を消す、あえて言うけど貝のように押し黙る。

リソースだの関心だの、そういうのは詭弁で嘘っぱちです。あきらかに回避している避けている。朝日と毎日とかと一緒。

このわけのわからん気持ち悪い二重基準、歪で不自然なメンタリティは、いったいどっから湧いてくるんだ?っていう質問です。

無論、幸いなことに自由社会で声を上げれる立場の人間が、ウイグル人の人権弾圧についてはリソースなんちゃら言って貝のように押し黙ってスルーなんだから、「ああこの人は心優しいんだなあ」とその精神性の崇高さを認めるわけがない。冷酷であると。こいつは胡散臭い、信用できない、となる。

でもそこで切り捨ててもいいんだけど、わけわからんその気持ち悪い二重基準、ダブスタ抱え込んで生きていけてるメンタリティ興味あるから、みっともない詭弁じゃなくて正直なところ教えてよ?って言ってるだけなんだよ。わかる?

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■追記 これについて、後で第三者の友達とチャットしました。

【友達】三味線奏者の、興味がない分野に対して、等しく批判は出来ない、というのは一理ある。Shimojimaさんの回答は低評価した。

【岡部】僕はボロクソに叩いたよ、あの回答、とーるは無視 論評に値しない。

【友達】新井さんの回答も三味線奏者の回答と同じで、興味がないから、なんだろう。2人の本質は、共産党が悪いと思ってないから。

【岡部】それが本音なら、そう言うべきだけど誤魔化してるよね。絶対言わない。そこまでハッキリ言わなくても、「内政干渉だ」とか「国家による自治権がある」みたいな中国共産党による自己弁護をそのままするよな。

【友達】共産党が正しい→ウイグルは小さな事→興味ない→批判しない事を怒られると困る

【岡部】ガチでそう思ってんのかね?
独裁政権による民族抑圧統治政策 >>> 人権 みたいなこと?

【友達】うん。共産党が正しいから始まる思考では、何を言っても通じない。
ガチだろう。多少の間違いは誰にでもある、くらいウイグルの隔離は小さく、許容範囲内なんだろう。

【岡部】なら、他の人権侵害、差別についても、わーわー言わずに、多少の間違いは誰にでもある、つまりヘイトスピーチにも寛容にならないと辻褄遭わないけど、そこは絶対許容しないわけでしょ?

【友達】私や岡部さんやエミリさんは、全ての人権侵害や虐殺や、人種差別を、等しく解決すべき問題だと認識する。
新井さん、XXXXさん、共産党員、三味線奏者は、どれが人権侵害が選別している。
選別が悪いと思ってないから、興味ないです、と言ってるんだ。


【岡部】たしかにそのとおりだね、うまくまとめているとおもう。
人権なんて等しく平等だみたいなことだからこそ、差別はいけないとか言ってる連中が、人権を選別してるって破たんしてるんだけど、彼らその辺の自覚あんのかね?その辺の欺瞞が気持ち悪くて仕方ない。
僕自身はたしかに、ツチ族フツ族問題、チェチェン問題など、沢山の民族問題について網羅的に等しく関心はもてない。
そのとおり思考や注意のリソースの限界がある。まったくそのとおりだ、しかし、ここで批判されているのは、そういう保守もリベラルも関係ない一般論じゃなくて、殊更に、たとえば朝日毎日みたいな新聞社という組織のリベラル(左派)、時事問題を広く網羅的に扱うような組織でさえも、普段人権でワーワー言ってるのに、中国共産党の人権侵害について批判するような論説や社説を、僕もそうだし、保守論客は見たことない、って言ってるわけ。
この歪さ、不自然さを問題視するのに、みんなリソースの限界があるから、と返すのは詭弁だし、連中毎度この詭弁で返して満足してるんだから。理由、動機としたら、【友達】さんが最初に書いた彼らの本音が本論であって、そういう意識のリソース問題は詭弁でごまかしだということだね。






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