ど素人でも論理的に考えてどうしても解せない新型コロナウイルス感染症対策専門家会議による見解

本日、3/10(火) 0:19配信のこのニュースを見ました。

まず僕の基本的なスタンスですが、いくら相手が専門家だからといって無批判に鵜呑みにしない、論理的におかしい、と感じた場合は躊躇なく疑義を呈する、説明を求めるという科学的な批判的精神を維持します。

こういう公衆衛生上の問題については、素人が滅多な発言をして混乱を招くことは望ましいことではないと理解しながらも、どう考えても発言が論理的に破綻してるだろう、相手が素人だと思って馬鹿にしているか誤魔化しきれると思っている欺瞞があるんじゃないか、と思うことは多々あります。

 専門家会議は2月24日に今後について「1~2週間が急速な拡大に進むか収束できるかの瀬戸際」との見解をまとめており、その期限を迎え開催した。

まず、これです。

安倍首相は、記者会見その他で「専門家より、ここ1−2週間が瀬戸際という意見が出ているので」という政治決断の論拠として何度も繰り返していました。


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僕は感染症のことなんて、なんもわからないけれど、こんなまともに検査データが取れていない現状で、そんな「1−2週間」ていう極めて短期間がターニングポイントであるとピンポイントで特定が可能なんだろうか?なんで断定できるのだろうか?とかなり不思議に思いました。

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いったい如何なるデータ、エビデンスを論拠にこの専門家の人たちは「1−2週間」が特定できているんだろう?と。

「科学的事実としての感染者数」と「検査結果で認知された感染者数」っていうのはまったく違います。

感染拡大の瀬戸際の1−2週間とかをピンポイントで特定するためには、前者、科学的事実としての感染者数がわからないと駄目なはずです。

実際は日本国内ではすでに数10万人規模で感染が広がっていると当たり前のように主張する医学者は結構見るわけで、科学的事実としての感染拡大途中の「1−2週間」というターニングポイントはこういう、推測するしか仕方がないけれども、科学的事実としては存在している感染者数を元に議論しなければいけません。

僕は安倍首相が会見で「専門家が1−2週間と言っているので」という政治決断の論拠を聞きながらずっと「胡散臭いなあ」と思っていました。おそらく数10万人規模の感染者数だろう、みたいに科学的事実はよくわからないけれどもせいぜい推測するしかないこんな状況で1−2週間をズバリと特定できるわけがない、と。

科学的に確実にわかる事実は「時間」です。少なくとも最初に国内の感染者が確認されてからのタイムスパンで、だいたいこんな感じだろう、と適当なモデルをでっちあげて、時間軸で感染者数を推測できるかもしれません。

実際は日本国内ではすでに数10万人規模で感染が広がっていると当たり前のように主張する医学者たちは、おそらくこういう適当なモデルと時間軸に基づいて、今現在はだいたいこれくらいだろうと概算しているのだろうと思う。

これだってかなりいい加減なモデルと数値ですが、これは「科学的事実としての感染者数」を推測して議論しようとするベストエフォットであり科学的に誠実な態度です。

「科学的事実としての感染者数」とはかけ離れている「検査結果で認知された感染者数」に基づいて議論しようとするのは科学的に誠実な態度ではありません。

ということで、「この専門家連中いい加減なこと言ってるな」と僕は、あくまで素人ですが、科学的に考えて、僕は感じていたので、「1−2週間」後に、この人らどう始末つけるんだろ?と思っていました。その期限が今日です。

 専門家会議は2月24日に今後について「1~2週間が急速な拡大に進むか収束できるかの瀬戸際」との見解をまとめており、その期限を迎え開催した。

記事の見出しは新型コロナ対応「年を越えて続くかも」 専門家会議、長期化の可能性示唆で「ほらきた」というのがまず第一印象です。

この1−2週間で、いったい如何なる新しいデータが得られて、こういう知見が湧き出たのか?

 今後の長期的な見通しは諸外国で患者が増えているため、「国内での急速な感染拡大を抑制できたとしても、世界的な流行を完全に封じ込めることはできない」とし、「国内での流行を抑制できたとしても、いつ再流行してもおかしくない状況だ」との見方を示した。

今現在の世界的な流行の程度は、2週間前からも十分わかっていたことで、この2週間で激変したわけではありません。

 感染拡大防止についてイベント自粛などの効果が見えてくる19日ごろまでの間、自粛を当面求める方針だ。政府はこれを受け、10日にも自粛継続要請を表明する見通し。


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また、この専門家会議の発言で、1−2週間は、と言ってたものを案の定延長するという政治決断の論拠にして自粛継続要請をするようですが、これもおかしな言い分です。

自粛期間の効果が見えてくるのに、さらに余剰に1-2週間必要であることは、それは前もってわかっていたはずです。ならば、なんで最初から、1−2週間が瀬戸際で経過観察のためにさらに1−2週間必要であり、合計1ヶ月程度の自粛期間が最低必要だ、と専門家は「求める方針」を出さなかったのか?

なんか、借金返すのにあと1−2週間待ってくれ、と渋々言って、2週間の期限が来てみると、この前の借金で賭けた掛け金があと1−2週間経ったら返ってくるはずなんだ、だからもう1−2週間待ってくれよ、みたいな潔くない、それなら、最初にちゃんと借金返済計画建てて全部説明しておけよ、と、例えはかなり悪意あるとは思いますが、そういう印象は拭えません。潔くないというか誤魔化してない?って思ってしまう。

これは所詮ニュース記事の二次情報なので、一次情報に当たることにします。

新型コロナウイルス感染症対策の見解(3月9日)
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が、新型コロナウイルス厚生労働省対策本部クラスター対策班が分析した内容に基づき、検討した結果をまとめた見解を公表しました。
これによると、本日(3月9日)時点での日本の状況は爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかと考えられるとしています。また、北海道での対策については、北海道での緊急事態宣言から少なくとも約2週間後でなければその効果を推定することが困難であり、その後、複数の科学的指標を用いて効果を判断し、3月19日頃を目処に公表する予定としています。また、みなさまにお願いしたいことも併せて公表しています。


「新型コロナウイルス感染症対策の見解」 (新型コロナウイルス感染症対策専門家会議)

2月 24 日に公表した専門家会議の見解において、我々は、「これから1-2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となります」と述べましたが、以上の状況を踏まえると、本日時点での日本の状況は、爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかと考えます。

これ上記リンクのPDF文書で、太字アンダーラインで強調されている文ですが、出ましたね。「科学的事実としての感染者数」と「検査結果で認知された感染者数」っていうのはまったく違います。

この人らは、たかだか「検査結果で認知された感染者数」に基づいて議論しているのに、あたかも「科学的事実としての感染者数」に基づいて議論しているように話しており、「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかと考えます。」と結論づけている。

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都道府県が実施した新型コロナウイルス感染検査の総数が九千件超に上ることが、四日正午時点での共同通信のまとめで分かった。多数の感染者が出た自治体で件数が多く、東京は二千件近かった。数十件程度の県も複数あり、地域によって大きな開きがある。

とこんな感じなので、この2週間だけの検査件数がどれくらいかはっきりとはわかりませんが、せいぜい桁数は知れているわけで、「検査結果で認知された感染者数」は原理的にこの2週間で「爆発的な感染拡大に進む」わけがありません。

なのに、「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかと考えます。」と太字アンダーラインでなんか「成果を強調」しているのが胡散臭いなと思いましたし、さらに、

また、後述するように、感染の状況を把握するためには、約2週間程度のタイムラグを生じ、すべての感染状況が見えているわけではないので、依然として警戒を緩めることはできません。

僕はこういう玉虫色の小ズルい記述は、科学的な文書で書くことはNGだと思う。一旦なにかの結果、成果を強調して、あとから全部ちゃぶ台返しするような留保つけて逃げ道、言い訳用意しておく。何も言っていないことに等しいです。科学的な価値などない。

「感染の状況を把握するためには、約2週間程度のタイムラグを生じ」ならば、現時点のことは把握できていないんでしょう。ならばなぜ、「本日時点での日本の状況は、爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかと考えます。」などと太字アンダーラインで強調したのか?

こうした対策の効果を検討するための最初のデータが得られるまでには、まだ時間を要します。この感染症の感染から発病に要する潜伏期間の平均値は約 5 日間であり、発病から報告までに要する平均時間は約 8 日間であることが知られており、我々が今日見ているデータは、その約 2 週間前の新規感染の状況を捉えたものであるというタイムラグがあるためです。

「我々が今日見ているデータは、その約 2 週間前の新規感染の状況を捉えたものである」つまり、専門家会議が首相に進言し記者会見した日、今から2週間前の新規感染の状況のことを言ってるわけですね?ならば、繰り返しになるけれども何故「本日時点での日本の状況は、爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかと考えます。」などと強調して発表できるのか?

僕はこの専門家の方々は、限られたデータで一生懸命仕事しているとは想像に難くないけれど、この「1−2週間」のピンポイント特定の意見表明は、個人的には科学的見地からは到底受け入れがたいです。少なくとも科学的に誠実な発表ではないと思いました。

「科学的事実としての感染者数」と「検査結果で認知された感染者数」っていうのはまったく違います。

今、専門家会議は明らかに科学的事実ではないほうの人為的な数字に基づいて議論をするという欺瞞があります。僕はこれはそのうち破たんして手痛いしっぺ返しを食らうはずだ、詰んでる、ドツボにハマっていると確信しています。

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場当たり的にいい加減な進言を官邸にした専門家の罪は重いと僕は思います。今回また19日までとか先送りにして、どう始末つけるつもりなのでしょうか?

2月末時点の安倍首相の会見でも15分程度でできる簡易検査キットを開発して3月、4月以降市場に出す、みたいなことを言っていましたが、これですね。

自粛要請発表の2週間前の時点で、今後1−2ヶ月後に、検査能力の拡大を図る、担保すると方針を出しており、実際にそのとおりになるのであれば、現時点で過少であると批判が強い、また事実過少な「検査結果で認知された感染者数」「科学的事実としての感染者数」に急激に追いつくはずです。これはだれでも容易に予想出来る事実でしょう。

ならば「検査結果で認知された感染者数」ベースの議論では、感染者数爆発!!になるのは目に見えてるので、あの1−2週間の瀬戸際、自粛要請の対策は失敗に終わった、という結論になってしまいます。

科学的に不誠実な議論と表明を大々的に行っても、今は素人相手に誤魔化せても、かならず揺り戻しが来ることは避けられないと僕は思います。


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