【もの補助】加点項目は意外と使えたよって話

この記事は、令和元年度補正・令和二年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、もの補助)4次〔グローバル展開型〕に採択された菊井鋏製作所の代表・きくいけんいちが書いています。
実際に申請してみてこうだったよ!という情報ですが、もの補助の申請時期によって要件や様式が変更になることも考えられます。
情報の正しさを保証するものではないので、自己責任のもと必ず最新の公募要領をご確認ください。


今日から6次申請受付が始まったもの補助ですが、公式サイトのデータポータルにこんなデータが掲載されていました。

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加点項目の数

なにかというと、1次(R2.3.31締切)から5次(R3.2.22締切)まで申請した人が加点項目をいくつ取ってたか?という分布。

注目したいのが赤色の折線で示された「採択率」
加点項目が0個だと15.6%に対して、5個以上ではなんと71.0%が採択されています。

もちろん加点項目をきちんと押さえている事業者ほどしっかりとした事業計画で提出していると考えられます。
なので単純には言えないとはいえ…
このグラフだけ見てると、まるで無課金ユーザーには優しくないオンラインゲーム。ちょっと加点0で挑むのは不安ですよね。

私も、加点項目を4つ使って【もの補助】 4次〔グローバル展開型〕に採択されました。
「加点項目って何??」という状態からスタートしたのですが、調べると「意外と使えるじゃん!」という項目がたくさんありました。

そこで、6次の公募要領p.20に掲載されている加点項目を順番に、「加点クリアするためにこんな手続きをしたよ!」という話を紹介します。

① 成長性加点:「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した(取得予定の)事業者」

「経営革新計画に承認されていれば加点」ですが、もの補助の計画書を作り始めた段階では取得していなかったし、よく分かっていませんでした。
「和歌山県 経営革新計画」でググって県の担当課に問い合わせると

経営革新計画
・もの補助で作っている計画と同じような内容でも申請できる
・書類提出に加え、評価委員会で審査員へのプレゼンが必要
・審査で承認が下りればもの補助でも加点がされる
・承認が間に合わなくても申請書類を郵送していれば加点対象

ということでした。
そこで、もの補助の計画書をベースに「経営革新計画」を作り、県の担当者さんと相談しながら準備して、もの補助申請までに承認を受ける事が出来ました。

経営革新計画は県の担当者さんや評価委員会でも意見をもらえるので、結果的にそこでもらったアドバイスがもの補助の計画書のブラッシュアップにも反映できました。
承認を受けるまでの手続きはちょっと面倒ですが(←審査方法は都道府県によって違うかも?)もの補助の計画書を作成していれば難易度自体は高くないかな、というのが、実際にやってみた印象です。
申請書類の郵送さえ済ませば加点に間に合うので、「都道府県名 経営革新」で調べて、問合せしてみるといいと思います。

② 政策加点:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」

弊社は創業からもうすぐ70年にはなりますが、私自身は数年前に代表を交代したアトツギ経営者。
第二創業って何だ?というのが良く分かりませんでしたが、添付書類が「履歴事項全部証明書」となっているので、代表者を交代して5年以内であればこの要件を満たすのだろうと思います、多分。

ただ、ホントにそれでOKなのか良く分からないので、念のため事業計画書の本文内で自社を説明する際に新たな取組を強調して「第二創業に取り組んでいる」という記述を加えておきました。

③ 災害等加点:「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者」

すごく平たく言うと「災害が起ったときにどうするか?」という計画を作って経済産業局に提出しておくと、もの補助で加点されます。
詳細はこれ ↓

これも未取得だったので、もの補助申請前に経済産業局に計画書を提出して加点に使いました。
計画を出したあとで何度か修正を求められましたが、基本的に提出した物が拒絶されるとかって事はないようです。

「これはもの補助と何の関係があるんだろう・・・」と思いながら作るので心理的にもかなり面倒に感じましたが、こういった機会に災害について考えておくのも悪い事ではないと思います。

④ 賃上げ加点等:

④-1:賃上げ要件
申請時に添付が求められる賃金引上げ計画の表明書では最低要件として支給総額1.5%以上増加/最低賃金+30円ですが、下記のように加点要件を満たす目標を表明すればOKです。

【A】支給総額2.0%以上増加/最低賃金+60円の場合

当社は、令和X年X月~令和X年X月の事業計画期間において、
給与支給総額を年率平均2%以上増加させるとともに、
事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上とすることを表明します。

【B】支給総額3.0%以上増加/最低賃金+90円の場合

当社は、令和X年X月~令和X年X月の事業計画期間において、
給与支給総額を年率平均3%以上増加させるとともに、
事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上とすることを表明します。

ただし、加点要件を満たす高い目標を掲げたにもかかわらず達成できなかった場合にペナルティがあるのか?という疑問も残ります。
当然、下のAよりBの方が加点が高いという事でしょうが、加点ばかり追いかけすぎず、自社の状況に応じて適切な目標設定をすべきだと感じました。

④-2:被用者保険の任意適用
これは50人以下の小さな会社は制度改正の対象ではないので、そもそも弊社は使えないだろうと思います。
待遇改善の一環で制度改正に先んじて前向きに取り組もうとしている事業者であれば加点に使えますが、「加点があるから任意適用を拡げよう」はなんだか個人的には本末転倒な感じがします。
前項目の「賃上げ目標」と同じく、状況に応じて適切に考えるところだと思います。

まとめ:経営革新計画と事業継続力強化計画は取っておこう

上記に掲げたもののうち、

①成長性加点:経営革新計画の承認を取得または取得予定
③災害等加点:事業継続力強化計画の認定を取得または取得予定

のふたつは、少し手間をかけて申請をすれば加点要件を満たすことができます。
グラフで見たとおり、多くの申請者が2〜3個は加点要件を満たしているので、最低でもこのふたつは押さえておきたいものだと思います。
特に経営革新計画は県の担当者さんも親身になってくれたり、評価委員会から的確なアドバイスをもらえたり、もの補助と合わせて取得しておいて良かったと感じています。

以上、この記事では「加点って何なの?どうやったら使えるの?」という事を私の経験に基づいて紹介しました。
ですが、言うまでもなく、加点ばかりに頼るのではなく、最終的には内容で勝負すべきです。
中身できちんと勝負できる計画書を作ることができれば、きっと事業が成功する確率も上がるはず。

じゃあ、その計画書を作るために、私(きくい)はどういう工夫をしたのか?という話はこちらの記事で書いてみたので、ぜひ合わせて読んでみてください!


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