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今更パラサイトを見てこれは筋書きが良いだけの映画じゃないと感じた話

先日、Netflixに追加されているのを発見し、今更ながらパラサイトを見ました。

言うまでもなく、おもしろかったです。
しかし、個人的にはこの映画の最大の特徴は

社会問題をエンタメの内側に忍ばせることで、
世界中の問題意識を集めたこと

だと感じました。その理由は後述しますので、まずは見ていない人のために簡単にあらすじを紹介します。

舞台は韓国で、劣悪な環境の”半地下”に暮らす貧しい家族が策略を巡らし、裕福な家庭にゆっくりと”パラサイト(寄生)”していくというストーリーです。

まだ見てないって人がいたらぜひ。特に鑑賞後の考察を読んで「そういうことか!」ってなる感覚が好きな人は間違いなく好きです。そして、見終わり次第こちらの考察を読むことを強くお勧めします。

では、本題に戻ります。
どうして僕が下記を感じたのかです。

社会問題をエンタメの内側に忍ばせることで、
世界中の問題意識を集めたこと

まず、題名にもある”半地下”は韓国に実在しており、集合住宅下の駐車場を無理に改築して作られた部屋を指します。
80年代の高度成長期、ソウルでは人口が集中し、住宅不足が深刻となりました。その状況で多くの家主が増築を余儀なくされ、"半地下"が生み出されました。※諸説あり

映画と同様の”半地下”で暮らしている世帯は2005年時点で3.7%(約58万世帯)、2015年には1.9%と半減、現在は1%となっていますので改善は進んでいるようです。

しかし、依然として韓国では若者の離職率が高く、自殺率や高齢者貧困率では先進国で1位に位置しており、壮絶な競争・格差社会が続いています。

本作はそんな社会問題をエンタメという形を借りて、世界中に問題提起しました。

作中では、半地下家族の貧困ゆえの哀愁や貧困層と裕福層の埋められないギャップが繰り返し強調されています。
(考察を読まないと気づかないほど随所に散りばめられています)

貧困=半地下、裕福=豪邸と多少のデフォルメこそあるかもしれませんが、全編を通して「韓国には才能や努力が報われないほどの格差社会があるんだな」と世界中の多くの人が感じたはずです。

もし何かしらの団体が「韓国は格差社会だから改善が急務だ!」という主張を繰り返し行ったとして、これほどグローバルに問題が認識されることはあったでしょうか。運良く日本でその主張が特集されたとしてもチャンネルを変えられてしまうか、見ても次の日には忘れらてしまうのが関の山です。

そして、これまでも社会問題を取り上げた映画は見たことがあります。しかし、問題を真っ向から取り上げるようなものが多かったように思います。

一方、本作では、フタがされてきた臭みの強い社会問題をエンタメ内部に忍ばせることで、社会問題自体の悪臭を極力抑えています。それがかえって、幅広い層が本作に触れることにつながり、世界中に社会問題を認識させることに成功したんだと感じました。

以上です。
周りの友達が本当に誰も見ておらず、だらだらと感想を吐かせてもらいました笑

今後、目を背けたくなるような暗い問題に気がついたら、単なる主張にならないよう、意識的にエンタメ化を図ってみようかなと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

(Netflixのリンクは貼れなかったのでAmazonのレンタルのリンクを貼っておきます。Netflix入ってないって方はぜひ。)


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