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独立診断士が価格設定よりも前に考えたほうがよいことの話

以前このnoteに、コンサルティングの料金について言及したことがあります。
いちおうリンクを貼っておきます。

今日もまた1年ぶりくらいにそのトピックについて書きます。
というのも、まわりに今春から独立した診断士が多くいるので、何かのご参考にでもなればと思いまして。人それぞれ考え方はありますからね。



私がホームページに価格表を載せない理由


私の場合は「値段を理由に選ばれていない」という理由から、自社のホームページに価格表を載せていません。
でも、それは「値札を出さない高級寿司店」のコンセプトではありません。

載せない理由はふたつあります。

ひとつは、私が提供するコンサルティングの性質上、価格は購入検討プロセスの最後のほうに出てくる要素なので、別にホームページには載せなくもよいかな?と。
つまり、ホームページを見てお問い合わせをいただいたあとくらいに伝えればよいことなのです。

もうひとつの理由は、案件ごとに料金が変わってくるので。
要するに解決すべき問題が何か?を見積り段階で出すようにしているので、そこで料金が決まってくるということです。
別の言い方をすれば、お客さまに事前にしっかりヒアリングしておかないと、お客さまが自覚されている問題と私が見立てた問題が違うってことは往々にしてあるのです。なので、料金についてはそのあとの話ということで。


価格表のないホームページに何を書いているのか?


ホームページに価格表を載せずして何を書いているかというと、自分なりの「見立て方」くらいです。

コンサルタントの質を測るにあたってはいろいろと切り口があるのでしょうけど、私は自身の専門性からお客さまの問題をどのように発見して、どのようなアウトプットをしてビジネスに貢献できるのか?、その概要をお伝えすることにフォーカスしています。

私の会社を選んでくださる人たちの理由が、私の専門的な切り口からどう見えてどう語るか?ってことでハッキリとしているので、ホームページではそれができることを抽象的に伝えるようにしています。
なので、お問い合わせをいただいた際には、その「見立て方」をしっかりとお伝えできるようにしています。


コンサルタントは何を売っているのか?


自分では、今の私の仕事を「健康グッズ販売」にたとえてよく考えています。

パンデミックの影響もあって中小企業を支援する補助金がたくさん出ていますが、その補助金をサポートする仕事であればまた話は別でしょうけど、私のコンサルティングの内容は「健康な人に健康グッズを売る」ようなものでして…。

どこか具合の悪いとか病気の人であれば、コンサルタントという経営のドクターに相談するでしょうけど、全然病気じゃない人であれば、わざわざドクターに診てもらおうとはしないと考えるのが一般的でしょう。

しかしその一方で、たとえば歯医者さんだって虫歯が痛くなってから患者さんと接するようではなかなか経営が難しいと考えてか、今では定期的な検診で稼がれるのが当たり前になっています。
また、キレイな人ほど美容外科に通う意識が高かったりするかも知れませんし。

要するに、お客さまのマインドを変えることから仕事が始まっているのですよね。

それを参考にすると、「健康な人に健康グッズを売る」と言っても意外と難しくないかも、と。
そのとき、コンサルタントは未顧客に対してマインドを働かせる情報をいかに提供できるか?ってことが大事になるのでしょう。
私は残念なからまだまだそれができていないので、創業6年目になる今期の課題にしています。


値札よりもこっちのほうが問題


常々思っているのですが、何を以てしてお客さまへの成果とみなすのか?の定義がなかなか難しい仕事だと感じています。
「成果は経営改善」って言いますけど、そこにはパラメータがたくさん存在するので、どのパラメータを扱うとどうなるのか?っていう因果関係を示さねばなりませんが、実際はそんなに単純なことではありません。

但し、これも補助金のサポートなら話は別で、目的が明確なのでその成否は補助金を獲得できるかどうかで測ることができます。なので、実際に「補助金採択率◯◯%!」とうたっている中小企業診断士も多くいます。
それはそれでよいことと思います。何を以てして成果なのかが明確であれば、お客さまもそれを基準に安心して選べますからね。

その一方で、補助金サポートのようには明確に成否を示せないコンサルタントの仕事も世の中にはたくさんあります。
私が意識しているのは、私のコンサルティングを雇うにあたって何が障害になるのか?を、お問い合わせいただいた際に理解することです。

一般的には、たとえば…

  • 「小難しいことばかり言っていて、そもそもその理屈が我が社に合わないんじゃないか」といった自社の能力との不一致への心配

  • 「小難しい話を聞いている暇などない」といった時間的な障害

  • 前向きにご検討いただくお客さまにおかれても「どのようにコンサルタントと共に進めればベストなのかがわからない」といったいわゆるアクセシビリティの障害

このように、料金以外にもたくさんの障害があることを知らなければなりません。
私の経験上、障害を取り除いていくうちに何を成果とみなすかについてクライアントと意識が合ってきます。

お客さまにはコンサルタントのやり方を買ってもらうのに、その理由が価格になるほうが仕事として危ういですよね。
なので、価格を出すよりも先にやり方、すなわち見立て方を伝えて、その導入にあたっての障害を取り除くわけです。


むすび


今日は「ホームページに料金表を載せない話」から、料金表のことよりも他に考えるべきことがあるんじゃないかな?!といったことについて書きました。

①選ばれる理由をデザインすること、②選ばれるにあたって未顧客にどう接するかを考えること、③選ばれるプロセスでは障害を取り除くこと、この3点は大事でしょうね。

文中にも書いたとおり、私も自分の現状を鑑みると上記②の取り組みがまだ全然できていないので、6期目の課題として取り組んでいきたいと思っています。


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