見出し画像

本当に「人類の進化」につながりそうな話

先日、私はこのnoteで、ソフトバンクグループの株主総会での孫正義さんの発言からの学びについて書きましたが、昨日、そのアップデートの会見がありました。
(先日の私のnoteは以下のとおりです)

何がアップデートされたかというと、それはソフトバンクグループのミッション「人類の進化」に対する具体的な取り組みについてです。
大きな刺激を受けたので、今日はそれについて書きたいと思います。



これが「人類の進化」に対する具体的な取り組みなのかも??


昨日、ソフトバンクグループは、アメリカの医療テクノロジー企業の「テンパス」と合弁会社(SBテンパス)を設立し、遺伝子検査、医療データの収集・解析、AIによる治療提案を提供することを発表しました。

この発表、本当に「人類の進化」につながりそうですが、こんな隠し玉?があったから、先日の株主総会で「人類の進化」と孫さんは自信満々にご発言されていたのでしょうね、きっと。


医療のデータ活用状況はどうなのか?


米国では、がん患者の50%がこのテンパス社のサービスを活用した医療を受けているそうです。既に2,000の病院に展開されていて、がんの専門医の半数がこのデータを活用しているそうです。

一方の日本では、がん患者の1%未満しか遺伝子検査をしていなく、また、遺伝子検査をがん治療に活かすケースも少なく、AI活用の伸び代が大きく、ソフトバンクにとってこれは大きなビジネスチャンスになりそうです。

ビジネスチャンスと言っても、SBテンパス社は医師や患者からデータ活用のお金を貰うのではなく、データを活用して薬の開発に活かす製薬会社からお金を貰うそうです。
製薬会社としては新薬の研究開発費が重くて大変だったところに、今回の件は「渡りに船」のようにも思えます。

今回の発表からわかることとして、ビジネスの効率が飛躍的に高まることは間違いなく、また、SBテンパス社のサービスが医師や患者の判断のよい助けとなることにも期待できます。


売り手よし、買い手よし、世間よし


私はビジネススクールなどでの自身の講義で、データ活用がよりよい社会の実現に役立つ、そんな発想力・構想力を高める方法について以下の図などを使って解説させていただくことがありますが、今回の孫さんの発表はまさしくこれだな!と。


この図は、バイタルセンシングから得たデータを医療機関と共有することで、医師や患者の意思決定に役立ち、同時に医療費の削減につながることをイメージして作成したのですが、今回のSBテンパス社のケースはバイタルセンサーではなく電子カルテからのデータ活用だそうです(・・・電子カルテは、クリニックの書棚を整理するために導入するものではないのですよね)。

治療に役立つデータの入手方法は様々でしょうけど、共通して言えることは、病気になってからたくさんのお金を使うよりも健康を維持するためにお金を使ったほうが医療費全体を効率的に使うことにつながりますし、また、先にも書きましたが、新薬の研究開発費の抑制、それからスピードアップを実現するビジネスモデルは、まさしく売り手と買い手にとってのグッドディールが「世間よし」につながりますよね。

AIとビッグデータで実現する社会は「売り手よし、買い手よし、世間よし」であってほしいのですが、孫さんは会見で、ご自身の体験談などを交えながらこんな考えを強調していたようにも思えました。


むすび


一夜明けての今日、ソフトバンクグループの株価はどんな動きを見せるか?!ちょっと興味がありました。
結果、私が思っていたほどの大きな反応はなかったのですが、データ活用にあたっては(逆風を含めて)これから解決しなきゃならないことがたくさんあるでしょうし、また、ソフトバンクグループ1社がその分野で独走するとは限りませんし。

なお、ソフトバンクグループの時価総額は15兆円、NAV(Net Asset Valueの略で、貸借対照表の資産から負債を差し引いた額のこと)は34兆円。
現状ここには2倍以上の開きがあるので、株価上昇にはまだまだ期待してよいのかも知れません。

今回のSBテンパスのソフトバンクグループに限らず、「人類の進化」をどこまで具体化していけるか、これからきっといろんな企業から新たな事業が立ち上がることと思います。
AIの進化と社会の変化が楽しみです。


★本記事に関するお問い合わせはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?