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世間では未だコンセンサスが取れてないことをあえて主張するビジネスの話

昨夜、面白いYouTube動画を視聴しました。
アップルやテスラなど、マイノリティな主張を掲げる企業がビジネスで大成功しているという法則について、山口周さんの解釈が面白かったです。
以下にリンクを貼り付けます。

アップルやテスラのどこがマイノリティ?って疑問に思う人もいらっしゃるでしょうけど、それについては読み進めていただければ理由がわかるかと思います。

私は私の言葉で、アップルとテスラの何が魅力なのかについて、過去にこのnoteでも語ったことがありました(→こちらの記事)。
山口さんの解釈と共通しているところもありましたけど、やっぱり山口さんの語りはとても勉強になりました。

今日はそこからの学びについて、以下に書き留めておきます。


「5%の共感」を得るために世界の成功企業はどうアプローチしているか


山口さんのお話は、ざっくり言うと共感ビジネスの方法についてです。

5%の人たちが強く共感してくれたらビジネスになるってことは、スマホが出現した21世紀になってからよく言われてますけど(たとえば、フリーミアムと呼ばれるアプリのビジネスモデルは5%の有料ユーザーがいれば開発費をペイできる、とか)、その「(5%の)共感」を得るために世界の成功企業はどうアプローチしているか、山口さんの解釈はとても面白いです。

それは、世間では未だコンセンサスが取れていないソーシャル・アジェンダに対して、誰よりも最初に強い主張で目立ち、そこから共感を得ることだそうです。
そこで成功したのが、テスラやパタゴニアだったりと例を挙げてました。

テスラなら、化石燃料に依存した社会から脱却するためにEV(電気自動車)を作り始めましたけど、実際にその頃は市場調査をしてもEVなんて市場はどこにもなく、顧客の話なんか聞いても意味がないわけです。
で、自分の思いでビジネスを始めたからブランドの個性が際立ち、その主張に対して共感した人がいたからビジネスとして成立した、と。

共感を得るにあたって「敵の作り方がうまい!」とも言ってましたけど、確かに共通の敵を持つことへの共感力って強いですよね。
ヒーローものコンテンツの鉄則みたいな。
敵というのは、社会悪が何か?!という設定が主張の中にあることです。

また、興味深かったのは「SDGの18番目の目標をつくるとしたら?!」って話でした。
確かに、17の目標については既にコンセンサスが取れているので、そこから選んでも「5%の共感」にはなり得ませんよね。

以上が、山口さんのお話です。


マイノリティ且つ批判的であること


ここから先は私の解釈です。
私の講義では、アップルやテスラの主張のあり方については「アウトサイド・イン vs. インサイド・アウト」で説明してます。

社会から共感を呼ぶ内発的動機を出発点にビジネスを進めることは、VUCAと呼ばれる今の時代においてすっごく重要ですよ!ってことを。
予測不可能で且つ成熟した社会なのですから、他社比較でベターを語ったところでその主張は刺さるワケがありません。

いちおう、私が講義などで用いるスライドの一部を貼り付けておきます。

筆者作成
筆者作成

山口さんのお話で、私へのインパクトが大きかったことは2点あります。
1点目はその「主張」がマイノリティな内容且つ批判的であること、それから2点目は世間では未だコンセンサスが取れていないソーシャル・アジェンダを誰よりも早く主張すること、その2点です。
なお、批判的というのは、社会悪が何か?!という設定があることです。

私のこれまでの解釈では「新たな価値基準をつくること」を強調していましたけど、山口さんはそれを「マイノリティな内容且つ批判的であること」が強い共感を呼ぶきっかけになり得る、さらにそれが「世間では未だコンセンサスが取れていないソーシャル・アジェンダ」であると語っていましたが、なるほどな、と。


ジョブズがつくったコンピュータからの学び


以下は、過去に私が書いたnoteからの抜粋です(→こちらの記事)。

私が影響を受けた、スティーブ・ジョブズがアップルコンピュータを作ったときのエピソードと、そこから得た教訓について書きます。

アップル以前のコンピュータの機能は「高度な計算ができる」ことに価値がありましたが、ジョブズはそこで「美しいフォントを表現する」機能を有するコンピュータという新たな価値基準をつくりました。
そのきっかけは、ジョブズが退学した大学でカリグラフィ(文字を美しく表現する技法)の授業に興味を持って熱心に取り組んだことと語られています。

結果的にはジョブズはコンピュータ界において自分の勝てる場所を得ることになりました。
そもそも何かの比較で勝とうと思ってやったことではないのでしょうけど、「こーいったものが欲しい」という自己欲求を探求した結果、多くのユーザーから受け容れられる新しいコンピュータの概念を創造しました。

ここでの私の学びは、ふたつあります。
ひとつは、好きで得意なことをとことんやって自分のセンスを磨くことが有意性をつくるということ(カリグラフィからコンピュータへ)。
もうひとつは、新たな価値基準をつくることが居場所をつくる良策であること。


私が主張できるソーシャル・アジェンダって何だろう?


要するに考えなきゃならないことは、世間では未だコンセンサスが取れてないソーシャル・アジェンダには何があって、その中から自分が主張できるものは何か?を見つけることなんですよね。
内発的動機はそこと結びつかないことには。

前述のジョブズなら、それは「connecting the dots」ってことでしょうけど、でもそれって偶然に身を任せるってことでしょうし…。

偶然のチャンスを手繰り寄せるためには、日々、自分の感性を研ぎ澄ませた生活を心がけることが私は大事なんじゃないかと思ってます。
私が大好きな日本ハムファイターズの新庄監督の言葉であれば、「努力は一生、本番は一回、チャンスは一瞬」ってなります。


むすび


昨夜見たYouTube動画は、私がリスペクトしているアップルとテスラの魅力について、山口周さんの解釈で語っていただいて気分が上がる内容でした。

けど、いざ私が語れるソーシャル・アジェンダって何?と考えても、なかなか出てこなくて、自分ってなんだか中身がなくて少々凹みました。

ジョブズがつくったコンピュータはソーシャル・アジェンダってわけではなかったのですけど、マイノリティな主張が「5%の共感」を呼んだことで新たな歴史が生まれましたし、まずは自分が興味のあることをとことん極めていくってことなのかな、と。

私が興味のあることは、仕事であれば「創造力が働く企業文化の醸成に貢献する(…弊社のミッション)」ことなので、まずはその方法をひたすら磨きつつも、これまで全然してこなかった「主張」についてはちょっと考え直そうと思いました。


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