賃管士メールマガジン

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■□■ 賃貸不動産経営管理士 ■□■

■□■ 契約更新と終了 ■□■

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(質問)特約で貸主に解除権を付与できる?

(回答)できても解除には正当事由が必要です



【建物賃貸借の契約期間に上限はあるの?】

ありません。借地借家法上の建物賃貸借は民法と異なり、その存続期間に制限があり
ません。ただし、期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃
貸借とみなされます。

なお、民法上の賃貸借の存続期間は、上限が50年となっています。契約でこれより長
い期間を定めた場合でも、その期間は50年となります。それに対して、下限について
は、民法に規定がありません。駐車場用地の賃貸借などは民法が適用されます。

【オーナーが更新拒絶の通知をしないと勝手に更新する?】

建物賃貸借に期間の定めがある場合、当事者が期間の満了の1年前から6カ月前までの
間に相手方に対して更新をしない旨の通知または条件を変更しなければ更新をしない
旨の通知(更新拒絶の通知)をしなかったときは、それまでの契約と同一の条件で契
約を更新したものとみなされます(法定更新)。

また、賃貸人が更新拒絶の通知をしても、期間満了後に賃借人が使用を継続した場合
には、賃貸人が遅滞なく異議を述べないと、同様に同一の条件で契約を更新したもの
とみなされます。

ただし、いずれの場合も、更新後は期間の定めのない契約になります。

【建物賃貸借は存続期間が満了しても終了しない?】

賃貸人から、契約期間満了を理由に終了させるには、期間の満了の1年前から6カ月前までの間に、賃借人に対して、正当事由のある、更新をしない旨の通知または条件を変更しなければ更新をしない旨の通知(更新拒絶等の通知)をしなければなりません。

また、当事者が賃貸借の期間を定めなかった場合は、賃貸人は、正当事由のある賃貸借の解約の申入れをすると、6カ月を経過することで終了します。

なお、建物賃貸借の場合であっても、賃借人から解約申入れをするときは民法が適用されるので、通知は必要ですが正当事由は不要です。


【立退料を払えば正当事由は認められるの?】

それだけでは認められません。建物の賃貸人および賃借人(転借人を含む)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況および建物の現況ならびに建物の
賃貸人が建物の明渡しの条件としてまたは建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、建物の賃貸人による通知・解約申入れはできません。

【債務不履行の場合は常に解除ができるの?】

不動産の賃貸借契約は、そもそも継続することが前提となっているので、軽微な不履行(数日賃料の支払いが遅れたり、滞納額が少額の場合等)を理由に契約解除が認められると、賃借人は住居等を失うことになり、不履行の程度に比べて著しい不利益を受けることになります。

そこで、賃貸借契約の当事者間の信頼関係を破壊するおそれがあるとまではいえない場合は、解除できません。

また、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は終了します。

(チャレンジ!)

【問 題】 普通建物賃貸借契約の更新及び終了に関する以下の記述のうち、正しいものはどれか。(2020年度問28)

1 期間の定めのある建物賃貸借契約において、借主は1か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めても無効であり、期間が満了するまでは契約は終了しない。

2 期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主は3か月前に予告することで解約することができるとの特約を定めた場合であっても、正当事由のない解約申入れは無することができるとの特約を定めた場合であっても、正当事由のい解約申入れは無効である。

3 期間の定めのある建物賃貸借契約において、貸主と借主が賃貸借契約の終期から1年以上前の時点で、同契約を更新することにつき合意することはできない。

4 期間の定めのない建物賃貸借契約において、貸主が解約を申し入れた場合、正当事由を具備することで、解約申入日から3か月の経過により契約が終了する。







正解:2

1 × 期間の定めのある建物賃貸借契約において、契約当事者が期間内解約の条項を設けた場合、この条項は有効です(民法618条)。

2 ○ 貸主に期間内解約権を留保することの有効性には争いがありますが、仮に有効であるとしても、貸主からの解約申入れには正当事由が必要です(借地借家法28条)。

3 × 期間の定めのある建物賃貸借契約において、契約終期から1年以上前であっても貸主と借主の合意によって契約を更新することができます(民法521条、借地借家法26条)。

4 × 期間の定めのない建物賃貸借契約において、貸主が解約を申し入れた場合、正当事由を具備することで解約申入日から6か月の経過により契約は終了します(借地借家法27条1項)。

筆:Kenビジネススクール代表 田中謙次

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