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「正しい文章を書くスキル」とは具体的には何なのか

ベイジのディレクター五ノ井さんが先日書かれた記事が、文章を書く上で留意すべき点が網羅されていて勉強になりすぎました。すぐさま会社のメンバーにもシェアしました。

文章を書くことに関しては普段それなりに意識しているつもりでいたのですが、こうして要点が箇条書きになっている記事を見ると、多くのことが実践できていないな…とあらためて実感しました。

上の記事では「文章力は社会人の最重要スキル」と書かれていますが、僕は今まで文章力=正しい文章を書く能力と考えていて、「正しい文章を書くスキルは社会人にとって重要」だと認識していました。ですが、よくよく考えると「あれ?正しい文章ってなんだっけ?」という点にもやっとしたものを感じました。

ということで、今回「正しい文章」や「正しい文章を書くスキル」について週末をはさんでいろいろ考えた結果、ちょっとスッキリすることができたので、考えたことをnoteに書いてみます。

「正しい文章」とは何か

正しい文章に求められる条件を素直に考えたとき、以下の4つを思い浮かべました。
※あくまで文章として正しいかどうかを考えており、書かれている内容が本当に正しいかどうか、は別の話です。

・筆者が伝えたい内容が、読者の解釈が1つになるよう(誤解されないよう)書かれていること
・読者との関係性を考慮し、適切な表現が使われていること
・単語や文法の間違いがないこと
・誤字脱字がないこと

この中で、1つ目と2つ目の要素が、正しい文章とは何かを分かりにくくしているような気がしました。

筆者が伝えたいことを読者に伝わるように表現するとき、どのような読者を想定するかによって文章は変わります。そうすると、正しい文章とは形の決まったものではなく、「正しい文章を書くスキル」とは形の決まったものを生み出すスキルではないことになります。

加えて、前述の条件を満たしてさえいればそれが正しい文章なのかというと、それも正しいとは言い切れない気がします。たとえば、文章としては正しいが、読みづらく理解に時間がかかる文章があったとしたら、それはこの上なく正しい文章と言えるでしょうか?

社会人にとっての正しい文章

冒頭の五ノ井さんの記事を読んだ後に思い出したのが以下のツイートで、こちらは編集者の澤山さんがツイートしたものです。

個人的には、この内容にうなずきまくると同時に、形容詞の多い文章を書くことが多い自分への戒めだなと思いました…

僕の感想は置いておいて、このツイートを引用した理由は、澤山さんが「正しい文章を書く方法」とは表現していないところです。そういえば、冒頭の五ノ井さんの記事もタイトルは「上手な文章の書き方のコツ」とされており、記事中でも言葉の量を減らすことの重要さが真っ先に挙げられています。

もしかすると、「社会人にとって」という前提の上でですが、正しい文章とは「分かりやすく簡潔な文章」なのかもしれません。

「完全な文章」が存在するのでは

五ノ井さんや澤山さんのご意見をふまえると、分かりやすく簡潔な文章とは「ある文章から不要な言葉を削った文章」ということになります。この「ある文章」の理想的な形として、「完全な文章」と呼ぶべきものがあるのではないかと思います。

完全な文章は、以下の条件から成っていると考えます。イメージとしては論文が近いのかもしれません。

・筆者が伝えたい内容や状態のすべてがもれなく文章に含まれていること
・単語や文法の間違いがないこと
・誤字脱字がないこと

ある内容や状態を文章で正確に表現しようとすると、その状態を表現する形容詞や、時間や場所に関する情報などなど、様々な言葉で修飾する必要があります。完全な文章においては、これらはすべて削ることのできない表現だと考えます。なぜなら、状況を100%正確に伝えるためには、どれも必要な情報だからです。たとえば、

15:00に営業部長の田中さんから「提案資料のデータを急ぎで送ってほしい」とメールで連絡があったので、15:10にファイルを添付の上メールを返信した。

という文章があったとします。これを

部長から「提案資料のデータを送ってほしい」と連絡があったので、返信した。

と、言葉を削って書き換えたとします。元の文章には削っても問題ない言葉もありましたが、削ってはならない言葉を削ったことにより完全な文章とは言えなくなったと思います。なぜなら、筆者がはじめに伝えようとしていた

・どの部署の部長からの連絡だったのか
・緊急の度合い
・返信の内容
・依頼されたデータを送ったかどうか
・すぐに返信したのか

という部分を正確に伝えられていないためです。

このように、文章にはその内容を不足なく正確に伝えるための形としてまず「完全な文章」という状態があるのではないかと考えました。

正しい文章を書くスキルとは、2つのスキルの組み合わせ

文章を書く上では、まず状況を正確に伝えるための「完全な文章」を考える必要があります。この時点で、本来必要な言葉(伝えなければならない情報)が抜けていると、伝えたい内容を正確に伝えることができないからです。

その上で、削ってもいい部分だけを厳選して削ることで「分かりやすく簡潔な文章」にすることができます。このとき、不要な言葉が残っていると簡潔にならず、必要な言葉を削ってしまうと大事な部分が伝わらなくなってしまうので、言葉の取捨選択ができるかどうかがポイントなのだと思います。

以上をふまえると、正しい文章を書くスキルとは「完全な文章を書くスキル」+「削ることで読みやすくなる言葉のみを選んで削るスキル」の組み合わせなのではないかと思いました。

長々と書いた割にはごくごく当たり前のことのような気もしますが…ご意見ご感想等ありましたらぜひぜひご教示ください。

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