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1か月予報はどのくらい適中するのか?(その1)

※2)
東日本と西日本の日照時間の予報確率の入力に誤りがあったことに気付きました。あらためて訂正させていただきます。(2021/2/25 AM5:30訂正)
※1)
文中、最も多用した一番大切な言葉で誤字がありました。
「的中」(誤)→「適中」(正)でした。

2020年に気象庁から発表された1か月予報について調査しました。
今回は調査内容と予報地域ごとの適中状況を示します。

調査結果のまとめ
2020年に発表された全52回の1か月予報の適中率は次のとおりでした。
 気温:70%程度、降水量:60%程度、日照時間:53%程度 (訂正前:45%程度)

1か月予報とは・・

全般予報と地方予報
1か月予報には日本全国を対象として大きな地域区分毎に発表する「全般予報」と北海道地方や九州北部地方といった地方単位毎に発表する「地方予報」があります。今回の調査はこのうち全般予報を対象にします。

対象要素と確率予報
1か月予報の対象要素は気温、降水量、日照時間、降雪量(冬季のみ)です。予報は確率で表現します。例えば、気温が高くなる確率が60%、低くなる確率と平年並みとなる確率がともに20%であれば、20:20:60(低:並:高)のようになります。なお、降雪量は調査対象から外しました。

地域区分
地域区分は気温と降水量・日照時間で異なります。気温は、北日本、東日本、西日本、沖縄・奄美の4地域。降水量・日照時間は、北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本日本海側、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美の7地域です。

適中したかどうかの判断について

適中・不適中の4つの分類
各予報地域ごとの確率予報でもっとも高い確率で予報された状況と実況を比較しました。ここで判断条件については「適中」「不適中」の2分類のみとはしませんでした。この先の予報に不確実性が大きい状況や若干の偏り(やや高めとかやや低め)がある状況、いわゆる予報が難しい状況についても考慮できるように「ほぼ適中」「やや不適中」という判断を設けて分類しました。

・適中(○):予報と実況が合致
・ほぼ適中(△):同確率のいずれかと実況が合致
   例)40:40:20 → 実況が「低」または「並」だったとき
・やや不適中(◆):確率30が2つ、確率40が1つあって、確率40と隣り合う確率30が実況に合致
   例1)30:40:30 → 実況が「低」または「高」のとき
   例2)30:30:40 → 実況が「並」のとき
・不適中(×):予報と実況が合致しない
   「○」「△」「◆」のいずれにも合致しないとき

実況について
 実況データは気象庁HPの「過去の地域平均気象データ検索」から収集しました。このデータから該当期間の平年差(比)と階級をしることができます。予報と該当期間の階級が合致したかどうかで適中したか否かを判断しました。

調査結果(予報地域別)

 気温、降水量、日照時間の適中状況を図を示します。

気温

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 「ほぼ的中」を加えると全国的に適中率は70%程度でした。西日本を除く3地域では70%を超えましたが、西日本では70%を下回りました。西日本は6月下旬からの1か月間や9月中旬から10月下旬までの1か月半の間、予報が適中しない状況が長く続いたことが影響しています(発表回ごとの適中状況は次回掲載予定です)。

降水量

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 全国平均でみると50~60%程度の適中率でした。降水量の確率予報は30:40:30や30:30:40といった微妙な予報が多く出されます。(気温のように10:20:70のような発表は皆無です。)不適中の割合でみると気温よりもその割合は少ないこともわかります。
 降水量の階級は短期間の極端な大雨によって実況データが大きく影響を受けてしまうのに対して、1か月予報でいうところのぐずついたとか雨が降りやすいとかいった形で示される天候の傾向とはうまく合致しないことも予報精度が下がってしまう要因になるのかなぁと感じました。このことは確率予報の表現にも表れているように思います(2020年の確率予報の詳細については次回掲載)。

日照時間

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日照時間は北日本を除いて50%を超える適中率でした。降水量の適中率と比べると沖縄・奄美を除いて同じかやや低い程度でした。

(訂正前)
日照時間は沖縄・奄美を除いて全国的に50%に届かない結果となっています。降水量よりも日照時間のほうがなんとなく予報が当たるのでではないかと思っていましたので意外な結果でした。どんな原因があるのか調べてみたいと思いました。(みなさんのご意見もお伺いできればありがたいです)

まとめ

気温はかなり高い確率で1か月先までの傾向を適中させていました。一方で降水量や日照時間は気温と比べてみるとかなり見劣りのする結果となりました。平均で何℃という気温の変動傾向はつかみやすいけれども、降水や日照といった現象の予測はとても難しいのだと思いました。日々の天気をみていると気温も日々の降水や日射量にもかなり影響を受けているような気がする(今日は雨が降って寒いとか、日差しが弱いので気温が上がらないとか)のですが、やはり上空の寒気や暖気が地上気温にとっては支配的だということなのでしょうか?

次回以降について

本文中にも記載しましたが、確率予報の分布であったり、発表回ごとの適中状況から予報の難しさについて季節的な要因があるのかなどについてみてみたいと思っています。

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