統合的、包括的に診るということ③それぞれの要素同士の関係性

構造、機能、精神は完全に別階層で独立しているわけではなく、互いに影響を及ぼしてながら心身の恒常性を保っています。


それぞれの影響の例をいくつか挙げていきたいとおまいます。


構造が機能に及ぼす影響



・滑走不全による筋出力の低下

筋肉が癒着などしてしまえば筋力という機能が思うようにが発揮されなくなります。



・結合組織の硬さによる感覚入力の低下

感覚受容器の中でも機械的刺激に反応する受容器は周囲の組織の硬さに影響されます。機械的刺激とは受容器が変形する事によって刺激となるので周囲が硬ければ受容器の変形が起きにくくなります。



構造→精神



・画像所見による認知の歪み

構造的変化は必ずしも痛みを起こすわけではありまん。例えば椎間板ヘルニアがあったとしてもそれが痛みを引き起こしているかはまた別の話です。ですが医療従事者の説明により思い込んでしまう事があります。例えば軟骨がすり減っているから痛い、姿勢が悪いから痛いなどといった形です。



・内臓、自律神経周囲の硬さによる自律神経症状

例えば胃が腹壁と癒着しているとします。すると胃は体幹の動きに伴って引っ張られる形になります。
自律神経でも同じように周囲の組織と癒着すると常にストレス(力学的ストレス)がかかる事になります。


機能→構造



・皮質出力過多による関節の安定性低下

体を意識的に動かす神経路と姿勢を制御する神経路は別の経路となってます。
もし仮に意識的に動かす神経路ばっかり使用していたら姿勢の制御が上手く作用しない→関節が不安定になる可能性があります。

・コアスタビリティー低下による筋の張力の低下

コアスタビリティー、すなわち腹部の機能が低下すれば体の筋緊張、すなわち張力が低下する可能性があります。張力はある程度保たれている事で全身を連動、躍動的な動作を作ります。

機能→精神


・感覚入力低下による自己感の低下

身体の感覚が入力されない事によって自己感(自分の体が自分の物であるなどといった感覚)が低下する事があります。
脳梗塞の人では麻痺して動かない上肢を他人の手であると言った認識になってしまう人がいます。

精神→構造


・身体の自己所有感の低下による萎縮

複合性局所疼痛症候群などでは怪我が治癒した後でも局所の交感神経反応が続いてしまい、浮腫や皮膚の萎縮など構造的変化を起こす事があります。
複合性局所疼痛症候群では上記の自律神経反応やボディイメージなども関わってきますので精神の領域から構造への領域に影響を及ぼしていると思います。


精神→機能



・情動による筋緊張の変化

精神的に緊張をしていれば無意識的にどこかを強張らせてしまう事があったりします。また、精神的に落ち込んでいたりすると身体の動きも緩慢になったりします。

このような形でそれぞれの階層がそれぞれに影響を与えています。


それぞれの要素にはさらにそれを構成するサブシステムが存在するがサブシステムもまた一つの階層のみでなく複数の階層への影響をもたらしている。


このように書く要素は他の部分に影響を及ぼしております。

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