統合的、包括的に診るということ⑤ 各要素の小分類

ここまでで三要素の原則、それぞれの要素がどのように関わり合うかを話していきました。
ここからはさらに細かく三要素を見ていきます。

人の心身を構造、機能、精神の三分類したわけですがそこからさらに三つずつ区分けして臨床に用いてます。

1.構造においては

1-1骨格がしっかりと連結し力が通り抜ける状態
1-2組織の滑走性があり引っ掛かりの無い状態
1-3適度な筋の張りがあり連動する状態

2機能においては

2-1適切に感覚の入る状態
2-2神経系の役割分担が出来ている状態
2-3動きの準備が出来ている状態

3精神においては

3-1自分の身体をモニター出来ている状態
3-2自律神経のコントロールが出来ている状態
3-3自らを認知、言語化出来ている状態

この3×3で9個が私における臨床の方向性です。

1-1骨格がしっかりと連結し力が通り抜ける状態
これはまず基本的な骨格構造、すなわち関節が安定している状態を目指す事です。

関節が安定しない、つまりグラグラしていると安定させるために本来動作の為にあるアウターマッスルが関節を安定させるために働いてきます。

関節を動かす為の筋肉が関節を安定させる事にも使用されれば体は硬く、動かしにくくなってしまうわけです。

関節が安定し、床反力が足裏から頭まで通り抜ける状態を目指します。


1-2組織の滑走性があり引っ掛かりの無い状態
体には皮膚、脂肪、筋肉、血管、神経など様々な組織が折り重なっております。
これらの組織の間がくっ付いてしまう、すなわち滑走制限が起きると固さが出たり、動作の制限や筋出力の低下が起きたり、力学的ストレスになったりします。


1-3適度な筋の張りがあり連動する状態
筋肉は単独で働いているわけではなく全身連動しながら働いています。
その際に筋肉は結合組織などを介して張力を連動させています。
この張力、すなわち筋肉の適度な張りが体を動かす事に必要となります。


2-1適切に感覚の入る状態
人は様々な感覚情報をもとに運動実行をします。
よって適切な感覚が入力されなければ適切な運動に繋がらないです。



2-2神経系の役割分担が出来ている状態
運動指令を筋肉に伝える脊髄下行路は様々な種類があります。目的に応じて適切な神経路を使用する必要があります。



2-3動きの準備が出来ている状態

運動を実行する際には外部要因、内部要因などを加味して脳内で運動プログラムの調整が行われています。それは視覚や固有感覚、または記憶や情動などさまざまな情報をもとにプログラミングしております。このプログラミングが上手くいかなければ状況に応じた運動が行えません。


3-1自分の身体をモニター出来ている状態
人は外受容感覚、固有受容感覚、内受容感覚といった感覚を通して自分が生きている世界や自分自身の存在を感じています。なんらかの影響でそれが障害されれば自分の立ち位置がわからなくなります。
自分の立ち位置がわからないとなると心身を調整するホメオスタシスに影響を及ぼします。


3-2自律神経のコントロールが出来ている状態
自律神経は不随意的に心身の調整をしております。
適切な場面で適切に働けば良いのですが持続的なストレス下であったりすると自律神経が上手く調整できずに心身の問題が起こります。


3-3自らを認知、言語化出来ている状態
人は言語を用いて認知活動を行っています。
すなわちその人の使う言語にはその人の世界と自身の認知が反映されているという事になります。言語を用いて


こんな形で構造、機能、精神をさらに区分けして考えてアプローチをしています。

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