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花を撮ること

小学2年生の時、初めてカメラを握った。お父さんからもらった古いデジカメは、新品でも9千円程度の安いものだった。しかし、小学生の僕は憧れのカメラを自分のものにできたことがとても嬉しかった。
家にいる時、友達と遊ぶ時、出かける時、必ずカメラを握っていた。
それからずっと僕はカメラを使っていた。お父さんからもらったデジカメが壊れた時、お年玉で新しいのを買った。初めて自分のお金で買ったカメラ。とっても嬉しかった。
僕の実家には、庭があって、その庭には多くの花が植えられていた。母親が花好きだったから、僕もよく花を見ていた。花を撮って、プリンターで印刷してお母さんにあげた時、褒めてもらったあの瞬間を、今でも鮮明に思い出すことができる。
小学6年生のお年玉で、初めて本格的なミラーレス一眼レフを手に入れた。
しかし、その後僕の手元にiPadminiがやってきた。それがきっかけで、僕はなかなかカメラを握ることはなかった。
今考えれば、よくあんな画質の悪いiPadで満足していたなと、ちょっと不思議に思う。
さらに高校生になってスマホを手に入れた僕は、iPhoneXsの画質の綺麗さに感心され、カメラの存在は全く忘れてしまった。
そんな僕を変えたのは2020年の4月。世の中はコロナで緊急事態宣言が出て、出かけることすらできなくなった。暇すぎて辛かった「ステイホーム」の間、久々にカメラを触った僕は、試しに庭の草木を撮った。春だったこともあり、素敵な花がたくさんあった。それからもう一度本格的に写真を撮ることにした。
さらに2021年10月、東京、上野で行われていた「蜷川実花展 虚構と現実の間に」を見に行き、衝撃を受けた。
蜷川実花の世界観は、他にない極彩色で、僕が思い描いていた世界観、そのものだった。

2021年10月 上野の森美術館 「蜷川実花展 虚構と現実の間に」

そして僕は、花の写真を撮ることが、一番楽しいということに気づいた。
2021年11月11日、僕はInstagramにて写真垢を開設。それから多くの写真を投稿していくうちに、2022年10月下旬には、初めての展示「平成リアル」に誘ってもらえた。
しかし、花の写真を撮ると言われることがある。それは「蜷川実花の真似じゃん」と。確かにそうかもしれない。僕も全部を否定することはできない。しかし、僕は感覚で花の写真を撮っているし、決して真似をしようと思っているわけではない。
平成リアルでは「東京」をテーマにした写真集を販売、展示した。

初の販売写真集 「The city of TOKYO」

「花を撮ること」
それは僕の生存確認のようなもの。
これからも、花を撮り続ける。

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