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世界で最も過酷な砂漠250㎞マラソン㉙まるで天国まで続く上り坂

あらすじ

世界一過酷な砂漠250㎞マラソンに挑戦中のラッキータウン!

オールナイトランにより地獄まで行っケンシロウ

しかし更なる絶望が待っていた・・・

前回の記事はこちら

本編

地獄へと続く下り坂の後に

思考停止する程の上り坂が待っていた。

俺はもう、意味が分からなかった。

なんでこの坂をみんな登れるんだ??

そんな事を思いながら

100歩進んだら一回休憩

110歩進んだら一回休憩

120歩進んだら一回休憩

と考えずに、なんの感情も抱かずに進む事にした。

必ずこの坂が終わればチェックポイントがあるか、

せめてチームで休憩するだろうとあわい期待を抱きながら進んでいくと

なんとか坂を登りきった。

だが、坂が終わってもチェックポイントもなければチームでの休憩もなかった。

目の前にあるのは、また大きな坂だった。

次第に太陽が昇り始め、標高が高いせいか

雲より上を歩き始めていた。

俺は、

あぁどこかで死んで精神だけが歩き続けているのだと思った。

そう思った方が自然な程に、辛くきつかった。

涙を流しながら歩いていると

ようやくチェックポイントが見えた。

泣きながら歩いていると

チェックポイントから何か聞こえてきた。

近づくにつれて

その音はマンモスこういちさんの

けんしろおおおおおおおおおおおお!!!走れえええええええ!!!

という声だった。

本当に、本当に、死んでしまったから

三途の川ならず、三途の砂漠を歩いているのだと思った。

天国って砂漠だったんだな~と思いながら

わけもわからず歩くより遅い速さで走ると

膝が痛くて何故だか笑えてきた。

アハ、アハ、アハハ!!

と歩き、なんとか第5チェックポイントに到着。

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するとマンモスこういちさんが大きな声で

ハッピイイイイイイイイ!!

と叫びハイタッチをしてきた。

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先に到着したチームメイトや、大会側のスタッフさえ

俺を拍手でたたえてくれた。

その時思った、みんなと俺の差は人生の差だ。

みんな30歳を超え、中には40代の人もいる。

もしかしたら一度人生に絶望した事があるんだろう。

だけど、いくら人生に絶望しようとも

人は歩くしかないのだ。

自分の人生を歩むのは自分しかいないのだ。

だから、みんなこの坂を立ち止まらず歩ききる事が出来たのだろう。

そう思うと、俺は絶対に完走してやると思った。

今日のゴールまで残り10.6kmの下り坂。

なんども言う。

もう、いいやろ?笑

もう、早く終わってくれ・・・

残りの10.6kmの下り坂もなんとか歩く事ができようやく

このオーバーナイトラン68.4kmをクリアできた。

もう、何も出来ない。

とにかく何も出来ない。

だが、いつもテントを建ててくれるフランス人がいなかった。

ここにきて、自分でテントを建てなければならなかった。

当然みんなは自分の力でテントを建てているのでみんなの事をとても尊敬した。

すると、いつもとは違う他のフランス人がやってきて

俺のテントを建ててくれた。

俺は、サンキューと言って、

建ててもらったテントにぶったおれ

目をつむった瞬間寝ていた。

明日は42.2km・・・

世界で最も過酷なマラソンとは、本当だったようだ。


つづきはこちら


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