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【狩猟DIY】2頭引き編込み万能ロープの作り方

本稿は『けもの道 2018秋号』(2018年9月刊)に掲載されたものを note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


自作ロープは猟師の嗜み

狩猟をする上で、ロープはとても重要だ。犬を使った狩猟の場合、参加者全員が犬の回収役になる可能性があるからだ。

そしてロープは犬を引くためだけでなく、獲物の引き出しや万が一のときの滑落防止など、山中では何かと使い道の多い便利なアイテムでもある。

知恵とこだわりが詰まった自作ロープの製作は、猟期前の猟師の嗜みとも言える。

文・写真|佐茂規彦

今回の講師|大西進さん
ロープ製作を教えてくれるのは、『けもの道』の「狩猟塾」でお馴染み、塾長こと大西進さん(兵庫県)。器用に何でも自作するベテラン猪猟師。昔は犬引き用のロープのことを「追い(=追い綱)」と呼んだそうで、新米のころは「止め刺し用のナイフなんか無くても、犬の『追い』だけは忘れるな」と言われたそうだ。

犬から獲物まで引っ張る「2頭引き編込み万能ロープ」

今回自作するロープ

2頭引き編込み万能ロープは、両端を使って輪を作り、犬を引いたりするのに便利なスイベルを片方の輪に2個取り付けている。

色違いのスイベルを取り付けているのは、他の共猟者のロープとすぐに見分けを付けられるようにするため。

輪の結び目はよりを戻して編み込むことで強度を増しているので、使っている最中に輪が解けることはない。

2頭の犬を引く場合、それぞれに1本のロープを使うと、バラバラに引っ張られるのでハンドラーはとても歩きにくくなるが、1本のロープで2頭を引くと犬同士がバラけて進めないので意外と犬をコントロールしやすく、歩きやすい
山中で猪を獲ったときは、前足をロープの輪に通して縛り上げ、下顎を通してロープの反対側を口から引き出せば、前足と頭が暴れないので、引っ張りやすい。獲物の引き出し時にロープは必ず要るため、紛失することも想定して、常に複数本を携行しておこう

まずは材料をそろえる(安く)

まずはロープ製作の材料を揃えよう。どんな工夫を加えても、ロープは消耗品の一部。ましてや山中で何度も出し入れするので紛失の可能性も高い。安くて単純な材料で作れるようにしておくことは、猟師のDIYにとって重要なポイントだ。

今回の材料の買出し先はここ、ロイヤルホームセンター三田店(兵庫県三田市)。今回の万能ロープの材料は、ホームセンターですぐに手に入る。

ロープ

ロープは、三友産業製『ニューロープポリエステル』(太さ約6mm×長さ約20m・ポリエステル製)を購入した。

オーソドックスな3つよりロープを使用する。素材は耐久性があり磨耗に強いポリエステル製がお勧めだ。ロープの素材や太さは好みや経験で分かれるところなので、いろいろ試してみよう。

スイベルスナップ

八幡ねじ製スイベルスナップを購入。亜鉛ダイキャスト製でサイズはSL-10。ニッケルメッキとブロンズメッキ、色が異なる2種類をそろえた。

ロープは1,690円(価格はすべて当時のもの、税抜、以下同様)、スイベルスナップは1個85円(※)。ロープ2mにスイベルスナップを2個ずつ使うとして、万能ロープ1本あたりの材料費は339円になる。山中で落として無くしても、まだ許せる値段だ。

大西さんの場合、「どこに置いたかすぐに分からなくなる」そうで、まとめて5本ほど、猟期前と猟期中に各1回は製作するそうだ。

万能ロープの作り方

[01]ロープの端を取り出す。縛ってあるナイロンバンドの内側だけを切ると全体的にバラけにくい。

[02]端から7~8cmぐらい、よりを戻して3本の子縄(それぞれA・B・Cと呼ぶ)の状態にほぐす。繊維を束ねたものを子縄と呼び、3つよりロープは「3本の子縄をより合わせて1本にしたロープ」ということになる。

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