宮古島のクジャク駆除を現地リポート 〜 島一番のクジャクハンターに密着
沖縄県本島から南西に約290kmのところに位置する宮古島。この島では外来種であるクジャクが繁殖し、農業や生態系に大きな影響を与えており、有害駆除の対象になっている。そこで今回は宮古島に赴き、クジャク駆除の現状やそれを取り囲む環境など、現地を撮影取材した。
写真・文|安藤 “アン” 誠起
取材協力|株式会社Noblesse Oblige(ノブレス オブリージュ)
珍しいお肉専門店 クイーンズオーストリッチ
みやちゃん食堂
島一番のクジャクハンター
宮古島にはふたつの空港があるが、今回は羽田から宮古空港への直行便を利用(もうひとつは下地島空港でLCCが運航している)。所要時間は3時間少々。空港に降り立ち、レンタカーを借り、昼は街中で宮古そばを食す。軽くお腹を満たした後、平良地区にある会社「宮古ボーリング調査」を訪れた。今回、取材で同行させてもらう上原浩人さんに会うためだ。
宮古生まれの上原さんは建設地用の地質・土質調査をする会社を経営。休日や仕事の合間を利用して、ハンターとして有害駆除も行っている。そして、島一番のクジャクハンターでもあるのだ。
現に平成30年度に島内で駆除されたクジャク300羽のうち180羽を、昨年度は502羽(令和元年12月現在)のうち209羽を上原さんが仕留めている。
上原さんによると、現在、島には約2,000羽のクジャクが生息しているのだとか。元々は1970〜80年代に学校の飼育小屋に観賞用で持ち込まれた個体が管理の問題や災害で逃げ出し、それが繁殖して島内の広いエリアに分布していったという。
島にいるクジャクはインドクジャク(本稿では以下「クジャク」という)で、キジ目キジ科クジャク属に分類される鳥類。インドやスリランカ、パキスタン、ネパールなどに自然分布している。全長は90~130cm。クジャクのシンボルとも言えるオスの上尾筒は2mを超える個体も存在する。
生態は昼行性で夜は木の上で休息。食性は雑食。植物性の木々や野菜の芽や種子、果実などのほか、動物性の昆虫類やトカゲ、小型のヘビなども食べることがあるという。それゆえに、農業被害だけでなく島の生態系に与える影響が大いに懸念されている。
遂に遭遇! 日本の野生クジャク
クジャクは朝方と夕方が見つけやすいそうで、翌日は朝7時に集合。上原さんの車に同乗して島内のポイントを巡回していく。島内には断層がいくつか走り、その断層に沿って小さな森が生い茂っている。どうやら、この森を中心にクジャクは生息しているようだ。最初のスポットに到着して車を降り、しばらく歩いていくと、突如、上原さんが地面を指差した。
「あ、ここに糞がありますね。この状態だとまだ近くにいますよ」
(これがクジャクの糞!?)
それは、その大きさや形状、質感からすると鳥類のソレではなく、四つ足動物のものに近い物体だった。
残念ながらその近くではクジャクは見つからなかったのだが、何ヶ所かポイントを回っていくと、遂に目の前30mぐらい先の繁みに青く美しいベルベット状のボディが現れた。
(いたいた、クジャクだ!!)
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