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【大会レポート】第2回 徳島場所 猟犬猟能競技大会 吉野川猪犬訓練所

本稿は『けもの道 2020春号』(2020年4月刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


猟期直前の(2019年)9月下旬に吉野川猪犬ししいぬ訓練所(徳島県)で開催された、同訓練所では2回目となる猟犬猟能競技大会。目の肥えた猪猟師たちが囲む中、35頭の出場犬たちが様々な猟芸を繰り広げ、令和初の猪猟シーズンの到来を告げる咆哮を山中に轟かせた。

写真・文|佐茂規彦

若手の参加も目立った大会

吉野川猪犬訓練所は、今では開催地も少なくなった猪犬競技会がたびたび行われている訓練所だ。

今大会では徳島県猟友会のベテラン猪猟師2名が審査を務める。準備された約15貫(編集部注:約56kg)の雄猪に対し1頭掛けとし、実猟で猪を獲れるか否かという視点から複数の評価項目について出場犬は審査される。咬み一辺倒の闘犬の類は審査対象外であり、いかに牙に掛からずに猪と駆け引きができるかという、猪に絡む猟芸が求められる。

競技時間は3分と短く、出場犬には場内に入った直後からスピーディな反応が求められたため、スロースターターの犬にとってはやや不利だったかも知れない。

出犬者は地元徳島県勢のほか県外からの参加者も多く、特に30〜50才代の比較的若い参加者らが目立った。

写真左から、徳島県猟友会理事の西良正光氏、乃一俊治氏、徳島県ふるさと創造課鳥獣対策担当の永本吉宏氏。開会に先立ち、本競技会を通じた若手狩猟者の育成と猟犬にまつわる事故防止の重要性を参加者らに説いた
吉野川猪犬訓練所代表 池本恵司氏 (訓練)徳保一第104175

【優勝】シロ号(所有者:高橋忍)

審査員が「すべてにおいて良かった」と評した優勝犬は、髙橋忍さんのシロ号。シロは、『けもの道2019年春』で紹介した猪犬猟師の一人、山崎利夫さん(高知県)が繋いでいる本川系四国犬の系統犬だ(下記リンク参照)。

間合いは近いものの、継続的な吠え込みに加え、隙を見つければすかさず「咬み」を入れることで猪を水場で釘付けにした。

反撃の捲りを喰らっても闘争心を失わないタフネスさを存分に見せつけ、他犬の追随を許さず優勝に輝いた。

猪有利の水場の中でも怯むことなく大立ち回りを見せたシロ。対する猪の牙の先端は競技用に切り落とされているとはいえ、カットベスト着用で出場した意味がよく分かる

【2位】トキ号(所有者:豊田一成)

惜しくも準優勝となったのは豊田一成さんのトキ号。ほかの出場犬と比べて体格は小柄ではあるものの、審査員は「鳴き・間合い・集中力、どれを取っても素晴らしかった」と評価。

眼前で左右のフットワークと「鳴き」を駆使し猪の注意を引き続けるという見事な猟芸を見せた。

【3位】リュウ号(所有者:清水四郎)

第3位は清水四郎さんのリュウ号。場内に入ると実直な捜索から猪に寄り付き、まずは一声鳴くというシンプルな行動を見せる。

しかしそこから始まった地鳴りのような低く力強い吠え声は迫力満点であり、猟場でこの声を耳にした清水さんら狩猟者たちの高揚する姿が目に浮かんだ。

参加犬たちをチェック!

ムク(所有者:上野浩嗣)

前年の徳島県猟友会が主催した猪犬競技会で第2位に入賞した、上野浩嗣さんと愛犬のムク。距離を置いての「鳴き」主体の猟芸で、今大会の入賞は残念ながら逃したものの、その猟欲は健在だった。

ベン(所有者:藤原正法)

兵庫県から参加の若手猪犬猟師である藤原正法さんと愛犬のベン。ベンは猪に対する闘争心をむき出しに「咬み」主体の果敢な攻めを見せたが、総合力で惜しくも入賞ならず。猪への攻めにさらなる緩急がつくことを期待したい。

りん(西原亮)

大阪から参加の西原亮さんと愛犬りん。山の中での普段のりんは西原さんの足元からほとんど離れずに猪を捜索するとのことで、今大会の「競技時間中はハンドラーが場内に入ってはいけない」というルールのもと、りんは西原さんが近くに来ないことで本調子が出なかった。また別の機会に西原さんとりんが歩く姿を見てみたい。

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(了)


狩猟専門誌『けもの道 2020春号』では本稿を含む、狩猟関連情報をお読みいただけます。note版には未掲載の記事もありますので、ご興味のある方はぜひチェックしていただければと思います。

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