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【取材レポート】第3回タシギ杯 〜 ハンターのための狩猟用空気銃射撃会

本稿は『けもの道 2018秋号』(2018年9月刊)に掲載されたものを note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。


取材協力|ハンティングエアライフルファンクラブ
茨城県狩猟者研修センター射撃場
写真・文|小堀ダイスケ

空気銃ハンター真夏の祭典

2018年7月7日、日本列島が猛暑にあえぐ中、茨城県狩猟者研修センター射撃場にて、第3回タシギ杯が開催された。

これは、狩猟用空気銃を所持している者なら誰でも参加できる射撃大会で、主催者は「Hunting Air Rifle Fun Club」、通称HARFC(ハーフシー)だ。

Hunting Air Rifle Fun Club、略してHARFCの有志たちからタシギ杯がはじまった
開催場所は茨城県狩猟者研修センター。トラップ2面とスキート2面をあわせ持つ総合射撃場だ

主催者といっても公的な団体ではなく、SNSのコミュニティをルーツとした、あくまでも個人的な同好会である。そのため、団体や所属などを越えた様々な参加者たちが関東全域から集まり、第3回となった今回は、初心者からベテランまで39人ものシューターが腕を競った。

猟友会や各射撃協会などが関与しない、個人が集まる草大会としては、かなり大規模なイベントだといえるのではないだろうか。

撃ち方は4姿勢

草大会とはいっても、その内容はかなり本格的なものだ。

参加メンバーの中には、猟友会一都八県や、日ラ(日本ライフル射撃協会)などで活躍する現役シューターもいるため、様々な撃ち方からいいとこ取りをした、4姿勢での射撃が行われた。

プローン

未経験者にとって難しい姿勢のひとつだが、試行錯誤しながら撃つのもまた楽しいものだ

最初はプローンから。日ラでSB射撃をやるシューターにはおなじみの伏射だが、これは一般的なハンターにとって少々難しい姿勢かもしれない。

完全にうつ伏せとなった状態で銃を構えて頬付けし、スコープを覗くという撃ち方がうまくいかず、四苦八苦する姿も多少見受けられた。実際の猟場ではこんな撃ち方をしない、という考え方もあるだろうが、普段やらない射撃スタイルが楽しめるのも、こういった大会のいいところなのである。

プローンでは装填コッキングもポイントのひとつ。ここはサイドレバー方式の方がやりやすいかもしれない

シッティング

次にシッティング。これは地面に尻をついた状態で撃つ、座射とも呼ばれる姿勢だ。安定性は高いが、腰がかなり低く落ちるため、頬付けに若干のコツが必要となる。

ニーリング

次のニーリングは、もっともバランスの取れた射撃姿勢かもしれない。腰は落とすが、尻の下に利き足を入れるため(つま先は立てても寝かせてもOK)、背筋が伸びて銃を構えやすくなる。膝射といわれるとおり、膝と肘の接点をうまく制御するのがポイントだ。

スタンディング

左手(利き手と反対の手)を拳にして銃を乗せる方法もあるが、いずれにしても重心を落とすことが重要

最後はスタンディング、つまり立射だが、いうまでもなくこれがいちばん難しい姿勢である。たいていはどんなにしっかり銃を構えていても銃口はフラフラ、スコープ越しの標的もユラユラ、これで上手く当てるシューターこそが本物だといえるだろう。

タシギ杯のルール

この大会のルールでは、射撃コートやグローブ、パームレストは禁止だが、スリングの使用は認められている。

スリング(前後とも銃につながっていることが条件)を腕に巻き付けることで銃が安定するため、このテクニックを上手に使えば、猟場での射獲率もグッと上がるはずだ。

猟期中、ちょうどいい距離に獲物がいるのに銃を依託できる適当な木が近くにない、といった状況でも、あきらめずに済むかもしれない。

やはり、標的射撃特有のテクニックと、実猟で求められる射撃法をうまく融合させてこそ、上級者ハンターだといえるのだ。

スリングの巻き方

まず環の外側から腕を入れ……
クルリと腕にまいて先台を持つ
手の甲にスリングを押し付けるようにするのがコツ
スリングを腕に巻いてしっかりと銃を固定

使う銃は、公安委員会から所持許可の下りている狩猟用空気銃であれば、どんな物でもかまわない。

スコープ(倍率問わず)でもアイアインサイトでもOKだが、今回はアイアンサイトの使用者は1名だけだった。

国産ライフルスコープの最高峰、マーチ(March-F)を使う参加者も
スコープキャップに貼られた 弾道のドロップ早見表

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