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私と最も密なアイツと/2月8日

あなたの苦手なことはなんですか?と聞かれたら、「鼻呼吸」と答える。

昔から、ささやかなアレルギー持ちで、年中鼻水をチョロチョロ垂れ流している。ポケットティッシュを持ち歩くのを忘れると、ちょっとソワソワする。
子供時代の耳鼻科検診では大体毎年「アレルギー性鼻炎ですね」の烙印を押されていた。
鼻腔が炎症を起こして気道が狭くなり、口呼吸で補おうとする⇄鼻が詰まりやすいの堂々巡りの日々。特に寝ている時に鼻呼吸でいるというのは至難の技。「口呼吸防止テープ」なるものを使って寝ても、鼻が詰まっているところにそれを貼ったら…想像にお任せする。

コロナ禍になって久しく、マスク生活が続く。鼻の前になんのヴェールもない状態でも空気を取り込むハードルが高いのに、ましてや外界と御鼻との間を隔てるなんて。慣れないうちは、仕事の打ち合わせでしゃべり倒していたら、頭に酸素が回らないかのような症状になることもあった。クラクラ。多分、ちゃんと空気を吸えていなかった。
そんなこんなもあり、不織布マスクから、布マスクを試してみて、夏だし涼しそうだしみんなつけてるしでウレタンマスクいいじゃんとなって快適だししばらく使っていたが、どうも飛沫に対しての効果があまり高くないとのことらしい。まあ、呼吸がしやすいってことは、そういうことだよなあ。自分なりに情報に当たり、もう一度新しい気持ちで不織布マスクに戻ってきてみた。ただいま。

マスク生活を1年ほど続けて慣れたのか、以前ほどの苦しさはなくなっていた(気がした)。
しかしである。家に余っていた、8枚入りパックのものを毎日使っていたら、とある日につけた1枚が、耳の付け根を締め付ける。同じパックに入っているのに、昨日と今日でこんなにも違うのか。マスクの個体差なのか、はたまた私の顔が肥大したのか。前者であって欲しいと願わんばかり。

呼吸に苦しめられた次は、ゴム紐問題に直面したのだった。締め付けは、ちょっとごめんだ。一日中となると、なかなか、じわじわキツイ。
なんとかできないものかな〜と思いながら、休日にふらっと立ち寄った100均で「マスクバンド」的なものを発見した。長さ10センチくらいのシリコン製で、両端にゴムの引っ掛け部分が付いている。そうそう、このヘッダーの写真はそれである。
これを普通にマスクを耳にかける感じで後頭部に通す、もしくはマスク紐を両方耳の下に通してえりあしあたりで留める、のいずれかで使用する、と説明書には書いてあった。
前者でトライしてみたが、これでは普通にマスクをするのと変わらなかった。おそらく、ちょっと高めの位置でポニーテールをしている人にしか通用しない。あまりに限定的すぎる。
となると後者だ。ウンウン、鼻の頭で支えてる感はあるけど、耳に引っ掛けなくていいから、ストレスがない。あご下のマスクのフィット感が若干弱い気もするが、普通に黙って仕事をしている限りなら差し支えないだろう。…と思って、トイレに行って手を洗っていた時だった。鏡に映った私の顔。マスクのプリーツが最大限に伸びて、顔が長いではないか。顎の長いことよ。あまりのダサさに一人で笑うしかなかった。マスク紐の結束位置を下げたせいでマスク全体が下に引っ張られて、不織布面がプリーツの効果もあり、ビヨーンと広がってしまっていたのだった。
みんなさほど私になんて興味ないだろうけど、こりゃあみっともない。顔長いし。マスクバンド、悪いけどお役御免だ、短い命だったな。何か、他の活用方法を考えようと思う。

顔がデカくなった気がしたり、顔が長く伸びて見えたり、私と最も密なアイツとは、まだ仲良くなれそうもない。2021年、春が近づく冬のある日のこと。

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