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認知症にはなりたくない

認知症じゃない人は1人か2人

うちの事業所で、認知症じゃない人を探す方が難しい。
みんな認知入ってる。
ウロウロ徘徊する人、寝ながらブツブツ喋る独語を繰り返す人、起きているのにブツブツ喋る人。ずっと寝ている人。いろんな認知がいる。
頭がしっかりしている人を見ることが稀。

若年性アルツハイマー

かわいそうなのが、若年性アルツハイマーの人。60歳になる前にアルツハイマーになって、そのことを受け入れられないから、自分を否定する独語をずっとブツブツ小声で、喋り続ける。僕は彼が自己否定する度に、「そんなことないですよー」と肯定する。
僕がいるときは僕の手を握りしめて、僕から離れない。
僕のことを何だと思っているんだろう?
よくわからない。

若いのにリハビリパンツに尿取りパット大2枚、さらにオムツ。重装備で就寝する。
要するに大きな赤ちゃんなわけだ。
尿意を感じず、寝ながら漏らしてしまうのだ。
彼は「情けない」と言う。
本人はプライドなんかズタズタです。
でも、すぐに忘れちゃう。
いいんだよ、それで。

何かあったら俺に言え

困った人がいる。
前回のステイのときに全裸になった爺さんがいるのだ。
歩行器を使って歩けるし、トイレにも自分で行ける。
今回は股引き姿でウロウロしていた。
僕がスタッフ用の机で、利用者の生活状況を書いていると、「ちょっと横になんなさい!」と心配してくれる。
トイレで起きる度にそれを言う。
しまいには、「文句を言ってきたり、何かあったら俺に言え!」と妙な男気出してきちゃう(笑)。
90歳の爺さんに何ができるんだっての。
僕は大丈夫です。仕事ですから💦

遊離型の頑固爺さん

石のように硬い爺さんがいる。
もうすぐ特養に行く爺さんだ。
独語が多く、見に行くと起きて何か言っている。
良く聞くと、「はい!すみません。わかりました」と会社にいた時の記憶が蘇っているようだ。
今日は、使い捨てのビニール手袋とビニールエプロンを着けて尿取りパットの確認をしに行ったとき、バッチリ目を開けて「大丈夫です!大丈夫です!」と言う。
確認してみたら、確かに濡れていない。
僕の手を握り、「大丈夫です。はい!大丈夫です」と繰り返す。
僕も手を握り返し、「わかりました。大丈夫です。大丈夫です」と繰り返した。やっぱり、なかなか手を離してくれない。

僕は昼間のデイサービスのことはわからないが、ちゃんとコミュニケーションを取っていないんじゃないかと思う。
若年性の人も遊離型の人も、ちゃんと相手にしてあげてないのではないかと推測する。
便秘が11日連続するなんて有り得ない。
三好春樹さん曰く、便秘の利用者が多い事業所は悪い事業所らしい。
僕は悪い事業所に勤めているわけだ…💧
頑固爺さんでも邪険に扱わず、なるべく寄り添った介護をしてあげたい。

最後に

人間はいつボケるかわからない。
猫もボケるのだから。
僕は48でこの世界に飛び込んだ。人の役に立ちたい。ただそれだけの理由で。
今まで人となるべく距離を取って接してきた。自分が傷つくのも、相手を傷つけるのも嫌だからだ。
週に1回しか働かない。
僕は「ありがとう」と言ってもらえるだけで十分だ。
給料も安い。
でも、扶養内なのでちょうどいい。
ボケて何が何だかわかってない人たちの役に立ちたいんだ。
僕も近い将来ボケるかも知れない。
ボケたくない!
誰も好き好んでボケたわけじゃない。
それはわかっている。
なるべくなら人扱いしてくれる事業所に入りたい。
ボケる前に死にたいけどね!

僕は頑固爺さんも全裸爺さんも若年性のおっさんも、寝てばかりの婆さんも、ちゃんと人扱いする。それができない介護士は介護士じゃない。
弱い人を助けたいと思う。
それが自己満足だとしても。


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