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戦国武将が語る「人に役立たずはいない、人の強みを活かすことが名将の条件」

先日、歴史学者の小和田哲男先生の「戦国武将の叡智 人事・教養・リーダーシップ」という本を拝読しました。タイトルの通りですが、戦国武将のリーダーシップ、人事政策、教養等について書かれたものです。かなり前に一度読みましたが、今回は前回よりも多少理解が深まったように思います。
 
いくつも興味深い内容が多々あったのですが、その中でも印象深い話が、戦国武将が人の強みを活かすことをいかに気を使っていたか、ということです。
 
例えば、小田原の北条氏に第二代北条氏綱という方がいて、この方の子供への遺言にこんな一節があります。
 
「侍中より地下人、百姓等に至るまで、いずれも不便に存ぜらるべく候、惣別、人に捨りたる者はこれなく候」
「人に捨りたる者はこれなく候」、つまり、「人に役立たずはいない」ということです。
 
そして、これに続くのが、
「その者の役に立つところを召しつかい、役にたたざるところをつかわず候て、何をも用に立て候を、よき大将と申すなり。」
ほぼ原文のままですが、「その者の役に立つところを使い、役に立たないところを使わず、何が貢献できるようにすることこそ、名将という者である」ということです。
 
私はこれを読んだ時、「おお、ドラッカーの「人の強みを活かす」ではないか」と思いました。原理原則は時代を超えて変わらないものだなと改めて感じます。
 
戦国時代という時代特性であえて言うなら、まさにリアルに生死をかけるような緊張感だったからこそ、人の強みを思いきり引き出して、生き残りを図らなければいけない緊張感があったのでは、と思います。
 
これが平和な時代だったら、「あいつにはこんな弱みがあるから使えない」と言っていても、生死をかけていないので、困ることはありません。しかし、リアルに生死をかけるような状況ならば、全ての人間の強みを結集して必死に生き抜かなければなりません。
 
戦国時代のようにはいかないかもしれませんが、厳しい環境に置かれていることを自覚し、生き抜くことに必死になることが、「人の強みを活かす」道に通じるのかもしれません。
 

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