ドラッカー氏が考える、マネジメントの真摯さの必要性
先日までドラッカー氏の名著「マネジメント 課題・責任・実践」の中巻を再読してみました。この中巻では人事や組織が中心に論じられています。
ドラッカー氏は、マネジメントに求められる資質として、「真摯さ」であることを強調しています。「真摯さ」とは、「誠実、高潔」といった意味合いで言われますが、こうした資質がないと、経営にとって大事な資源である人を壊し、組織を壊すと言っています。
この場では、マネジメント中巻であげられている、ドラッカー氏が考えるマネジメントの真摯さについて、該当する箇所を抜粋してみたいと思います。
「人のマネジメントに関わる能力、例えば議長役や面接の能力を学ぶことができる。管理体制、昇進制度、報償制度を通じて、人材開発に有効な方策を講ずることもできる。だが、それだけでは十分ではない。スキルの向上や仕事の理解では補うことのできない根本的な資質が必要である。そなわち真摯さである。」(第31章マネジメントの仕事)
「人事に関わる決定は、真摯さこそ唯一絶対の条件であり、すでに身につけていなければならない資質であることを明らかにするものでなければならない。そしてマネジメント自らが、自らの真摯さを明らかにしていかなければならない。」
「真摯さを絶対視して、初めてマネジメントの真剣さが示される。それは人事に表れる。リーダーシップが発揮されるのは、真摯さによってである。真摯さは、取って付けるわけにはいかない。
真摯さはごまかせない。ともに働く者、特に部下には、上司が真摯であるかどうかは数週でわかる。無能、無知、頼りなさ、態度の悪さには寛大になれる。
だが真摯さの欠如は許されない。そのような者を選ぶ者を許さない。真摯さを定義することは難しい。しかし、マネジメントの地位にあることを不適とすべき真摯さの欠如を明らかにすることは難しくない。」
「いかに知識があり、聡明であっても、上手に仕事をこなしても、真摯さに欠ける者は組織を破壊する。組織にとって最も重要な資源である人を破壊する。組織の精神を損なう。成果を損なう。」
(第36章成果中心の精神)
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